鈴木ふみ奈 2018年11月1日号

大企業の人事担当者を名乗り就活生を“監禁レイプ”7時間(3)

掲載日時 2018年05月12日 21時00分 [事件] / 掲載号 2018年5月10・17日合併号

 優花さんも駐車中に男が助手席の間から身を伸ばして、優花さんのスカートの中に手を入れてきたところまでは覚えているが、男の手のひらが太ももの上を這いずり回っているところで、また意識が混濁した。
 優花さんも気が付くと、男と7時間もドライブしていた。男はいつの間にか優花さんの自宅近くの駅まで来ていた。記憶にないが、優花さんが自分で教えたらしい。優花さんは車から降り、母親に連絡し、迎えに来てもらったところで、また意識が混濁した。

 それが今回の事件報道で、自分も全く同じ被害に遭ったことに気付き、警察に相談。当時着ていたリクルートスーツを引っ張り出したところ、犯人の体液が付着していたことが判明し、そのDNA型が松原のものと一致した。
 「私は絶対に許しません。示談なんてしません。あんな気持ちの悪い体験をしたのは初めてです。法律に基づいて、犯人を厳しく処罰してください!」

 松原は敦子さんと優花さんに対する準強制わいせつとわいせつ略取、監禁の罪で起訴された。それでも松原は「自分がやったことではない」と否認し続けていたが、敦子さんが示談に応じる構えを見せると、一転して態度を軟化し、両事件とも認めた。
 「企業展が開かれる情報はネットで調べました。好みのタイプに声を掛けたのではなく、女性なら誰でもよかった。わいせつ行為をしようと思って薬を飲ませたのは認めます。でも、やりすぎてはいけないと思い、それ以上のわいせつ行為はしませんでした」

 優花さんのスーツに体液が付いていたことについても、「全く身に覚えがありません」と言い逃れした。
 「それでは7時間も何をしていたのか?」
 「被害者の体を触ったのは間違いありませんが、時間や回数は覚えていません」
 「それならもっと早く解放できたのでは?」
 「黙秘します」

 結局、空白の7時間を解明できなかった検察は、懲役2年という軽い求刑しかできず、しかも敦子さんが公判中に63万円で示談に応じたことから、裁判所は執行猶予付きの有罪判決を言い渡して釈放した。
 犯行に使われた薬は自分が心療内科に通っていたころに医師から処方されたものらしい。この手口を使い、わいせつ行為に及んだ場合、被害者の記憶はほとんどないので、立件に至るケースすらマレなのだ。捜査機関の泣きどころである。

 まともな会社の人事担当者が会場外で声を掛けることなどないということを、就活生側が頭にたたき込んでおくしかないだろう。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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