菜乃花 2018年10月04日号

さわやかな体育教師の裏の顔 レイプに明け暮れた恐るべき課外授業(2)

掲載日時 2016年06月12日 23時00分 [事件] / 掲載号 2016年6月16日号

 恭子さんを襲った犯人の素性は、あまりにも意外な人物だった。県立高校体育教諭の織田進(25)。普段は生徒から圧倒的な人気を集めるカリスマ教師だったのだ。
 織田が内面に問題を抱えていることは誰も気付いていなかった。サッカー部顧問を務め、休日返上で指導に当たる熱血漢。イケメンなので、個人的に交際を求める女生徒もいたほどだ。
 だが、織田は性犯罪者にありがちな両親の夫婦関係が最悪な家庭で育っていた。
 織田の父親は時代錯誤な男尊女卑主義者で、「オレが食わせてやってるんだ」「女は飯だけ炊いていればいい」などと口癖のように言い、母親は泣きながらそれに忍従するという関係だった。

 それを見て育った織田は「お母さんを救うには自分が頑張るしかない」と思い詰め、神童と呼ばれるような少年時代を送った。学業成績優秀で、学芸会では主役を張り、部活ではキャプテンで中心選手。それが高校時代までは続いたが、大学でサッカー部に入ったとたん、自分と同レベルの選手はゴロゴロいて、初めてレギュラーになれないという屈辱を味わった。
 控え選手の気持ちが分からなかった織田はチームにも溶け込めず、クラブに出入りしてはナンパ三昧。その帰り道には痴漢行為を繰り返し、父親と同じような女性蔑視の考え方も進んでいった。
 大学卒業後、教員採用試験を受けたが、2年連続で失敗。その間、終電を逃した女性と駅の待合室でセックスしたり、酔いつぶれた女性と路地裏でセックスしたり、ウオーキングで知り合った女性と公園でセックスするなど、強姦と和姦の狭間のような行為を繰り返すようになった。

 24歳のとき、念願の体育教師になったが、織田が生徒たちとフレンドリーな関係を築こうとすると、校長に真っ先に注意された。
 「それは新人教師が陥る典型的なミスだ。学校の教師は授業だけしていればいいわけじゃない。生徒を引率したり、危険を回避させたり、生活指導もしなければならない。だからといって友達関係でいいわけがない。生徒たちの悪いところを見つけて怒鳴り散らすぐらいでちょうどいい。自分が立っているだけで生徒をビシッとさせることができたら、教師として一人前だ」
 織田はそれに戸惑いつつも、校長が大学の先輩筋に当たる人物だったので、言われた通りの態度で生徒に接した。だが、授業や部活では全力で生徒たちと向き合った。その熱意が生徒たちには理解され、圧倒的な人気を集めるようになった。

 ところが、教師の仕事は想像以上に多かった。そもそも部活の顧問は正規の仕事外でボランティアのようなもの。しかも、自分の学校の指導だけしていればいいというわけではなく、大会で勝ち残った学校のための審判にも駆り出された。そうすると休日どころではない。織田には交際相手の女性もいたが、ほとんど会えなかった。親には「やりがいのある仕事だ」と言って苦悩を隠していたが、それで始めたのがレイプによるストレス解消だったのだ。
 織田は車に乗って夜間に帰宅する女性を毎日のように尾行。自宅を突き止め、鍵を掛け忘れて入って行った女性宅を狙い、寝静まるのを待って襲うという犯行を繰り返すようになった。
 そのうち織田は、それだけでは気が済まなくなり、狙った女性を直ちに襲うようになり、「見てくれ!」と言ってペニスを露出し、精液をぶっかけるという犯行を繰り返すようになった。昼と夜ではまるで別人。二つの顔を演じ分けていた。

 最後の犯行の翌日、ついに警察がやってきた。すべての犯行現場に精液を残していた織田は、否認することもできなかった。織田は計5件の強姦罪などで起訴されることになり、懲戒免職処分になった。
 「大学時代の挫折を引きずり、教員になってからは上からの圧力でストレスがたまっていた。昔から、すぐに女はセックスさせてくれるような人間と思っていたが、そんな女性はそうそういるものではないと気付いた」

 織田の両親は、ようやく自分たちの夫婦関係が悪影響を与えていたことに気付き、息子のために300万円を用意した。私選弁護人を雇って被害者たちと示談交渉を進めようとしたが、これがさらに被害者たちの怒りを買い、冒頭の若林恭子さんは法廷に出廷してこう訴えた。
 「相手の弁護士から突然手紙が来て、慰謝料100万円で示談するか、しないかを返答せよと迫られた。そんな金額では納得できないと断ったところ、『今ならお金はあるが、訴訟になったら取れないよ』と言うので、その手順を踏まなければ前に進めないのかと思い、応じることにした。ところが、示談書に『被告人に処罰感情はない。寛大な処分を求める』という一文があることに違和感を感じ、文句を言ったところ、『そういうふうにするのが一般的』と言われ、早く終わりたいばかりにサインした。私は事件の被害に遭ったことを誰にも話していなかったし、誰にも相談できなかったので、弁護士の口車に乗せられてしまった。今でも犯人を許す気は全くない」

 被害者5人の示談書がそろっていたためか、織田は懲役13年という“温情判決”を言い渡された。
 この事件にはもう1人の被害者がいる。それは「弟のやったことは同じ女性として許せない」と自殺を図った織田の姉だ。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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