葉加瀬マイ 2018年11月29日号

貴乃花親方が次に狙う「白鵬の首級」

掲載日時 2017年12月12日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年12月21日号

 暴行事件が表沙汰になっておよそ半月。ついに横綱日馬富士(33)が引退した。
 11月29日に福岡県太宰府市内で行われた引退会見は、横綱ならではの潔さに溢れていたが、同時に恨み節も随所に見受けられた。殴って頭部を負傷させた貴ノ岩(27)について聞かれても、
 「礼儀と礼節を忘れず頑張ってもらいたい」
 と悪びれずに答え、ひと言も詫びの言葉はなかった。

 涙を拭きながら会場に現れた師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は、詰めかけた150人もの報道陣の前でもっともストレートに感情を露にしていた。
 「私は全部、筋を通してやってきました。(暴行があったと聞いて)すぐ謝罪もしました。電話でもしました。キチンとしました。なぜこういうことになったのか、ただただ、不思議というか、残念でなりません」
 と、唇を噛み締めた。

 この師弟の怒りにも似た苛立ちの向こうにいたのは誰か。改めて言うまでもない。被害者の貴ノ岩の師匠、貴乃花親方(45)である。事件発生以来、相撲協会にも届け出ず、すぐさま鳥取県警に被害届を提出。その後は強硬姿勢を貫き、謝罪に応じず、ひたすら事を大きくしていったのだから。
 手塩にかけて育てた弟子を失った伊勢ケ浜親方が、残念がる気持ちも分からないではない。しかし、こうして日馬富士のクビを取ったことで、貴乃花親方の鬱憤は晴れたのか? 貴乃花一門の内情に詳しい元力士は、「とんでもない」と前置きし、次のように語った。
 「貴乃花親方は、もっと大きなものを狙っている。おそらくそれを果たすまでは闘うことを止めませんよ」

 声をひそめて明かした“もっと大きなもの”とは、なんと先の九州場所で前人未到の通算40回目の優勝をやってのけたばかりの白鵬(32)のクビである。
 「暴行事件の現場に、白鵬もいたのは事実です。しかも、事件の発端となったのは、白鵬が貴ノ岩に行った執拗で長い説教。このため、貴ノ岩がうんざりしてスマホを取り出したところ、その態度に怒った日馬富士が殴りかかったというのが事件のあらましです。だから、貴乃花親方はある意味で『白鵬も同罪』と強く思っているんです。これは日馬富士と貴ノ岩の、単なる喧嘩ではない、白鵬の責任もちゃんと問わなければいけない、と…」(同)

 暴行事件の輪はもっと広いのだ。それにしても、貴乃花親方は、どうしてこんなにも白鵬のクビにこだわるのか。貴乃花親方と白鵬は、どちらも平成を代表する大横綱でありながら、知る人ぞ知る犬猿の仲。貴乃花親方が部長を務める巡業部関係者は、そのただならぬ関係を次のように語る。
 「貴乃花親方の白鵬嫌い、もっと言えばモンゴル人嫌いは徹底しています。彼らがすれ違い様に挨拶しても無視しますし、朝稽古で白鵬や日馬富士らが稽古を始めると、サッと席を立ち、どこかへ行ってしまいます」

 さらに衝撃の事実を明かすのは別の巡業部関係者だ。
 「巡業の際、力士たちはバスで移動するんですが、途中のパーキングエリアで休憩して出発する時、白鵬がちょっと手間取っていたのに、貴乃花親方がバスの運転手に『行け』と命じ、置き去りにしてしまったんです。これにはさすがに白鵬も色をなし、『まだ出発時間の5分前なのに、なんでこんなことをするんだ』と、ものすごく怒ったそうです」

 気になるのは、この不仲のもとだ。貴乃花親方がこんなに白鵬を毛嫌いしている原因は何なのか。協会関係者は次のように分析する。
 「一番大きいのは、相撲に対する価値観の違いでしょう。貴乃花親方は現役時代から相撲に対して真摯に向き合い、その日の勝ち負けを超越した、まるで生きる道を探る求道者のように邁進してきました。ところが、モンゴル人力士たちはみんな、どんないい相撲をとっても負けたら1銭にもならないとばかり、ひたすら目の前の勝ちにこだわります。だから、実績十分の白鵬ですら、張り手、ヒジうち、立ち合いの変化など、何でもありの相撲を取るんですよ。それが貴乃花親方には我慢ならないのでしょう」
 九州場所11日目の嘉風戦で白鵬が自分から力を抜いて負けながら、土俵下で右手を挙げて物言いをつけ、1分以上も仁王立ちした相撲は、まさにその権化。貴乃花美学では、「あってはならないこと」なのだ。

 もっとも、白鵬にもプライドがあり、やられてばかりではなかった。貴乃花親方に猛反撃したのは11月28日に福岡市内で行われた暴行の再発防止を訴える八角理事長の講話の時だった。
 終わり際にモンゴル人力士が手を挙げて、
 「一ついいですか。(貴乃花)巡業部長を代えてください。貴乃花親方が巡業に行くなら(3日から始まっている)冬巡業には行きたくない」
 と直訴したのだ。このモンゴル人力士とは誰か…。非公開の場だったので明らかにされていないが、白鵬だったといわれている。

 これが理由の一つとなり、2日後の理事会で貴乃花親方が冬巡業の派遣メンバーから外されることが決まり、実際に姿を見せていない。白鵬が一矢報いたことになる。貴乃花親方はまた、この理事会で貴ノ岩の事情聴取に応じることを約束させられるなど妥協を強いられたが、このまますんなりと事態が収束するとは思えない。どこかでまた盛り返し、混迷するはずだ。
 果たして、貴乃花親方は白鵬のクビも取れるか。

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