久松かおり 2019年4月4日号

〈企業・経済深層レポート〉 個性的な客室が続々登場 業界に激震が走るカプセルホテル革命

掲載日時 2019年03月13日 06時30分 [社会] / 掲載号 2019年3月21日号

〈企業・経済深層レポート〉 個性的な客室が続々登場 業界に激震が走るカプセルホテル革命
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 ただ寝られるだけでいい…そんな場所として扱われていた「カプセルホテル」に、近年、そのイメージを覆す革命が起きている。カプセルホテルの客室といえば、プラスチック製の狭い空間で身動きもままならず、ビジネスホテルに比べて居心地は悪かった。それが「カプセルホテルに泊まりたい!」と思う人が続出しているという。

 カプセルホテルが、ビジネスホテル以上に注目を集める理由をホテル業界関係者が解説する。
「大都市部に限っていえば、ビジネスホテルの宿泊費が1泊1万5000〜2万円となり、地方企業や個人旅行者にとっては、負担が大きい。かといって相場が3000円前後とはいえ、従来型のカプセルホテルは泊まりたくない。価格的にも空間的にも、ビジネスホテルとカプセルホテルの中間的な宿泊施設が欲しいという要望が強かったんですよ。そうした声に応えるように快適性が高いカプセルホテルが生まれました。それに加え、個性的な室内をウリにしているホテルも急増しています」

 例えば、今年4月にオープン予定で、「禅」をテーマにした「ホテル・ゼン・トウキョウ(hotel zen tokyo)」は、各部屋を“千利休の茶室”に見立てた、今までにないコンセプトのカプセルホテルだ。
「ホテル・ゼン・トウキョウを運営する株式会社SENの創業者であり代表取締役の各務太郎氏は、早稲田大学の建築学科を卒業後、電通を経てハーバード大学でデザインを学び、同社を創業。世界中の大都市の地価が高騰していることがホテル業の大きな課題だと気づいた各務氏は、空間を活かせるカプセルホテルに注目しました。それに加え、日本文化の発信です。その両方にマッチしたのが、千利休の茶室をコンセプトにしたカプセルホテルなのです」(経営アナリスト)

 同ホテルは、体格のいい外国人にも決して狭さを感じさせない室内になっている。高さは2.2㍍、幅は1.5㍍前後と、従来のカプセルよりもゆったりし、ベッドもセミダブルを採用して快適性も高いという。
「宿泊費は一泊6000〜1万円前後とビジネスホテルよりも割安です。場所も人形町のため、観光名所やビジネス街に近く、すでにサラリーマンや訪日外国人からオープン前だというのに注目を集めていますね」(同)

 ほかにも、ユニークな新型カプセルホテルが続々と誕生している。

 東京・神田には、「マンガ・アートホテル・トウキョウ」という漫画好きにはたまらないカプセルホテルが、今年2月に誕生した。
「常時5000冊のマンガがホテル内にあり、外国人が泊まることを想定して英語版も用意されています。設備面も充実していて、シャワー室やトイレは各階に完備。それでも宿泊料金は、5000円〜7000円前後に設定していて、ビジネスホテルと比較しても格安となっています」(ホテル業界関係者)

 さらにカプセルホテル業界は、異業種からの参入も増えている。全国の高級ホテル内で、コスチュームジュエリーや時計等のインポート商品を扱う「ABISTE(アビステ)」は、カプセルホテル「アルビダホテル青山」を昨年暮れにオープンした。
「このホテルは女性専用になっていて、アメニティや美容機器などが充実しています。これまでのカプセルホテルは男性がメーンの客層でしたが、このように最近は女性客も利用しやすいホテルが増えているのです」(同)

 カプセルホテルに似ているが〈カプセルホテルでもなく、ビジネスホテルでもない、新しいスタイルのホテル〉をキャッチフレーズにコンパクトな快適空間を提供しているのが「ファーストキャビン」だ。
「このホテルは飛行機のファーストクラスをイメージした室内となっていて、ゆったりした室内に加え、共有部分は高級ホテル並みに豪華。しかも宿泊費は、およそ5000円前後からとやはり低料金で、サラリーマンを中心に人気を得ているようです」(同)

 このようにホテル業界では、個性的で快適なカプセルホテルが脚光を浴びつつある。しかし、業界では新たな課題も生まれている。
「オリンピックに向けてホテルの建設ラッシュが続き、ビジネスホテルも急増し、競争が激化しています。そのため都市部のビジネスホテルは、稼働率を上げるために宿泊費を下げています。その結果、カプセルホテルの価格帯に近づきつつあり、うまく棲み分けていたカプセルホテルとビジネスホテルの間でも競争が激化しているのです」(前出・経営アナリスト)

 さらに最近は、民泊を利用する人も増えている。2019年はビジネスホテル、民泊、カプセルホテルの宿泊施設の間で三つ巴の気配も出てきている。

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