園都 2018年6月28日号

韓国カジノ漫遊記 パラダイスシティ潜入! フリーライター・山本智行(元スポニチレース部長)

掲載日時 2017年08月05日 13時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年8月10日号

 7月初旬。居ても立ってもいられず、関西国際空港から韓国・仁川国際空港行きのピーチ便に飛び乗った。日本流のおもてなしが期待できるリゾートとして、4月20日に華々しくオープンしたはずの『パラダイスシティ』。しかし、ことカジノに関し、現地を訪れた友人、知人の評判が思ったほど芳しくなかったからだ。
 「ホテルはともかく、カジノゾーンは機械を締めているところが多い。不安定な世界情勢の影響もあるが、見切り発車だったのではないか」
 「あまり知られていないのか、静かすぎて博打場じゃないみたい。今後? 厳しいんじゃないですかね」
 負けた腹いせか、皮肉からか、業界関係者や知人からもこんな声を耳にしていた。こうなりゃ、ホンマかどうか行って確かめるしかない。

 そのパラダイスシティは日本のエンターテインメント企業『セガサミーHD』が韓国でカジノ運営50年の歴史を持つ『パラダイスグループ』とともに共同出資。総工費約1300億円をかけた北東アジア初の統合型リゾート(IR)だ。
 場所はソウル郊外の仁川空港近く。約33万平方メートルの敷地内に、外国人専用カジノ、711室のラグジュアリーホテルに、1820人を収容できるコンベンションホールを備えている。さらに、商業施設とデザイナーズホテル、スパが2018年秋に完成する。近い将来の日本のカジノ解禁に備え、セガサミーが社運を賭けた一大プロジェクトだ。

 仁川空港3番出口からシャトルバスに乗ること5分弱というアクセスのよさ。つまり、関空からだと2時間半ほど、東京からでも3時間ちょいで非日常的な空間に入り込めるわけだ。
 館内はまさに超ラグジュアリー。想像以上の豪華さに圧倒される。地上10階、地下2階の建物はゴールド、レッド、パープルウイングの3方向に分かれ、米国ラスベガスのミラージュホテルのような構造だ。

 また、ここパラダイスシティは「アート」と「エンターテインメント」を融合させた「アートテインメント」をコンセプトにしており、館内のいたるところに大小2700を超えるアート作品が展示されている。
 「まるで世界の美術館のようですよ」と現地スタッフの赤間理恵さん。
 特に目を引くのがエントランスにそびえる翼を広げた黄金のペガサス「ゴールデンレジェンド」、さらに吹き抜けの中央部分には、あの草間彌生作の巨大な黄色い「パンプキン」がドーンと鎮座している。

 付け加えておくと、富裕層向けには630平方メートル、1泊200万円というプールヴィラ(8月中旬オープン予定)があり、大人のパーティーを楽しむもよし。高いもので1本150万円相当もする高級ウイスキー『ロイヤルサルート』専門のラウンジで生演奏を聴きながらゆったりくつろぐのも悪くない。
 そうかと思えば、屋内外の大小のプール、ボウリング場、プールバー、さらにセガのゲームも遊べる「ソニープレイステーションゾーン」があり、夏休みの家族旅行にもよさそうだ。

 さあ、いよいよ気になるカジノゾーンへ。パラダイスセガサミー日本市場企画運営室常務・青山茂樹さん直々の案内で、馬でも象でも通れそうなゴージャスな赤い門をくぐり、受付でパスポートを提示。この頃には前評判のことはすっかり忘れ、胸が高鳴る。
 荷物を預け、ワクワクしながら一般フロアに入ると、そこはちょうど昨冬に訪れたマカオの『ザ・パリジャン』を思わせる華やかさ。やっぱり、カジノと畳は新しいのにかぎる。しかも、台と台の間隔が広く、天井が高いから圧迫感もない。カーテン越しに自然の光が差し込んでいる点も、淫靡で魔宮に迷い込んだようなカジノとは一線を画す。

