葉加瀬マイ 2018年11月29日号

富田林署逃亡犯の追跡で分かった「防犯カメラ」の限界

掲載日時 2018年11月07日 12時00分 [事件] / 掲載号 2018年11月15日号

 富田林署逃亡犯、樋田淳也被告(30=加重逃走罪などで起訴)の48日ぶりの身柄確保は、偶然の出来事だった。大阪府警が追いつめて、所在確認をして逮捕したわけではない。府警としてはメンツ丸潰れの逃走逮捕劇だった。

 「警察署内部の油断が原因。早い話『何をやってんねん』ということ。このまま逃げられたら警察の面子に関わる、というのがカンパの始まりです。メンバーの中には富田林署のOBもいてると聞いてます」

逮捕に協力した道の駅「ソレーネ周南」の関係者に、大阪府警OB有志から提供された200万円の報酬金が支払われた。

 「9月29日に万引きの現行犯で逮捕したのですが、当初は樋田容疑者と気づいていなかったため、一部では『報酬金は支払われない』との見方もあったが、身柄確保が“協力”と認められ、支払われることになったんです」(社会部記者)

 この報奨金は、9月上旬、捜査が進展しないことに業を煮やした大阪府警のOB有志から、「いまだに逮捕に至っていないので側面支援したい」との申し出があり、これを受けた大阪府警が「私的懸賞金制度」として運用していた。

 資金提供に関して、声が掛かったという府警OBがこう語る。

 今回の事件では富田林署だけでなく、大阪府警全体の対応のまずさが浮き彫りになった。

 まずは初動のミス。弁護士との面会が始まったのが12日午後7時半で、署員が逃走に気づいたのは2時間以上が経過した同9時43分。報道発表は翌13日午前1時前、顔写真公開は同2時すぎ、住民に防犯メールを送ったのは朝6時28分だった。
「このとき留置担当者が長時間スマートフォンを操作していて逃走に気付かなかったことなど、留置管理のズサンさが後に明らかになりました」(前出・記者)

 また、3000人体制で樋田を探し回っていた最中に、酒に酔って「樋田を見た」と通報した枚方署の巡査長が依願退職。同じく通報で「樋田ではないか」と疑われたミニバイクの少年がパトカーに追われ、事故を起こして死亡している。

 こうした数々の失態で、府警は10月26日、富田林署署長の山内寛警視(56)、留置管理担当係長の男性警部補(50)の懲戒処分など計14人の処分と、山内署長の更迭を発表した。

 「仮に、逃亡中に女性の性被害や死人が出ていたら、府警本部長のクビまで飛んでいましたよ」(同)

 防犯カメラはたくさんあるが、それを統合して監視することが日本の法律ではできないことになっている。肖像権の問題もあるから、警察は「捜査があるから!」と強制権のようなものは使用できないのだ。

 日本は顔認証システムの技術などは超一流だが、技術はあるけれど運用面で遅れているのが現状だ。今回の事件ばかりではなく、東京五輪を控えてテロ被害にも対策を練らねばならない。何かあったら、いったい誰が責任をとるのか。

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