林ゆめ 2018年12月6日号

金正恩委員長が非核化の見返りに熱望する個人資産4兆円凍結解除

掲載日時 2018年07月12日 15時00分 [社会] / 掲載号 2018年7月19日号

 北朝鮮は5月24日、メディアのみを招待して核実験場の爆破を公開したが、2008年にも原子炉の冷却装置を公開爆破している。当時、米ブッシュ(ジュニア)政権がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアにあった金正日総書記の秘密口座を凍結したため、金欠に陥った正日総書記が悲鳴を上げ、核開発の停止を実行する代わりに口座の凍結解除をもぎ取ったのだ。ただし、核開発は継続され、米国は見事に騙されている。
 「北朝鮮は米朝会談が開かれたシンガポールのホテル代を払えず、同国政府が肩代わりしています。金欠ぶりを、世界に大恥をかいてまで披歴したのは、米情報機関が金正恩党委員長の秘密口座を凍結しているためではないかと推察されます」(国際ジャーナリスト)

 金ファミリーには外国の銀行に秘密口座があるといわれてきた。その額、およそ400億ドル(4兆円)。国家財政が破綻し、国民が餓死していく中で、金一族がぜいたく三昧の生活を維持するだけでなく、軍・党幹部に豪華なプレゼントを行うことで体制の安定を保持する役割を果たしてきたのが、この秘密口座だ。
 「共同声明に盛り込まれた非核化など各項目の履行は『後継交渉はポンペオ国務長官と北朝鮮高官が主導して行う』と明記されています。ポンペオ氏は中央情報局(CIA)長官時代の3月下旬と国務長官に就任してからの5月初旬の2回、平壌を訪問し正恩委員長と膝詰め談判しています。実は2回目の訪朝では、ポンペオ氏が帰国後も10人前後のCIA要員が平壌に残りました。彼らは盗聴防止の保秘電話システムを持ち込み、正恩委員長の執務室に米朝直通の“ポンペフォン”を設置したと考えられます。共同声明にポンペオ氏の名が明記され、北の高官に個人名がないのはなぜか。それは正恩委員長がウソをついたり、完全非核化を反故にすれば、秘密口座の凍結解除はない。それができるのは凍結したポンペオだけだ、という密約があるからでしょう」(同)

 トランプ大統領は6月22日、北朝鮮の核兵器は米国にとって「異常で並み外れた脅威」だと指摘し、制裁を1年延長すると米議会に伝えた。そのトーンは米朝首脳会談の翌日にツイッターに書き込んだ「もはや北朝鮮の核の脅威はない」というコメントとは大きく乖離している。
 一方、北朝鮮は米朝会談前の5月、“反米グッズ”を土産物店から撤去するよう指示を下していた。
 「北朝鮮では例年、朝鮮戦争が始まった6月25日から休戦協定が締結された7月27日までを『反米闘争月間』に指定し、例年6月25日には、反米感情をあおる大規模な集会が催されるのですが、今年は静かでした。そこまで従順な姿勢を見せるのは、一刻も早く秘密口座を解除してもらいたい、そのためなら“反米”は捨てる、と必死でアピールしているからです」(北朝鮮ウオッチャー)

 トランプ大統領は正恩委員長に直通電話番号を教え「いつでもコールを」といった具合に胸襟を開いた。一方、北朝鮮は前述のような米国批判を避け、両国関係が改善されてきたというイメージの操作に腐心している。とにかく、投資を呼び込みたい一心なのだ。
 その一方で中・長距離弾道ミサイルの発射を控えるとともに、核実験場の破壊など、それなりのパフォーマンスを繰り広げている。3人の米国人の人質を解放し、朝鮮戦争で亡くなった米兵士の遺骨の返還など人道面の努力も忘れていない。
 しかし、シンガポールの米朝首脳会談の目的は北の非核化の実現と同時に、中国への必要以上の接近を警告するためもある。

 現在、中ロ韓の各国企業は、米朝の緊張緩和による利益を得ようと画策しているが、過去、挫折に終わったサムスンの平壌事業を筆頭として、何百件もの合弁事業が似たような失敗に終わったことを鑑みれば、北朝鮮は世界で最もリスクの高い投資先と言える。
 それにもかかわらず、米朝首脳会談の数日前に、ソウルで開催された北朝鮮での投資機会についてのカンファレンスには600余人が参加した。
 「CIAの公開文書には、2004年から2011年までの期間に締結された北との合弁事業が350件以上も記載されており、このうち約4分の3は中国パートナーとの合弁事業でした。しかし、昨年9月に国連安保理が北とのすべての合弁事業を禁止するという制裁決議を採択した時点で、すでに大半が閉鎖に追い込まれていたのです。ネックは電力不足で、例えば、マクドナルドが平壌に進出しようにも、冷蔵・冷凍施設が立ち上がらないようでは、マックのパティなどの現地供給などがままならないのです」(同)

 正恩委員長はトランプ大統領との会談で、非核化の口約束だけで「秘密口座の凍結解除」「制裁解除」「経済支援」を勝ち取りたかった。
 父親、正日総書記の時代から北朝鮮は大国を手玉に取り、欲しいものだけを手にしてきたので、息子の自分もできると簡単に考えていたようだ。
 しかし、日本の安倍首相や脱北者、信頼の厚いボルトン補佐官からアドバイスを受けていたトランプ大統領は、騙されなかった。

 正日総書記は16年前、日本が戦後賠償などで100億ドル(当時のレートで1兆円)を出す用意があると伝えられると、自尊心を曲げ、拉致を認めて謝罪した。やはり息子も、カネで転ぶDNAを持っているようだ。

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