RaMu 2018年12月27日号

なぜこんなにバカなのか…消費税増税対策案のハチャメチャぶりに唖然

掲載日時 2018年11月15日 07時00分 [社会]

 2019年10月に予定している消費税率10%への引き上げに備え、政府が策定を急ぐ景気対策案がハチャメチャになっている。しょせん“ごっつぁん体質”の議員やセレブ官僚の考えることだから、クレジットカードを持たない高齢者や特売チラシ片手にスーパーを回る貧乏人のことなど分かっちゃいないのだ。

 過去に実施したこの手の政策に対する学習能力も欠如している。以下の通りだ(効果の金額は内閣府と総務省、旧経済企画庁=現・内閣府の推計による)。

◆地域振興券(1999年)
《趣旨》子どもがいる世帯に子ども1人2万円分、住民税非課税の高齢者は1人2万円分の商品券を支給
 〇国費…6194億円
 〇効果…2025億円

◆定額給付金(09年)
《趣旨》1人につき1万2000円、18歳以下と65歳以上は2万円の現金を支給。所得制限なし。
 〇国費…1兆9367億円
 〇効果…6352億円

◆プレミアム付き商品券(15年)
《趣旨》購入額に一定額(平均23%)を上乗せした自治体発行の商品券で、地元産品限定の商品券や旅行券も
 〇国費…2372億円
 〇効果…1019億円

 ひどかったのは「地域振興券」で、効果はたった3分の1だった。今回、議論の柱となる増税分のポイント還元を巡っては、民間側が制度の複雑さに難色を示し、「プレミアム付き商品券」でも所得制限を巡る問題が浮上した。しかも本来の目的であるはずの財政再建が置き去りとなる「本末転倒」を懸念する声も出ている。

「『プレミアム商品券』は、例えば1万円で購入した券で1万2000円の買い物ができるもので、上乗せ分の2000円を公費で負担する仕組みです。公明党の山口那津男代表は、10月末の参院本会議で、低所得者の負担軽減策として『バラマキを避け、効果の高いものを』と求め、安倍晋三首相も検討する考えを示しました」(政治記者)

 14年に消費税率が5%から8%に上がった後、政府は消費の落ち込みを食い止めるため、翌15年にプレミアム商品券を発行している。国が地方に配る交付金を元手に、平均23%の上乗せ分を付け、各地で商品券や旅行券が発行され9511億円分が使われたが、消費の押し上げ効果が限定的だったとの分析もある。

 政府はバブル崩壊後の不況が続いていた1999年、子育て世帯や高齢者に2万円分の商品券「地域振興券」を配布。リーマン・ショック翌年の09年には全世帯対象の「定額給付金」を支給した。政府の分析では、振興券には約6000億円を投じ、消費の押し上げ効果は約2000億円。給付金は約1.9兆円を配り、効果は約6000億円と、いずれも国の支出の3割程度の効果にすぎなかった。

 「消費税増税の負担軽減策では、持ち帰りの食料品などを8%に据え置く軽減税率を導入する一方で、コンビニなどの顧客が、イートインスペースを利用するケースでは10%か8%を適用するかで店側と混乱が生じる可能性が指摘されています。政府はこれに加え、消費者が中小の小売店でクレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用した際に増税分をポイントで還元する制度も検討するが、増税が約10カ月後に迫る今になっても、対象店舗などの線引きははっきりしていません」(流通ライター)

 制度が複雑になれば事業者の事務負担は増え、消費者の使い勝手も悪くなる。自民党が先ごろ実施したヒアリングでは、流通業界団体が「事業者を大小で区別しない簡素な仕組みにすべきだ」と訴えた。

 「プレミアム商品券はカードを持たない高齢者らを支援するためというのが趣旨です。公明党は公費で購入価格に一定額を上乗せするプレミアム商品券の発行を提案し、政府内で具体的な検討が進んでいますが、政府は購入者を低所得層に制限したい意向です。さらには0〜2歳児がいる世帯には、中高所得層も含めて購入を認める案が8日、政府・与党内に浮上しています。ただおかしいのは、プレミアム商品券の購入者が、低所得者だと周囲に分かってしまうと与党の一部が反発していることです」(前出の政治記者)

 もうワケが分からない。そもそも商品券を買うか買わないかは、本人が決めることだ。

 景気対策費用が巨額に上れば、それだけ消費税率引き上げによる増収分を財政再建に回せなくなる。岸田文雄自民党政調会長は今月初めの国会審議で「景気への影響に備える話ばかりがクローズアップされ、何のために消費税率を上げるのかという議論が忘れ去られている」と本末転倒との苦言を呈したが、まさに木を見て森を見ずだ。


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