中島史恵 2019年6月6日号

〈企業・経済深層レポート〉 客離れが加速? 業績好調の“いきなりステーキ”が挑む試練

掲載日時 2018年12月29日 07時00分 [社会] / 掲載号 2019年1月3日号

〈企業・経済深層レポート〉 客離れが加速? 業績好調の“いきなりステーキ”が挑む試練
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 株式会社ペッパーフードサービスが展開する立ち食いステーキ店『いきなりステーキ』が好調だ。今年11月、秋田市に363店目の店舗をオープンしたことで、初出店の2013年から約5年で全国制覇を成し遂げたことになる。

 同社の業績は順調で、まさに破竹の勢いだという。
「2018年1月から9月までの第3四半期連結累計期間の売上高は381億1300万円と、対前年比9.4%増。営業利益は36億5700万円で、こちらも対前年比3.8%増と好調です。また、今年9月には日本の飲食チェーンとして初めて米ナスダック市場に上場。昨年2月、海外初店舗をニューヨークにオープンして以来、現在はニューヨーク市内だけで11店舗を展開し、今後も店舗数の拡大を目指しています。業績だけ見れば、いきなりステーキは絶好調としか見えません」(経営アナリスト)

 ところが、飲食業界関係者の間からは、今後の展開を不安視する声も出始めている。天下無敵とも思える現状のいきなりステーキに何が起きつつあるのか。

 そもそもいきなりステーキは、ブックオフの創業者、坂本孝氏が展開する飲食店『俺のイタリアン』などに触発されて、がっつりとした肉を格安で食べられる店をコンセプトに一瀬邦夫氏が立ち上げた。
「初出店は銀座。当時は格安の立ち食い肉店として話題になったのです。マスコミでも取り上げられ、一気にブームに火が点いて順調に店舗数を増やしました。さらに2017年にラーメンチェーン幸楽苑グループと組んだことで、新規出店に拍車がかかりました」(飲食業アナリスト)

 しかし、この急速な拡大路線の勢いはいつまで続けられるか分からない。
「開店から15カ月を経た既存店の客足が減り、売り上げが対前年を下回るケースが増加中です」(同)

 事実、今年に入り15カ月を経た既存店の売上高が、毎月のように前年割れしはじめている。
「今年5月度の実績で、出店から15カ月経た既存店の売上高は、前年同月比9.8%減と減少傾向なのです」(同)

 客数は今年2月に12・7%増、同3月13・9%増と大幅な伸びを見せていたのだが、4月から減少に転じ、5月が9.0%減、6月は9.6%減、7月が9.4%減と、4カ月連続で減少。しかも、平均9%前後と大きな落ち込みを見せているのだ。
「客数が減っている原因は、5月の値上げが大きい。国産牛サーロインステーキが1㌘10円から11円、国産リブロースステーキが10円から11円に変更されました。12月には、さらに値上げするらしいです」(同)

 また、いきなりステーキは、リピーター客が少ないのも問題だという。
「当初は、立ち食いだが美味い肉がガッツリ食べられると人気を博しました。しかし、ランチは1000円台ですが、他メニューでは飲み物も入れると3000円近くになり、割高感は否めません。客も他のファミレスや肉料理店とどう違うのか、吟味するようになりますよね。だから、既存店にはリピーター客が少なくなっているのでは、とも言われています」(同)

 この客離れを察したのか、株価も5月から大きく落ち込んでいる。
「4月には7180円だった株価が、10月には2800円台まで急落。今はやや持ち直しましたが、それでも3765円(12月11日現在)と、ピーク時の半分程度です」(株式アナリスト)

 さらに飲食業界関係者はこう指摘する。
「『いきなりステーキ』も、全国にこれだけお店ができると目新しさはなくなりつつありますね。2019年は、新規出店だけでは勝負できないでしょう。年間200店舗の出店計画も今後はどうなるか、不透明です」

 ステーキを提供しているチェーン店の店舗数は、『びっくりドンキー』が300店舗前後、『ビッグボーイ』が270店舗前後と、どのチェーン店も300店付近で伸び悩んでいる。
「マクドナルドや牛丼屋の店舗数と異なり、日本のステーキ店は、300店前後、またはそれ以下が適正と言われています。いずれにしても『いきなりステーキ』は近いうちに限界が近づく。これからはリピート客をどう増やすかの方が重要ですね」(同)

 加えて、競合他社も増えている。例えば、焼き肉店『牛角』の創業者・西山知義氏が手軽に焼き肉を食べられることをコンセプトに展開する『焼肉ライク』は、5年で300店舗を目指すと宣言。オリエンタルフーズ株式会社が展開するスタイリッシュなステーキ店『マンディーズキューブステーキ』など、続々と新規参入してくる。

 いきなりステーキは、今後も新規出店にこだわるのか。2019年は真価が問われる年になりそうだ。

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