菜乃花 2018年10月04日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 巨大山火事にたった20人で立ち向かった実話 『オンリー・ザ・ブレイブ』

掲載日時 2018年06月29日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年7月5日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 巨大山火事にたった20人で立ち向かった実話 『オンリー・ザ・ブレイブ』

 2013年、アメリカのアリゾナ州で起こった未曾有の山火事。それに、たった20人で立ち向かった精鋭部隊『ホットショット』。当時のオバマ大統領も「彼らは真の英雄だ」という声明を発表したそうです。
 9・11以来、消防隊員がヒーローとして扱われる映画はいくつも作られましたが、森林火災専門の消防隊員の映画を見たのは初めてです。日々繰り返される厳しい訓練、そして一滴の水も使わない山火事特有の消火方法などは必見です。山火事が発生すると、険しい山道を猛スピードで駆け登り、木々をチェーンソーで伐採し、先に火をつけて燃える物を取り除く。それから線状に穴を掘って、これ以上、燃え拡がらないよう防火帯を作るというもの。もっと効率的で科学的な方法はないのかと思うほど、「人力」に頼っています。
 普段はふざけた兄ちゃんたちが、いざとなると鍛え抜かれた腕一本で燃え盛る炎を制し、守り抜くのですから、これに快哉を叫ばないわけがありません。山火事の現場をリアルに再現するために、撮影スタジオ裏手の8000平方メートルを超える敷地にわざわざ植林して森を作り、液体プロパンと燃料を使って燃やしたというのですから、まさに「そこまでやるか!」という感じです。

 自分の住んでいる街でも市民消防団がありまして、旧友たちもボランティアで活動しています。仕事も忙しいのに、訓練や点検などに余念がない。わが街を守るために、無欲で奉仕する姿勢に頭が下がる思いです。
 自分はというと、地元消防署の防火キャンペーンにイラストを提供したり、子供たちが書いた消防車写生会の絵の審査員をしているだけなのに、感謝状をいただいたり、一日消防署長を務めさせてもらったり。いやはや、申し訳ない…。
 ただ、おかげで消防活動に関するレクチャーをいただけるなど、知見を深めることもできました。印象的だったのは、火災現場に到着後、最初に折りたたみ机を広げて現場の見取り図を書く作業。まず、消火方針を固めてから動くわけです。むやみやたらと水をかけるのではないんですね。
 リーダーの的確な判断のもとで一致団結して動くのですが、このリーダーシップというのが自分にはひとかけらもありません。先日もクイズ番組でキャプテンに指名されましたが、実態はそのゲームに長けている若い女性棋士に「次はどうやるの?」と指示を丸投げ。
 かつて就活していた頃、各社から落とされましたが、面接官は私が団体行動に向かないと見抜いていたんでしょうね。

画像提供元
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■『オンリー・ザ・ブレイブ』監督/ジョセフ・コシンスキー
出演/ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、テイラー・キッチュ、ジェニファー・コネリー
配給/ギャガ

 6月22日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。
 学生寮で堕落した日々をすごしていた青年ブレンダン・マクドナウ(マイルズ・テラー)は、恋人の妊娠を契機に生活を改めることを決意、地元の森林消防団に入隊する。過酷な訓練に毎日絶えながらも、ブレンダンは仲間たちと絆を深め、チームを率いるマーシュ(ジョシュ・ブローリン)との信頼を築き、支えられながら少しずつ成長していく。そんなある日、山を丸ごと飲み込むような大規模な山火事が発生し…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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