葉加瀬マイ 2018年11月29日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 民進党の自滅

掲載日時 2016年08月17日 10時00分 [政治] / 掲載号 2016年8月25日・9月1日合併号

 注目を集めた東京都知事選は、小池百合子氏の圧勝に終わった。全体として見ると、自民党が完璧な選挙戦術を取ったのに対して、民進党はあまりに下手だったことがこの結果をもたらしたのだと、私は思っている。
 自民党は、増田氏でも小池氏でも、どちらが当選してもよいという両面作戦に出たのだろう。もちろん表面的には、自民党東京都連は「小池氏を応援したら、親族を含めて処分する」という強烈な締め付けをしていた。しかし小池氏は、その制止を振り切って立候補した。当然、小池氏は、除名されるべきだった。ところが自民党は、小池氏を除名していない。さらに安倍総理は増田氏の応援にも行かなかった。つまり、自民党本部は、小池氏を自民党系の候補者として支えていたのだ。
 小池氏は、推薦を与えてくれなかった自民党東京都連を敵と位置付けることで、反自民の装いをまとうことになった。そのことが、無党派層の圧倒的な支持につながった。この戦略はかつて、小泉純一郎元総理が自民党の議員を“抵抗勢力”と呼んで、対立構造をアピールすることで国民の支持を高め、結局、自民党の圧勝を引き寄せたのと同じ構造だ。

 官邸は、小池氏の圧勝で三つの成果を獲得したとみられる。
 一つは、野党連合を粉砕したことだ。参院選で、野党連合は一定の成果を収めた。しかし、今回の都知事選で野党連合を完膚なきまでに叩きのめしたことで、次回衆院選での野党連合を揺さぶることができたのだ。
 二つ目は、都連会長である石原伸晃氏のメンツをつぶしたことだ。増田氏敗北の責任は、石原氏に押し付けられる。“ポスト安倍”の可能性も持っていた石原氏の芽は、この敗北で、完全に摘まれたとみてよいだろう。
 三つ目の成果は、自民党の利権を守ったということだ。小池氏は当初、都議会冒頭解散と言って、都議会との全面対立姿勢を鮮明にしたが、当選後すぐに「都民の幸福を優先するために都議会と連携する」と方針を転換した。都心部の容積率緩和など、都議会は大きな利権を握っている。おそらく、それは温存されるだろう。

 かつて橋下徹氏は、大阪府知事に就任したあと、自らの報酬カットだけでなく、府議会議員や府職員の給与にも大ナタをふるって、改革のための財源を生み出した。小池氏も、公約した子育て支援や防災対策などの施策を推進するためには、行革による財源の捻出が不可欠だ。
 日本一高い議員報酬や職員年収に切り込むところから始めなければ、改革は進まない。しかし、私は、議員報酬の削減も、職員給与の削減も、小池新知事は実行せず、結局、不信任案を突きつけられることもないとみている。

 一方、あまりに情けなかったのが民進党だ。いまから振り返ると、野党連合にとって一番望ましかったのは、宇都宮健児氏を擁立することだった。過去の都知事選で政策をきちんと作り込んでいたからだ。民進党が宇都宮氏を擁立しなかったのは、宇都宮氏の支援者に共産党系が多いからだろう。そんな狭い料簡では、岡田代表退任後の野党連合はおぼつかない。やはり、自民党の圧勝だ。

関連タグ:森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 地方選挙

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