 ゲーム機はスロットが281台。ルーレット、バカラ、ブラックジャック、ポーカーなどテーブルゲームも154台ある。これに飲食スペースを加えた面積は韓国最大級の1万5500平方メートルと聞けば納得。賭け金は種類によって異なるが、ルーレットは日本円で250円からと財布にも優しい。
 「韓国唯一の統合型リゾートとして、いいハードが出来上がったので、それをしっかり積み上げていくことが私たちの使命。日本人がカジノに行くならパラダイスシティとなるようにしていきたい。実際、日本人の割合も増えていますよ」(青山さん)

 今回の立ち上げに際しては、セガサミーから男女35人の社員が参加。その全員が海外赴任に立候補してのもので、志は高い。
 内訳は20代前半から47歳まで。中にはゲームセンターの職場からディーラーへ転身したスタッフもいる。1月から赴任したスタッフは、ややぎこちない点はあるものの、短期間で流れを覚え、様になっている。

 続いて、カジノ側の粋な計らいで通常ではなかなか入れないVIPエリア、ジャンケットエリアにもエスコートしてもらった。当然のことながらすべての面で一段と豪華。プライバシーを守るため、ハイローラー専用の玄関を設けるなど、きめ細かいサービスが行き届いている。
 最後に「ダイヤモンドルーム」にも足を踏み入れたが、極上の部屋にふさわしく、本来、ここでプレイするには日本円でゲーム資金2000万円、ミニマムベット20万円から最低4時間プレイというノルマがあるそうだ。勇気とお金のある方は、一度、チャレンジしてみてはいかがだろう。

 さて、再び一般フロアへ。今回の旅打ちでは日にちを変え計3度訪問し、その間、ソウルの東にある老舗カジノ『パラダイスウォーカーヒル』ものぞいてみた。そこで感じた両者の違いは、パラダイスシティのディーラーの表情の豊かさと物腰の柔らかさ。
 それと、これまでにないほど日本語が通用する環境ということ。切った張ったの“鉄火場”のような雰囲気を求めるギャンブラーには少々物足りないかもしれないが、ビギナーにはありがたい。

 カジノ側の狙いも実は、そこにあった。
 「人間らしさ、笑顔で対応することがおもてなしにつながると考えています。日本人に心地よいカジノとなるように」(青山さん)

 なるほど、空港カウンターでもらった7万ウォン、日本円で7000円分のクーポン券を手に会員登録を済ませ、試しに大小のテーブルに立つと韓流人気グループ『少女時代』のユナ似の美人ディーラーが飛びっきりの笑顔で迎えてくれた。声もかわいく、スタイルも抜群。ついつい、あらぬ方向を見てしまう。
 前述のウォーカーヒルのツンとした女性ディーラーに闘争心をかきたてられるのも悪くないが、こっちの方が親しみを持てて断然いい。ポーカーなどのテーブルからは日本語でのやり取りも聞こえ、なぜか妙に微笑ましく感じた。こんなに敷居の低い、プレイしやすいカジノは初めて。これなら日本人のリピーターも増えるに違いない。
 「これまでのような小さいカジノはVIPだけを相手にし、どうしてもVIPの動向に左右されがちになる。個人個人にこだわっていくことで安定した経営につなげていきたい」(青山さん)
 結局、今回の旅打ちでは、ソウル競馬で運よく儲けた150万ウォンの大半を溶かしてしまったが、なぜか後味は悪くなかった。

 パラダイスシティは日本人の、日本人による、日本人のためのカジノとして、まずまずのスタートを切ったのではないか。
 セガサミーの里見治会長は馬主としても有名だ。昨年の菊花賞から今年の宝塚記念まで、わずか半年あまりで国内外のGIで6勝をマークした。先の北海道セレクトセールでも11億円の「爆買い」をしたばかり。いまもっとも勢いのあるギャンブラーとも言える。
 ゴールは日本でIRを展開すること。そのためには流れに乗って、しっかり末脚を伸ばせるかどうかにかかっている。

山本智行(やまもと・ちこう) 1964年岡山県生まれ。スポーツニッポン記者として競馬、プロ野球、ゴルフ、ボクシング、アマチュア野球などを担当。各界に幅広い人脈を持つ。東京、大阪、西部の同社レース部長を経てフリーに。趣味は旅打ち、映画鑑賞、観劇。『B'z』の稲葉浩志とは中高の同級生。

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