菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 藤沢数希 『損する結婚 儲かる離婚』 新潮新書 740円(本体価格)

掲載日時 2017年05月21日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年5月25日号

 ――離婚して莫大なお金を請求される男性が後を絶たないそうですが、具体的にどんな例がありますか?

 藤沢 大きな金が動くのは「財産分与」と「婚姻費用」です。前者は結婚後に増えた財産を2人で半分ずつ分けるというものです。注意してほしいのは、結婚前の財産は関係ないということです。例えば、パチンコ屋の富豪息子と結婚した伊東美咲さんが仮に離婚した場合、美咲さんは一銭ももらえないかもしれません。結婚後に旦那の財産が増えていないからです。また、先日、妊娠中に旦那に浮気されて離婚した小倉優子さんの場合は、自分がコツコツ金を貯めていたので、むしろ支払う側になってもおかしくなかったのです。しかし、何と言っても強烈なのが、後者の婚姻費用(コンピ)です。“コンピ地獄”にハメられると、ケツの毛までむしり取られます。

 ――高所得者の配偶者は離婚協議の際に、なるべく離婚を引き延ばそうとします。なぜでしょうか?

 藤沢 例えば奥さんが専業主婦の場合、旦那が稼いできた可処分所得の半分を奥さんにあげなければいけません。民法に夫婦の生活水準は同じにしないといけない、と書いてあるからです。離婚協議が始まると、大体はこのコンピの支払い命令が下るのですが、これを離婚が成立するまで払い続ける必要があります。奥さんがゴネれば、それこそ10年は離婚できない。だから、自分の稼ぎの半分を10年にわたって支払うことになり、離婚するには、その10年分を前払いすることになります。私が、結婚はコンピというクーポンを毎月もらえて、満期に財産の半分が手に入る「債券」だという所以です。残念ながらこれを逃れる方法は、何もかも財産を失うくらいの自爆作戦しかありません。

 ――結婚、離婚それぞれ、後悔しないために気を付けることはありますか?

 藤沢 結婚は金融的にはゼロサムゲームです。自分より稼いでいる相手なら得します。逆であれば、なんとか「事実婚」で納得してもらうことです。世間体にとらわれる必要はありません。法律は完全に男女平等ですので、女性でも自分より所得が低い男性と法律婚をすると、多額の金銭を支払うハメになります。
 僕が言いたいのは「愛より金、なんていうつまらないことではなく、正しく結婚という契約を理解し、その上で愛する人と一緒になってもらいたい」ということです。結婚は利用したい人がすればいい単なる法的ツールで、結婚にこだわっている人ほど、「むしろ愛を優先させていない」と僕には思えます。
(聞き手/程原ケン)

藤沢数希(ふじさわ・かずき)
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て作家活動を開始。ブログ「金融日記」管理人。著書に「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」などがある。

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