片山萌美 2019年7月4日号

創業者はバブル紳士の残党『レオパレス21』の裏の裏の顔

掲載日時 2019年02月13日 18時00分 [社会]

 『レオパレス21』の施工不良問題が波紋を広げている。同社は1996年から01年までに施工した建物で、仕切り壁や外壁、天井部分に建築基準法に違反する施工不良などの問題がある物件が延べ1324棟あったと発表した。

 問題物件を所有するオーナーは1163人に及び、最大で1万4000人あまりに転居を求める事態になっている。引っ越しや住み替え、改修中の賃料保証などを実施するというが、今期380億〜400億円の赤字を見込んでいる企業にそんなカネがあるのか。

 「経営陣は現預金が892億円、自己資本は1069億円で、自己資本比率は35%(2018年12月末時点)だから資金は十分あり問題はないと言っているようですが、今の状況で新たに同社とオーナー契約しよう、借りようという人が現れるのでしょうかねえ」(不動産アナリスト)

 同社の創業者は深山祐助氏といい、拓殖大学商学部在学中から不動産ビジネスを手掛け、28歳で前身の「ミヤマ」を設立した。現在の深山英世社長は甥にあたる。深山英世氏が社長に昇格したのは10年2月だ。

 同社はこれまで二度社名を変更している。1973年創業のミヤマは、89年にエムディアイ(MDI)に変わり、現社名になったのは00年から。90年のバブル崩壊後、経営不振に陥った危ない不動産会社の頭文字を並べた隠語が流行ったことがある。「AIDS」(エイズ)をもじったA=麻布建物、I=イ・アイ・イ、D=第一不動産、S=秀和、そして「3M」(マルコー、箕輪不動産、ミヤマ(現レオ21)だ。この中で今なお創業者一族が健在なのは同社だけだ。

 深山祐助氏が成功の土台を築いたのは、80年代半ばに始めた都市型アパート事業。箱形の部屋を1室ずつ工場生産し、それを現場に運んで積み上げていくユニットプレハブ工法を採用。さらに80年代後半から05年まで入会金15〜20万円、年会費2万数千円(地域によるバラツキはあった)を払えば敷金・礼金なしでレオパレスに住み替えが可能という会員制度をとった。

 これが後に「敷金・礼金ゼロの部屋探し」のキャッチフレーズになり、知名度を上げ、ユニットプレハブ工法による大量生産と合わせた製販一体の「レオパレス商法」(サブリースなどとの組み合わせ)に発展していく。

 「深山祐助氏は06年5月、月極め賃貸マンション『マンスリーレオパレス』の入居者から、据え付け家具や家電の無償修理サービスのために集めていた共済事業の積立金84億円のうち、47億円を自宅購入や自身の不動産投資などに流用していたことが発覚します。これを糾弾された祐助氏は社長を辞任、取締役退任も余儀なくされましたが、07年12月には、経営から退いたはずの祐助氏が『会長』として出社していることが、某週刊誌で暴露されています」(古手の経済ライター)

 このころからレオ21の”悪童”ぶりはいかんなく発揮される。07年11月には大宮支店(埼玉県)での「宅建業法違反」(宅地建物取引主任者の偽装配置)、同12月には富山県在住のアパートオーナーによる30年一括借り上げ契約をめぐる訴訟。09年11月には、参院財政金融委員会において共産党議員が、レオパレス21の住宅支援制度を「生活困窮者への融資を食い物にする貧困ビジネス」と批判するなど、レオパレス21は「スキャンダルの集合住宅」の様相を呈した。
「同社はリーマン・ショックで巨額赤字を抱えましたが、その前段の1990年に、不動産融資の総量規制をきっかけにバブルが崩壊、当社のアパート投資に群がっていた個人投資家が一斉に逃げ出し、売上高は3分の1以下に激減するという第1次経営危機に瀕しています。91年3月期には、3600億円の有利子負債を抱え、グアムのリゾート開発でも数百億円の損失を出してもいる。90年以降4期連続で赤字を計上しましたが、94年には当時のメインバンクなど19の取引金融機関が協議し、借入金返済の3年間凍結などを柱とする再建策をまとめたことでまずこの危機を脱したのです」(同)

 第2の危機は08年のリーマン・ショック後で、10年3月期に790億円、翌11年3月期には408億円の巨額赤字を抱えて経営危機に陥る。

 「これを脱するため11年に、サブリース契約解除を一方的に通告する『終了プロジェクト』を強行しています。しかし、神戸のオーナーからは逆にサブリース契約解除無効訴訟を起こされ、その際オーナーは違法建築も裁判の争点にしていたのです。その結果、把握された違法建築は複数に及びましたが、同社は秘密裏に改修し続けます。昨年放送されたテレビ東京の『ガイアの夜明け』がこれを示す内部文書を暴露しました。それだけではありません。巨額赤字を抱えた同社は、13年に320億円の公募増資を実施しています。そこでは、当時隠していた違法建築や訴訟について投資家に開示していません。オーナーや入居者への背信行為ばかりか、一般投資家までだまそうとした疑いは濃厚です」(不動産アナリスト)

 05年までの会員制度が破綻し、窮した祐助氏はビジネスモデルの転換に動いた。それまで分譲マンションや建売住宅の業者と同じように、自社で土地を地主から買い上げてアパートを建築した後に投資家に売却していたスタイルをやめ、地主に物件をそのまま保有させ入居者を斡旋して、建築代金や手数料を稼ぐ手法に改めたのだ。

 完成後の入居者確保に不安を覚える地主を説得するために編み出したのが、これも後に何かと話題になった「30年一括借り上げシステム」だ。が、幾度となく襲来した危機を口八丁手八丁で乗り越えてきた同社もいよいよ年貢の納め時が来たようだ。


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