菜乃花 2018年10月04日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 離島マニアにはたまらん! シブイ情景と人々 『ウイスキーと2人の花嫁』

掲載日時 2018年03月03日 12時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年3月8日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 離島マニアにはたまらん! シブイ情景と人々 『ウイスキーと2人の花嫁』

 この映画の舞台は英国。行ったこともなければ、(辺境地好きとしては)行くつもりもない国でした。しかし、本作でスコットランド北のアウター・ヘブリディーズ諸島の情景を見ておりますと、これはアリだなと。思わず、作品を見終わったあと、自宅に帰って地図で場所を確認してしまった次第です。
 周囲を荒海に囲まれた小さな島ならではの、ゆったりとした時間の流れ方。偏屈と思えるほど、自分たちの秩序を頑なに守り、決して豊かではないけれども誇り高く暮らす村人たち。なんか、いいんですよ。
 そして、老いも若きも、命の次に大事にしているのがウイスキーというのがシャレていて、スコットランドらしいですよね。

 時は第二次世界大戦。ナチスによるロンドン空爆が激しさを増す中で、“命の水”であるウイスキーの配給が止まってしまいます。村の一大事をなんとかしようと、沈没寸前の座礁船から積み荷のウイスキーをこっそり積み出してしまおうとする村人たちのドタバタ喜劇です。
 この閉鎖的な環境といい、何となく小ジャレた展開といい、三谷幸喜の脚本のような味わいですが、実話をもとにした原作小説があります。かつて、一度映画化もされ、名作として愛された作品のリメークです。地味ながら、ほっこり滋味あふれる映画として評価を得られる素地があるんですね。

 とはいえ、やっぱり自分は何よりもこのマイナーな土地柄にそそられてしまうんですよねぇ。まるでNHK『小さな旅』の英国版を見ている気分になってしまいました。
 というのも、私は離島マニアでもありまして、「離島」と聞くだけで行きたくてたまらなくなります。ただまぁ、実際に出掛けるのは、アフリカや南米などの辺境地にある離島が多いのですが。
 この正月休みにも、中南米のニカラグア共和国に出掛けてきたのですが、その旅程の中に、離島のリトル・コーン島が入っていました。
 カリブ海の楽園と呼ばれるこの島は珊瑚礁が有名で、年に何日もないのんびりした日々を、ビーチで読書でもしながらすごそうと楽しみにしていました。しかし、飛行機と船を乗り継いで、やっと島に着いたと思ったら、添乗員さんからお知らせが…。
 内容は、ニカラグア海軍からの命令で、低気圧が近づいているので、明朝、本土に戻れと。そうじゃないと嵐で1週間は足止めを食らうからというもの。
 せっかくの離島ライフは、寸前で夢に終わってしまいました。

画像提供元
(C)WhiskyGaloreMovieLimited2016

■『ウイスキーと2人の花嫁』監督/ギリーズ・マッキノン
出演/グレゴール・フィッシャー、ナオミ・バトリック、エリー・ケンドリック、エディ・イザードワ、ショーン・ビガースタッフ
配給/シンカ

 2月17日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
 第二次世界大戦によってウイスキーの配給が止められたトディー島の住民たちは、すっかり落ち込んでいた。島の郵便局長ジョセフの長女ペギーと二女カトリーナは、ともに結婚を望んでいたが、周囲からウイスキーなしの結婚式はあり得ないと反対されてしまう。そんなある日、輸出用に5万ケースものウイスキーを積んだ貨物船が島の近くで座礁する事件が発生。島民たちはウイスキーを「救出」すべく立ち上がるが…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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