葉月あや 2019年5月2日号

〈目からウロコの健康術〉 健康のために立ち上がれ!? 「座りすぎ」は寿命を縮める!

掲載日時 2019年03月21日 12時00分 [健康] / 掲載号 2019年3月28日号

 「椅子などに長く座り続けると、寿命が縮む」という話をご存じだろうか。デスクワークなどの仕事に携わる人や、毎日座っている時間が長い人は、知らず知らずのうちに寿命を縮めているという説がある。医療機関でも、これを重要視し、対策に取り組んでいるという。特に、長時間労働が問題視されている日本では「座りすぎ」の対象者が多い。どう対処したらいいのだろうか。

 欧米諸国では、座りすぎが問題視されるようになったのは、2000年以降のこと。国民病と化した肥満と糖尿病などの解消が当初の目的で、オーストラリアは官民一体となり、テレビCMで「脱・座りキャンペーン」の動画を流すなど、警鐘を鳴らしている。

 また、イギリスは世界一早く、「座りすぎのガイドライン(英国身体活動指針)」を作成。「就業時間中に、少なくとも2時間、理想は4時間座っている時間を減らして、立ったり、歩いたりする低強度の活動にあてるべきだ」と勧告している。

 アメリカでも、シリコンバレーのIT企業を中心に、立ってデスクワークが出来るスタンディングデスクが浸透するなどし、今もそのニュースが伝えられているという。

 当然、日本でも「座り続ける生活は寿命の短縮につながる重大な健康リスク」と言う声が、医療関係者らから上がっている。文具、事務用品製造の大手企業が1200人を対象に「オフィスチェアー」に関するネットアンケートを行った。

 それによると、平日に勤務している従業員や役員の「座っている時間の長い職種」は「企画・マーケティング」で、平均8時間17分だという。以下「デザイナー・クリエイター」(同7時間45分)、「ITエンジニア」(同7時間40分)と続く。起きている大半が座っているといことだ。

 この「座りすぎ」が寿命を縮めることは、国内外のさまざまな研究で明らかになってきている。

 米国・コロンビア大学の研究チームによると、座ったままの作業が長時間に及ぶと、死亡リスクが高くなると報告。また、テレビの視聴も座りすぎと深い関りがあり、テレビを見るために1時間以上座り続けると、平均寿命が22分間短くなるとの報告もあるほど。

 東京労災病院内科糖尿病・内分泌科の桑原光史医師はこう語る。
「デスクワーク中心の女性は、立ち仕事など体を動かす女性に比べると、総死亡率が32%、がん死亡率が40%も高くなるとの報告が英国で出されています。座ったまますごす時間やその頻度が多いと、肥満や糖尿病を招き、筋肉や心臓、血管などの運動器の能力が低下し、心肺機能の低下などを引き起こすと言われます」

 なぜ、座り続けると糖尿病のような代謝異常や心血管疾患が起こるのか。現時点では明確な答えはないものの、いくつかの有力な説があるのも事実だ。

 その1つが筋肉を動かすことにより、インスリンとは別に血液中の糖や中性脂肪を細胞内に取り込むメカニズムが働くというもの。
「座って脚の筋肉がほとんど動かない間、“第2の心臓”と言われるふくらはぎの活動は停止状態になっています。言い換えれば、下半身に下りた血液を心臓に押し戻すポンプの働きが停止して、全身に酸素や栄養を送る血流が滞ってしまう。その状態が長引くほど、いわゆるドロドロ血と言われる状態になって血栓ができやすくなります。血栓は、がんを含むあらゆる病気に多く見られる血管トラブル。血栓が血管に詰まって静脈血栓塞栓症を引き起こせば、即、死に至るケースもあり得ます。また、ふくらはぎだけでなく太ももは健康維持に欠かせないポイントです。太ももには、人体で最も大きい大体四頭筋という筋肉があり、この筋肉を動かすことはエネルギー代謝のよし悪しを左右する。ですから太ももの筋肉が活動停止状態になると、糖の代謝に関わる機能や脂肪を分解する酸素の活性が低下し、肥満や糖尿病になりやすいのです」(前出・桑原医師)

★EDのリスクも高める!?
 怖いのは、座りすぎのリスクが日常生活で年々高まっていることだ。ある医療関係者は「最近はリモコンや携帯電話など、身近に用意しておけば体を移動させることなくボタン1つで何でもできるようになっています。かつては照明をつけるのにも、電話をかけるのも、スイッチのある場所に行かないと用が足せませんでした。ところが年々便利になり、体を動かさずに済む。そのため多くの人は血液がドロドロになりやすくなっているのです」と嘆く。

 こうした座りすぎ生活は、死亡率を高めるだけでなくED(勃起不全)のリスクも高める傾向があるという。
「まだはっきりしたことは言えませんが、2型糖尿病の人を対象に自己申告による座り時間とEDとの関連を調べた研究で大よそつかんでいます」(同関係者)

 次のような愛媛大学医学部の研究データがある。

 2型糖尿病の男性患者430人(平均60・5歳)に、過去12カ月の典型的な24時間のうち座って過ごした時間について尋ねた。その回答に基づいて、座っている時間を「5時間未満」「5〜9時間」「7〜9時間」「9時間以上」の4つに分類して調べた。

 その結果、「9時間以上」の群を「5時間未満」の群と比べると、重症EDの有病リスクが平均85%も高くなったという。

「日本人の1日の座っている時間は世界一長い」と指摘されている。世界20カ国の平均が5時間なのに対し、日本人は7時間だ。真面目な国民性で働きすぎることが原因だが、愛媛大学の研究チームによると「40〜64歳の日本人を対象に調査したところ、1日の平均的な総座位時間は8〜9時間だった」という。

 例えば、デスクワーカーで残業をしない場合、デスクと昼食時に座っている時間は6〜7時間。18時前後に会社を出て居酒屋で一杯、帰宅後にテレビやスマホを見る間も座っていればプラス2〜3時間。合計8〜10時間で平均9時間だから、前出のデータを2時間上回ることになる。

 何時間以上が“危険水域”という基準は研究段階だが、医療関係者こうアドバイスする。

「自分が座りすぎていると感じている人は、会社でも自宅でも1時間に一度は必ず立ち上がり、2〜5分は歩き回ることです。太ももやふくらはぎの筋肉を動かすスクワットも効果的で、通勤時間帯などを利用して1日30分以上は体を動かすといいでしょう」

 とにかく、日頃から体を動かす癖をつけ、座りすぎに注意したい。

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