林ゆめ 2018年12月6日号

「脳のゴミを一掃せよ」アルツハイマー病血液判定に高まる期待

掲載日時 2018年02月19日 08時00分 [健康]

 「脳内のゴミを排除せよ」認知症の約6割を占めると言われるアルツハイマー病は、認識や記憶力などに障害が出る脳の病。アミロイドベータと呼ばれるタンパク質(脳に溜まる糸くずのようなゴミ)が脳に蓄積されるとリスクが高まるとされ、多くが40代後半から60代前半に発症する。
1月29日、国立長寿医療研究センターと、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏が所長を務める島津製作所の田中耕一記念質量分析研究所などのグループが、微量の血液から、将来、アルツハイマー病になるかどうかを判定できる技術を開発したと発表した。
 「研究グループは、そのアミロイドベータが脳に蓄積しているかどうかを推定できる『血液バイオマーカー』と呼ばれる指標を開発。わずか0.5㏄の血液を検査することで、蓄積の有無を判定できるという。現在はCT画像診断などで判断していますが、高額な上に施設も少ない。一方、発表された方法であれば低コストで大量に診断することも可能で、何よりほぼ90%正確ということから、期待が高まっているのです」(健康ライター)

 アミロイドベータは、アルツハイマー病が発症する20〜30年前から脳に溜まり始めると言われる。つまり、検査法が確立されれば、前もって発症する可能性を知ることができ、そのための対策を取ることもできる。
 山梨大学医学部名誉教授の田村康二氏も、こう期待を寄せる。
 「検査方法は信憑性が高そうですが、最終的には医学会の判断が必要です。しかし、今回の手法を使えば発症前に病気になりやすい人を手軽に見つけられるかもしれない。将来に準備することができそうです」

 ただし注意すべきは、アミロイドベータが蓄積されても必ずアルツハイマー病になるとは限らないこと。さらに問題は、蓄積が始まったことは確認できても、それを取り除き病の進行を食い止める治療法が確立されていないことだ。田中所長も発表会見で「根本治療薬を含めた様々な進展に貢献できる」と語っている。
 「そのため、健康な人が将来の自分のリスクを知って不安になったり、結果が第三者に伝わり、保険などで不利な扱いを受ける恐れもあります。今後は、アルツハイマー病の予防的な治療法の開発などが期待されます」(前出・田村氏)

 ともあれ、本人のみならず周囲の苦労も計り知れない認知症の負担が軽減される時代へ向け、前進したことは間違いない。高齢化社会の到来とともに、認知症の患者数が増加している。2020年には、患者数が325万人になると予測されているだけに、この判定法に期待が高まっている。


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