菜乃花 2018年10月04日号

静かに忍ぶ寄る失明危機… 緑内障の症状の見分け方

掲載日時 2018年05月09日 08時00分 [健康] / 掲載号 2018年5月10・17日合併号

 40代は「気力や体力が衰える年代」などと言われる。生活習慣病であるメタボリックシンドロームに着目した特定健診の結果を受け、食生活を見直したり、新たに運動を始めるなど、自らの健康を見直す人が多い。そこで今回は、40歳以上の5%が罹り(日本緑内障学会の調査より)、年齢を重ねるごとに患者数が増加するという「緑内障」について知ることにしよう。

 40歳以上の日本人の5%、つまり20人に1人がなる計算となる緑内障は、日本人の後天性の失明原因のトップ(厚生労働省研究班の調査より)で、推定患者数は465万人にも上ると言われる。その大半を占める「開放隅角緑内障」は、自覚症状がほとんどないまま視野が狭くなる視野欠損が徐々に進行し、最後には失明する恐ろしい病気だ。
 また、40歳の時点で日本人の緑内障患者は2〜5%と推測されているが、70歳時点では10〜30%という報告もあり、加齢とともに患者数も増加するため、少子高齢化真っただ中にある日本では、ますます緑内障患者が増加するとも言われているのだ。

 まさに誰もが罹る可能性のある緑内障とは、具体的にどんな病気なのか。『プラザ30階クリニック』(東京都新宿区)の院長で眼科専門医の高橋義徳医師は、「緑内障を一言で言えば『眼圧上昇による視神経障害』」だという。
 「まず眼には、房水という眼の前の部分を循環する液体が流れています。この房水の産出量と流出量のバランスが保たれることで、眼圧は上昇することなく一定に保たれます。しかし、加齢や病気などにより、この房水の循環、特に排出が悪くなると眼圧が上がり、視神経が圧迫され、神経細胞に栄養を送る血流や神経内の細胞内循環が悪化します。これにより神経細胞は死んで抜け殻になっていきます。そうすると、死んだ神経細胞部分の“視る”機能の低下により、視野欠損が起こるのです」(同)
 しかも、人体の多くの組織は細胞が傷ついても再生するが、神経細胞はほとんど再生しないという。ここでいう眼圧とは、文字通り目の中の房水の“圧”のことで、視神経とは網膜が捉えた視覚情報を脳に伝えるケーブルのことを指す。

 一口に緑内障といっても、様々な分類がある。まず大きく分けて先天性と後天性があり、後天性はさらに開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分けられるが、以下では高齢者に多い閉塞隅角緑内障と、40代以上に多い開放隅角緑内障に注目する。
 まず、閉塞隅角緑内障とは、眼の前の部分を循環する液体である房水が出ていく隅角のほぼ完全な閉塞が起こって眼圧が急上昇し、眼の強い痛みや視力の低下、頭痛、吐き気などの症状がある。放置した場合、一晩で失明に至ることもあるという。
 「一般的に眼圧は10〜21㎜Hgなのですが、閉塞隅角緑内障を発症すると、60〜70㎜Hgくらいまで上がり、高齢者に多い病気です。また、頭痛や吐き気などの症状がくも膜下出血と似ているため、誤診されるケースも稀にあります。閉塞隅角緑内障と、くも膜下出血の決定的な違いは、眼に強烈な痛みを伴うか否かということです。閉塞隅角緑内障は、緊急手術をすれば軽快しますが、開放隅角緑内障を併発しているケースもあり、そちらの治療が必要となる場合もあります」(同)

 緑内障の大半を占める開放隅角緑内障は、多くのケースで眼圧がやや高いために、ほとんど自覚症状がないまま10年〜20年をかけて視野欠損が進行し、やはり最悪は失明に至る。閉塞隅角緑内障との違いは、房水が出て行く隅角が開いてはいるが、そこでの排泄障害が起こる点だ。
 「開放隅角緑内障は“眼圧が高くなるタイプ”と“眼圧があまり高くならない正常眼圧緑内障”に分けられると考えられ、正常眼圧緑内障という言い方もされてきました。しかし、日本人の緑内障患者は眼圧が21㎜Hg以下と低くても起こることが分かり、現在では正常眼圧緑内障という名称はあまり使われない傾向にあるといいます」(健康ライター)

 では、そもそも眼圧が上がる要因は何なのか。
 「眼圧上昇の要因としては加齢が最も大きく、他に遺伝、血圧が高く肥満度が高い、運動不足などが考えられています。また、副腎皮質ホルモンステロイドであるコルチゾールの血中濃度が高くなることで眼圧が上昇することもあります」(前出・高橋氏)

 加齢や遺伝には逆らえず、自覚症状もほとんどない。かといって、血圧のように家庭で眼圧を測定することもできない。となれば、いったいどうすれば最悪、失明という事態を防ぐことができるのか。
 「残念ながら、現状では確実に予防する方法はありません。視野欠損が進行すると視野はなくなっていきますが、視力は残るため、進行していることに気が付きにくいのです。しかし、緑内障の治療で大切なのは、早期に見つけ、視野欠損の進行を防ぐことで、そのためには眼科検診をきちんと受けることが大事です」(同)

 自治体によっては眼底検査などによる緑内障検診を行っているので、マメに受けることが肝要だ。
 「仮に緑内障が疑われた場合、現在は光干渉波による断層撮影法を使ったOCT(光干渉断層計)という画期的な検査機器の登場で、視神経の異常が早期に発見できるようになりました。早期に発見できれば、ほとんどの緑内障は点眼薬で眼圧をコントロールし、進行を止めることができます。しかし、自覚症状がないからといって点眼薬を止めると再び眼圧が高くなり進行するので、生涯にわたって点眼をし続けなければなりません」(同)
 点眼薬でコントロールできない場合は、レーザー治療や線維柱帯切除術などの外科的手術を行うことになる。

 このように、静かに迫りくる緑内障、そして失明という事態を防ぐためにも、毎年の会社や自治体での検診は欠かさず受けることをお勧めする。
 ただし、加齢以外の原因として、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病が関係していることも忘れてはならない。

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