〈男と女の性犯罪実録調書〉①見捨てられる恐怖から2人の男を惨殺したサイコパス女

官能・2020/08/04 00:00 / 掲載号 2020年8月13日号

 豊村千尋(43)は恵まれない幼少期を送った。大酒飲みで暴力的な父親に殴られて育ち、金にだらしない母親は給料が入ると父親と遊びに行ってしまう。

 そのまま何日も帰ってこず、小学校に行くこともできない。仕方なく自分の食いぶちを得るために新聞配達をした。その後、父親が失業したので、生活保護家庭になった。

 中学を出ると、集団就職で靴の工場で働いた。この頃がもっとも自由な時間だったのかもしれないが、18歳のとき、父親がガンで倒れ、郷里に戻って面倒を見ることになった。

 生活費を得るために歓楽街でホステスとして働き、21歳のとき、最初に結婚したのは客の男だった。

 男は羽振りがいいふりを装っていたが、結婚すると正体を現した。千尋が知らなかった借金の存在が発覚し、「水商売をして稼いでこい」と強要された。

 逆らえば、殴る蹴るの暴行が待っていた。揚げ句に浮気され、23歳のときに離婚した。

 千尋は歓楽街に復帰し、また客として知り合った男と25歳のときに再婚した。一児をもうけたが、2番目の夫は勝手に仕事をやめてしまうタイプで、生活が安定せず、やはり暴力や借金や浮気などが原因で別居した。子供の親権をめぐって裁判沙汰になり、そのときに相談に乗ってもらったのが3番目の夫となる豊村博だった。

 博は17歳年上の警察官で、10代の頃に職質されて知り合い、最初の結婚をする前にしばらく付き合ったこともあった。

 その後、千尋は28歳で再び離婚。子供の親権は相手に取られることになったが、入れ代わるようにして、博との同居生活を始めた。
「正式に結婚するまでは世間体が悪い。昼間は外に出ないでくれ。ホステス仲間とも縁を切るように」

 その命令を守った甲斐もあって、31歳のとき、晴れて博と籍を入れることができることになった。

 だが、博もまた、自分の機嫌次第で暴力を振るってくる男だった。格闘技をやっているため、確実に急所を突いてくるので始末が悪い。千尋は博の機嫌をうかがいながら、おびえて生活するようになった。

 博の前妻との間には10代後半の息子が2人いたが、長男はオレオレ詐欺に精を出し、次男は不登校。しかし、博はそんな息子たちにも無関心だった。

 千尋と結婚して8カ月も経つと、だんだん飽きてきたのか、千尋ともほとんど口を利かないようになり、「オレは自由になりたい」などと言うようになった。

 そして事件の1週間前、こんなことを言われた。
「息子たちが就職したら、お前とは離婚するから」

 それでショックを受けた千尋は、他の女に取られるぐらいなら博を殺して自分も死のうと決断。睡眠薬入りの栄養ドリンクを飲ませて、「いきなり離れるくらいなら、一緒に死んで!」と叫びながら、柳刃包丁を首に突き刺した。

 博の反撃を受けると、別の包丁で背中を滅多刺し。自分の腹にも包丁を突き刺し、死のうとしたが死にきれなかったので、自ら110番通報した。

 千尋は殺人罪で裁かれ、懲役11年を言い渡された。

 服役中に抑うつと診断され、投薬治療を行うようになった。
(明日に続く)

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