菜乃花 2018年10月04日号

過剰摂取も制限し過ぎもNG 夏を乗り切る塩分の上手な摂り方(1)

掲載日時 2016年08月13日 10時00分 [健康] / 掲載号 2016年8月18日号

 健康志向が強い中、減塩ブームもその一つに挙げられる。国でも「1日の塩の摂取量を健康な男性は8グラム未満、女性は7グラム未満」を目標にすることが望ましいとしている。「塩分の摂り過ぎで高血圧になっても、たまに頭痛や肩こりがあるくらい」などと、甘く考えない方がいい。余分な塩は想像以上に身体に痛打を与えているのだ。
 「塩分の過剰な摂り過ぎは、血管だけではなく、長い時間をかけ心臓や脳、腎臓などの重要な臓器にダメージを与え、命に関わる病気を引き起こす場合があるのです」
 こう語るのは、都内で総合医療クリニックを営む久富茂樹院長だ。

 塩に含まれるナトリウムは、生命維持に不可欠なミネラルの一つ。細胞外液(血液やリンパ液、胃液などの消化液、細胞間質液などを含めた総称)、細胞内液や骨の中に存在する。ブドウ糖などと結合して細胞内に栄養を運ぶ手助けをする他、胃液・胆汁の原料になったり、神経伝達や筋肉を動かすための電気信号に使われる。また、体液を弱アルカリ性に保ちホルモン分泌に影響を与えもする。
 「塩分を過剰に摂ると、のどが渇き水を飲みますが、これは水を吸収することで体内のナトリウム濃度を一定にするためです。その結果、血液やリンパ液などの量が増え、60兆個と言われる細胞が肥大化してしまうのです」(同)
 これが、いわゆるむくみの状態。同時に血流が増えることで、血管壁はもろく傷つきやすくなり、内圧が高まる。さらに対抗して血管壁が厚く硬くなるのだ。

 また、腎臓では体内の老廃物以外に余分な塩分や水分を尿中に排出する。過剰な塩分摂取となると、この腎臓に直接負担をかけることになり、毛細血管の固まりである腎臓の動脈硬化が進む。すると、腎硬化症と呼ばれる病気を引き起こすまでになる。
 東京都健康医療センター顧問・服部克哉氏は言う。
 「腎硬化症は、高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらす疾患です。ですから、高血圧をそのまま放置すると腎不全に進行することもあり、最悪の場合、人工透析が必要となります」
 服部氏によれば、腎硬化症で慢性腎不全になった患者は、同時に腎臓以外の動脈硬化も進行しているため、生命に関わる心筋梗塞や脳卒中などの危険性も高まる事が考えられるという。

 いずれにしても、腎臓に不具合が生じると心臓にも悪影響がでる。流れにくくなった血流を通そうと無理をするからだ。実際、慢性腎臓病の人は健康な人に比べ、2倍の心筋梗塞発症リスクがあることも報告されている。
 「厄介なのは、腎臓は機能の8割が失われるまで、自覚症状がないことです。だるさや、しつこいむくみなどに気付いた時には、病状はかなり進んでいます」(同)

 余分な塩分は、結果的には心臓までをも危険にさらすということだ。
 東京都多摩総合医療センター循環器科の外来担当医はこう語る。
 「過剰なナトリウム摂取は、心臓の筋肉を動かす電気信号に乱れを生じさせ、不整脈や心不全を起こす可能性を高め、血管を緊張させる交感神経を活性化する作用もある。血圧を上昇させて血管を圧迫したり、心肥大や心不全を生じるだけでなく、直接的に血管の炎症や免疫異常を起こして、動脈硬化や高血圧を生じさせる可能性も考えられます」

 脳内出血が多かった長野県では、減塩運動で大幅に患者数を減らしたことが知られており、脳と塩との関係は深い。また、過剰な塩分は骨の成分であるカルシウムを尿中に排泄し、骨をスカスカにするとも言われる。また、胃液を濃くして胃壁を荒らし、胃がんの原因にもなるのだ。

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