菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 青山透子 『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』 河出書房新社 1,600円(本体価格)

掲載日時 2017年10月08日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年10月12日号

 ――日航機墜落事故を調べようとしたきっかけは何だったのでしょうか?

 青山 航空業界に就職を希望する学生たちへの講義中に「1985年8月12日の日航123便墜落事故って何?」と言われたことが最大のきっかけです。私は日本航空の客室乗務員を退職後、官公庁や各種企業の社員教育に携わり、大学や専門学校の講師も務めてきました。その中で『あの事故で歌手の坂本九氏が亡くなった』ことくらいしか、皆、知らないという現実を目の当たりにして、これではいけない、と思ったのです。さらに自分の所属したグループの先輩方が殉職したこともあって、学生と一緒に事故発生時まで時系列にさかのぼって調べよう、と思ったのがこの調査の始まりです。

 ――“事故”ではなく“事件”だったという可能性を感じた理由は何ですか?

 青山 墜落現場の群馬県上野村の元村長・故黒澤丈夫氏の話や地元消防団、身元確認を行った群馬県警察医の話をもとに、凄惨な遺体状況への疑問をまとめていた際、これは明らかにおかしいと思ったからです。医師たちは、炭のように黒い塊のご遺体をジェット燃料による燃焼と思い込んでいました。しかし、ジェット燃料はケロシンといい、灯油の一種です。湿気の多い夏山にそのケロシンがばらまかれたとしても、医師が言うように「2度焼きした遺体、筋肉や骨の奥まで炭化」にはなりません。山林の焼失面積が3.3ヘクタールもあり、燃料タンクの残骸から遠いところまで朝まで炎がくすぶっていたといいます。また、生存者をいち早く発見・救出した地元消防団の方から「現場がガソリンとタールの臭いで充満していた」と聞いた時、事件性を感じました。その臭いの理由については、ぜひ、本書をお読みください。

 ――今後、すべての真実が明るみになる可能性はあるのでしょうか?

 青山 事故調査報告書は運輸省(当時)の外局が作成し、その信憑性も決して絶対的ではありません。再調査に時効はないので、任意提出物の返還、証拠物の鑑定、海底に沈む飛行機の残骸の引き上げや遺族による情報公開訴訟など、明るみになる可能性はいくらでもあると思います。本書で地元小学校の日航123便墜落に関する文集『小さな目は見た』を取り上げましたが、子供のみならず、大人もあの日の現場を見ていました。新たに得られた『赤い円筒形物体』の目撃情報もあり、一歩ずつ真相に近付いてきているような気がします。これらを次世代に伝え、風化を防いでいきたいと思います。
(聞き手/程原ケン)

青山透子(あおやま・とうこ)
元日本航空国際線客室乗務員。国内線時代に事故機のクルーと同じグループで乗務。その後、専門学校、大学講師として活動。東京大学大学院博士課程修了、博士号取得。

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