北朝鮮 金正恩委員長「重篤説」裏で悪だくみコロナ新型テロ

社会・2020/05/10 18:00 / 掲載号 2020年5月21日号
北朝鮮 金正恩委員長「重篤説」裏で悪だくみコロナ新型テロ

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 世界一の軍事大国の米国でも、海軍の艦船でコロナ感染者が急増し、初めて死亡者まで出した。この状況に付け込むかのように中国は南シナ海や尖閣諸島での軍事挑発を活発化。感染者ゼロを豪語する北朝鮮も、3月2日、9日、21日、29日に短距離弾道ミサイルや超大型ロケット弾などを日本海に発射した。

「4月14日には、航空機訓練と地上から短距離巡航ミサイルと推定される飛翔体を発射しました。ところが、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は試射翌日に一言も触れませんでした。失敗したわけでもないのに報じないのは、金正恩党委員長によほどのことがあったからではないでしょうか」(軍事アナリスト)

 実は今年に入ってから正恩氏の動静報道が以前より報じられなくなり、“金正恩重篤説”が囁かれている。動静報道の空白期間が2週間以上となったのは、1月27日〜2月15日(20日間)、3月23日〜4月9日(18日間)、そして、4月12日〜4月29日(18日間)と、短期間のうちに4度も生じている。これ以上不在期間が長引けば、“重篤説”がますます真実味を増していくことになりそうだ。

 正恩氏の健康不安説を最初に報じたのは韓国の北朝鮮専門サイト『デイリーNK』だ。4月20日、「4月12日に金一族の専用病院『香山診療所』で心血管疾患の手術を受けて現在静養中」と伝えている。

 これだけなら世界が驚くというほどではないが、米CNNが同日、米政府当局者の話として、正恩氏が手術後に「重大な危険に陥っているという情報がある」と報じたのである。

 このCNN報道は世界を駆け巡った。

「重篤説を裏付ける傍証として、金日成誕生日(4月15日)に本来なら姿を見せなければならない錦繍山太陽宮殿に、正恩氏は姿を見せませんでした。参拝したのは側近幹部たちだけだったのですが、不思議だったのは、実妹・金与正氏も、そして正恩氏の最側近と言われる趙甬元党組織指導部副部長の姿もないことです。2人は正恩氏の容態が悪いために付き添っているのではないかと、重篤説に信ぴょう性が増したのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 死亡、脳死、植物人間……様々な重篤説が乱舞しているが、韓国はどれも否定的だ。金錬鉄統一相は「香山診療所は保健所と同じで、手術や手術をすることができる施設がない」ことを根拠に挙げ、重篤説を一蹴している。

 だが、トランプ大統領は4月27日、「はっきりとは言えない、いまは明らかにできない。しばらく経てば分かるだろう。彼は元気であることを願う」と、正恩氏が「かなり深刻な事態」と思わせる発言をしている。

 正恩氏の健康状態がどうあれ、米朝の対話路線は勢いを失い、両国関係は新たな段階に移行する可能性が高い。北朝鮮軍による“強硬路線”が復活する恐れも出てきている。

 北朝鮮に詳しい軍事ブロガーは、コロナを悪用した“新型テロ”を懸念する。

「世界がコロナ禍で大混乱に陥る様子を見て、北朝鮮は改めて生物化学兵器(以下、BC兵器)の威力を再確認したでしょう」

 そもそも、北朝鮮は金日成氏の指示で、1960年代初頭からBC兵器開発に着手していたという。

「目的は、戦争で使用して効率よく敵の戦力を殲滅するためです。そのため80年代からは本格的な生産を始めています。韓国国防省が発刊した『国防白書2014』は、BC兵器の生産施設は平安北道の清州など3カ所にあると報告しています。これは国際機関も認めていることで、備蓄したBC兵器はサリンガス、タブンガス、マスタード、VXガスなど15種類あり、実際に正恩氏の異母兄である金正男氏の暗殺に使われたのはVXガスでした」(前出・軍事ブロガー)

 安倍晋三首相も2017年4月13日の参院外交防衛委員会で、「北朝鮮はサリンを弾頭に付けて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べている。

 そんな中、チュニジア政府が4月16日、治安部隊の隊員を新型コロナウイルスに感染させる“テロ”を企図したとして、イスラム過激派の構成員とされる男2人を逮捕したと発表した。

「BC兵器として警戒されているのは、炭疽菌などの致死率が50%を超える毒性が強い病原体です。これと比較すると、現時点でのコロナウイルスの致死率は7%程度と兵器として使うには弱い。しかし、長期にわたって大量の患者を発生させ、敵側の医療・経済資源を潰せることで大きなダメージを与えることができます。新型コロナは、新しいタイプの生物兵器として使える可能性があるのです」(同)

 ただし、新型コロナをBC兵器として使用する場合、敵ばかりか味方までもが被害を受けてしまう可能性が高いという欠点がある。

「だが、北朝鮮工作員の命は軽いので、北朝鮮側からしたら、この欠点は問題ない。コロナに感染した工作員なら、X線検査にも金属探知機にも引っかからないですし、“人間生物兵器”として、攻撃対象に容易に接近することができます。『新型コロナに感染した工作員を送り込むぞ』と警告するだけでも大きなプレッシャーとなる。メリットが多いため、北朝鮮がコロナを悪用した新型テロを画策している可能性は否定できません」(同)

 北朝鮮が新型テロを計画していないことを願いたい。

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