中島史恵 2019年6月6日号

世界中から恨まれながら「クジラを食べたい日本人」が果たしてどれだけいるのか

掲載日時 2019年01月08日 22時00分 [社会]

世界中から恨まれながら「クジラを食べたい日本人」が果たしてどれだけいるのか
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 米紙ニューヨーク・タイムズは昨年大みそかに《日本はクジラの虐殺をやめよ》と題した社説を掲載し、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)脱退を決めたことについて「危険で愚かな動き」と批判、再考を求めた。

 「虐殺」とはよく言ったものだ。米国民はアメリカバイソンばかりか、北米先住民に何をしたのか忘れたとでも言うのだろうか。

 「1971年、ニクソン米大統領は、ベトナム戦争の泥沼化で高まった反政府世論をかわし、政府のイメージ回復を図るためにクジラやイルカなど海洋哺乳類の保護を重要な政策として打ち出しました。米国民の目をベトナムにおける非人道的な『枯葉剤』の使用から『捕鯨国の残虐行為』にそらすことを狙った作戦でした。この環境保護政策にはイギリスも協力したのですが、中世イギリスではクジラを食べており、沿岸のクジラは王室のものとされていたのです。米国の知性を代表するニューヨーク・タイムズともあろうものが、半世紀たって脳みそが溶けちゃたのでしょうか」(国際ジャーナリスト)

 捕鯨は日本人の「残虐性」を象徴するものとして、反日感情をあおるための道具として使われており、欧米の環境保護団体は、日本のイメージを悪化させるキャンペーンを展開する一方、間違った情報を故意にマスコミに流したり、捕鯨関係者に対するテロリズム的な嫌がらせも行っている。

 ところで、日本が脱退したIWCとはどんな国際機関なのだろうか。

 設立は1946年。70年代まで加盟国は17カ国前後で、多くは自国の捕鯨産業を保護したい捕鯨国だったが、いつの間にかスイスなど内陸国や英連邦の国家群が加入している。

 2000年6〜7月に反捕鯨の急先鋒であるオーストラリアのアデレードで開かれたIWC総会では、日本捕鯨協会がテレビコマーシャルを打ったり、パンフレットを市民に配ったりして捕鯨の意義を訴えた。そのパンフレットには《鯨肉は日本人の生活に欠かせないタンパク源で、オーストラリア人にとってのミートパイのように、日本にとって不可欠な食文化となっています。他国の食文化への介入は避けるべきではないでしょうか》という意味のことが書かれていた。

 しかし、正直に言えば、現在の日本人は鯨が“伝統食”といわれても違和感を持つのも事実だ。鯨肉などめったにお目にかかれない“珍味”である。

 実はここに捕鯨産業の本音が隠されている。商業捕鯨の禁止により、鯨肉は高価な商品として定着した。業界人にとって、商業捕鯨が解禁(事実上、日本近海だけの部分解禁)されれば、高級品のイメージが定着しているから仕入れ値だけが下がれば儲けることができるという仕組みだ。

 現代日本人にとってはクジラやシャチは、もはやカワイイ観光資源だ。商業捕鯨の再開になっても、とても食べられやしないだろうに…。


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