林ゆめ 2018年12月6日号

話題の1冊 著者インタビュー 山田ルイ53世 『一発屋芸人列伝』 新潮社 1300円(本体価格)

掲載日時 2018年07月15日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年7月19日号

 ――レイザーラモンHG、テツandトモなど数々の“一発屋”と呼ばれる芸人たちにインタビューしています。本を書いた動機は何ですか?

 山田 身も蓋もないことを言うと、元々は当時の担当編集者が持ってきた企画です。別の媒体で、僕がコラムとか連載しているのを見て「結構書けるんだ」と思ったのかも(笑)。当初は、芸人が芸人にインタビュー、しかもお互い“一発屋”というのが「傷の舐め合いみたいになるんじゃ…」と気乗りしなかった。正直、断ろうとしたくらい。でも、とりあえず1回書いてみたら手応えがあった。
 この本に登場するのは、僕が芸や人柄を尊敬する方々ばかりです。世間では、「消えた」「死んだ」と揶揄されがちな一発屋たちですが「面白くない」には反論したかった。皆、才能豊かだからこそ、一度とは言え大きく売れたんですからね。もちろん芸人自らそれを言うのはみっともないし、ダサいので、誰も口にはしません。なら、あえて僕が犠牲となり言いましょうと(笑)。自分も一発屋なので、要は悔しさ…、私怨が動機ですね(笑)。

 ――一世を風靡した一発芸の後はスランプに陥ることも。皆さん、どのように乗り越えているのでしょうか。

 山田 やっぱり最初は「俺は一発屋じゃない!」という葛藤がある。でも、ある瞬間“負け”をゴクリと飲み込んで“一発屋になる”んです。自分で。その生き様が人間として上等だと思う。芸能界って基本、勝ち様、登っていく様を見せるエンターテインメント。でも、一発屋はその逆なんです。「あの人は今」の方々は、引退して別の職に就いているので何も言われない。でも、一発屋たちは現役。“今”負けている姿をお茶の間に晒し、いろいろな意見を生む。それは正にエンターテインメントです。これは凄いし、特殊なことだと思います。
 また、それだけではなく、皆それぞれ、新ギャグや新キャラを考案したりして頑張っている。ジョイマンの「サイン会に客0人の写真」とか「ジョイマン消えた」というツイッター投稿に「ここにいるよ!」と返す活動、ムーディ勝山・天津木村の「ロケバスの運転手」ネタを巡る抗争等々、話題作りにも日々励んでいます。

 ――山田さんがみた“一発屋”の生き様とは?

 山田 率直に格好いい。皆、「死んだ」「消えた」と言われながらも、現状を受け止め、前に進んでいる。僕たち髭男爵としては、70、80になってもずっと、貴族漫才を続けていきたい。ジジイになっても、「○○かーい!」とかやっていたら、面白いでしょ(笑)。(聞き手/程原ケン)

山田ルイ53世(本名・山田順三)
お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。兵庫県出身。地元の名門・六甲学院中学に進学するも、引きこもりになり中途退学。大検合格を経て、愛媛大学法文学部に入学も、その後芸人の道へ進む。

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