葉加瀬マイ 2018年11月29日号

【話題の1冊】 著者インタビュー ラリー遠田 『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』 イースト・プレス 861円(本体価格)

掲載日時 2018年11月08日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年11月15日号

 異端とされる番組こそ_次世代の大ヒット番組に

――「最近のTVは面白くない」という声をよく聞きますが、かつてのバラエティー全盛期と比べて何が変わったのでしょうか?
ラリー インターネットの普及と娯楽の多様化によって、テレビの影響力は年々低下しています。特に若者のテレビ離れは深刻です。そのため、番組を作る側もそれぞれの番組ごとにターゲットとする層を明確にして、一定数の視聴率を確保しようとしています。例えば、ゴールデンタイムに放送される番組の大半は、50歳以上を対象にしています。だから、それ以外の層の人に興味を持ってもらうことは難しいのです。今のテレビが面白くないと感じている人は、漫然と自分がターゲットになっていない番組ばかりを目にしている可能性が高いです。探してみれば、今でも面白い番組はたくさんあるはずですよ。

――『めちゃイケ』『みなおか』も終了してしまいましたね。今後はどんな番組が人気になると思いますか?
ラリー バラエティーで今人気の番組の1つがNHKの『チコちゃんに叱られる!』です。毎回、知っているようで知らない素朴な疑問を取り上げています。演出には民放的な軽いノリもあるけれど、むやみにあおりすぎない上品さもあって見やすい。子供から大人まで楽しめる番組です。このように、ターゲットを絞りすぎず、企画と演出にこだわって丁寧に作られた番組が、これから主流となるのではないでしょうか。

――ひな壇に芸人を並べて、動画サイトの映像を流すだけの番組も増えていますが、今後、大ヒットするようなバラエティー番組は生まれると思いますか?
ラリー 一昔前までは視聴率20%を超えると人気番組だと言われていて、伝説的な番組であれば30%を超えることもありました。しかし、人々の好みが多様化している現在では、その数字を目指すのは現実的ではありません。ただ、いつの時代でも、ヒットというのは常にセオリーに捉われない常識外のところから生まれるものです。今のテレビでは異端とされるような珍しい番組こそが、次の時代を作る大ヒット番組になる可能性があります。
 これからは、ネットの定額制動画配信や見逃し配信サービスがますます普及していきます。それらも含めた広い意味で、これからも“テレビ”にはニーズがあると思います。アマゾンプライムやネットフリックスでは、地上波で見かけるような人気タレントが登場するオリジナル番組もたくさんあります。今後はそこから大ヒットするような番組が生まれるかもしれません。
(聞き手/程原ケン)
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ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、ライター。お笑い評論家として多方面で活動。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)編集長。

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