彩川ひなの 2018年7月5日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 極彩色の洪水に、酔いしれる! 『バーフバリ 王の凱旋』

掲載日時 2018年01月01日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年1月4日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 極彩色の洪水に、酔いしれる! 『バーフバリ 王の凱旋』

 ここのところ、このコーナーにもしばしば登場するインド映画。人物像もテーマも多様で、役者を変えればハリウッド映画かと見まがうほど洗練された作品が多い中、本作はどっからどう見てもザ・インド映画。
 CGも多用されてはいますが、いかにも「CGでございます」的な仕上がりで、まさに「原色の洪水」、「動く紙芝居」。これがインド映画史上最高興収を記録しているというのですから、インド人の皆さんは、最近のおしゃれすぎるインド映画より、案外、こういう往年の『ベン・ハー』のような様式美の世界観を待っていたのかも。原点回帰ですよね。

 私たち日本人も、アクションあり、戦闘シーンあり、恋愛ありの超大作を、その昔、例えば、シンドバットの映画を胸ときめかせて見た頃を思い出しながら、童心にかえって楽しんではいかがでしょう。
 ただ、続編ですので、先に前作の鑑賞、またはパンフレットを読み、あらすじをつかんでおくとよいかと思われます。インドの三国志とも言われる『マハーバーラタ』が下敷きになっていると言われてもさっぱり分からないので、自分もストーリーを読んでから臨み、混乱せずにすみました。

 本作で一番好きなシーンは、盾を手にした軍人たちがまとまり、ヤシの木のしなりを利用して、パチンコ玉のようにビョーンと飛んで城壁を乗り越えるところ。漫画みたいで笑えます。
 日本一のインド人街と言われる東京・西葛西周辺の映画館では上映しないのでしょうか。おそらく、老若男女のインド人の方々が大喜びで見ることでしょう。日本人と笑うツボが違っていたりして面白いと思います。

 さて、見どころの一つに、主人公「バーフバリ」と武術に秀でたヒロインが、それぞれの手に、一度に3本の矢を持ち、2人で寄り添いながら同時に敵を射るシーンがあります。
 よく見ると弓を引く手が逆手になっていて、インドの弓矢はこう射るのかと興味深かったです。…と申しますのも、自分は大学時代に体育の授業で弓道をとっておりまして、カッコつきの(優)という成績をいただいていました。(優)って普通の優より、上なんですよ。
 日本の弓道の場合は、矢を射終わったあとも、しばらく射る体勢を保って余韻を味わっていなければならず、それを「残心」と呼ぶと教わったことを思い出しました。大学から少し離れたところにある弓道場の空気感が清々しくて、好きでしたねぇ。

 文化的背景の違いを感じながら、映画館の大画面で見るのもオツだと思います。

画像提供元
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

■『バーフバリ 王の凱旋』監督/S・S・ラージャマウリ
出演/プラバース、アヌシュカ・シェッティ、ラーナー・ダッグバーティ、ラムヤ・クリシュナ、ナーサル
配給/ツイン

 12月29日(金)より、新宿ピカデリー、丸の内TOEI他、全国ロードショー。
 マヒシュマティ王国の王に指名されたアマレンドラ・バーフバリ(プラバース)は、自らが治める国を視察するため身分を隠して旅に出た。その途中、クンタラ王国の王女デーバセーナ(アヌシュカ・シェッティ)と恋に落ちる。一方、王位継承争いに敗れた従兄弟バラーラデーバが邪悪な策略で彼の王座を奪おうと陰謀を企み、さらにバーフバリだけでなく生まれたばかりの息子の命まで奪おうとする。25年後、自らが伝説の王バーフバリの息子であることを知ったシブドゥは、マヘンドラ・バーフバリとして、暴君と化したバラーラデーバに戦いを挑む。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

関連タグ:やくみつるの「シネマ小言主義」

エンタメ新着記事

» もっと見る

やくみつるの「シネマ小言主義」 極彩色の洪水に、酔いしれる! 『バーフバリ 王の凱旋』

Close

▲ PAGE TOP