葉加瀬マイ 2018年11月29日号

極秘入手。福島原発大惨事の最悪“シミュレーションX” 〜危機的状況は変わっていない〜(2)

掲載日時 2011年05月22日 11時00分 [社会] / 掲載号 2011年5月26日号

 そして、最も苦しめることとなったのが人選だったという。
 「万が一の“Xデー”に備え、東京で最小限の放送対応者を選ぶ旨がマニュアルには書かれています。テレビ局のサブ(放送調整室)は、当然ながら対被曝処理なんてされていない。東京で放送対応をしろということは、死刑宣告にも等しいことでした」(事情通)

 結局、平氏は東京に残るメンバーを選ばず、万が一の時は自分が残ると申し出たという。いつ準備していたのか、防護服と防塵マスクが約50人分用意されていた。いったい、このマニュアルXは誰がいつ作成したものなのか。
 「もちろん政府筋ですよ。事故当初は本当にやばいところまで追い込まれていた。NHKだけでは緊急放送に対応できない。結果、政府の危機管理室は民放のごく一部の人間に本当の情報を教えているんです。総務省に各局の担当者がいますが、国から放送免許を貰うとは有事の際にも協力を求められるということですからね」(キー局幹部)

 実は、この「シミュレーションX」の存在を裏付けることになったのが、日本テレビ社会部デスクの現場逃亡だった。現場に記者を行かせながら自分は一足早く、安全な大阪に逃げてしまったのだ。
 「彼は元々、原発専門の記者でした。それだけに政府や東電にも情報元を多数抱えており、今回“X”が実行されることを知ったこのデスクは、危険な状況だと悟ったのでしょう。それだけこの“X”は、非常事態を表すものなのです」(事情通)

 しかしそれ以後、幸いにして「シミュレーションX」が実行されるには至っていないという。
 では、福島原発を取り巻く危機は全て去ったのか。
 「残念ながら答えはノー。いまだ予断を許さない状況です。とにかく半永久的に炉を冷却水で冷やさなければならず、少なくとも10年以上は続く戦いになります。口惜しいのは、東電は震度8以上の余震や東海沖地震を全く想定していないこと。いま余震が来たら日本は完全にアウトです」(サイエンス誌記者)

 そんななか、民放各局の緊急時放送対応者と呼ばれる管理職は、現在もこのマニュアルXを開かないことを祈りながらも、肌身離さず持ち歩いているという。
 「地震発生時には毎日、緊急招集をかけられていましたが、最近は週に1度になりました。とはいえ、危機が去ったからではなく、膠着状態になっているだけという構えです」(局関係者)

 加えて、こんな話も聞こえてくる。
 「実は、1号機を巡りGW明け直後から嫌な情報が囁かれているんです。注水を続けているが実は“再臨界”に達している可能性が疑われている。現在は他の2号機〜3号機は100度から150度前後。しかし、注水を続けているにもかかわらず、1号機だけ200度近い。再臨界が起こっているとすれば、再び水蒸気爆発の可能性があるんです。また、臨界時にしか発生しないクロム38が検出されている。事態は収束どころか、まだ始まったばかりなんです」(原発ジャーナリスト)

 これからの時期、梅雨を迎えれば台風もやって来る。気になるのは雨や風に混じり舞い降りる放射能物質だが…。「シミュレーションX」が再び使用されないことを祈るばかりだ。

関連タグ:福島第一原子力発電所事故


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