美馬怜子 2018年6月7日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 「ポーカーの女王」は、現代のスカーレット・オハラ!? 『モリーズ・ゲーム』

掲載日時 2018年05月16日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年5月24日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 「ポーカーの女王」は、現代のスカーレット・オハラ!? 『モリーズ・ゲーム』

 オリンピックの出場候補だった美人アスリートが、26歳にして掛け金の最低額が1万ドル(100万円相当)という高額ポーカールームの経営者に転身。500万ドル近くの富を手に入れながらもFBIに逮捕されて、すべてを失う実在の人物の波瀾万丈の人生を描いた映画です。
 自分が「うーん、3段階評価の一番下かな…」とつぶやいていますと、一緒に見たカミさんは「えっ、私は結構楽しめたけど!?」と。
 これはいったいなぜだろうと、自分なりに検証してみました。

 まず、考えたのは文化的価値観。カジノが普遍的にあるアメリカなら、ポーカーで財を成した元アスリートの人生はリアルなサクセスストーリーとして人々の関心は高いでしょうし、盛り上がるのも分かります。
 しかし、我が国にそれを受容する土壌がありやと思うと、かなり絵空事になるわけです。ま、日本にだってギャンブル好きな人は大勢いらっしゃるでしょうが…。これがまた始末の悪いことに、小市民の自分は、ギャンブルに1ミリも興味がない。だから実話だと聞いてもピンとこないのかも。
 それが今や、この環境にカジノ法案とやらが持ち込まれようとしている。私なんかは「やめといたらいいんじゃないの」と思うんですよね。プランとしては6000円だかの入場料を取るそうなんですから、鼻持ちならない輩の社交場となるに違いない。観光客目当てかもしれませんが、カジノで遊びたけりゃマカオにでも行ってくれと思うわけです。

 しかし、そんな自分が先日、ひょんなことから東京のド真ん中にあるカジノに入ってしまったんです。
 場所は、南麻布にあるホテルニュー山王。ここは米軍に何らかの関係ある者しか入館を許されない施設でして、パスポートも要ります。ここに米軍関係者が楽しむ小さなカジノがあります。自分は実際には遊ばなかったものの、誰もいないのをいいことにスロットマシンで遊ぶフリをして写真を撮ったりし、ついキャッキャ言ってしまいました。

 映画に話を戻しますと、この主人公、ロースクールを卒業すれば弁護士にもなれたほどの頭脳明晰な女性。それなのにFBIに全財産を没収された上に、罰金と弁護士費用という借金を負ってしまいます。
 しかし、全然メゲずに、心の中で復活を誓う。これ、どこかで見た事あると思ったら、『風と共に去りぬ』でした。女性目線だと彼女のネバーギブアップぶりに爽快感を感じるようですね。だからカミさんは「私は面白かった」と言ったんでしょう。

画像提供元
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■『モリーズ・ゲーム』
監督/アーロン・ソーキン
出演/ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ、ケビン・コスナー、マイケル・セラ、ジェレミー・ストロング
配給/キノフィルムズ

 5月11日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。

 モーグル選手として五輪も有望視されていたモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、選考大会で怪我をしてしまい、アスリートの道から退くことを決める。ロースクールに進学するまでの1年間をロサンゼルスですごすことにした彼女は、アルバイトで知り合った人々のつながりから違法ポーカーゲームの運営アシスタントをしてほしいと持ち掛けられる。大金を賭けるハリウッドスターや大企業経営者を前に、見事な采配を見せるモリー。やがて彼女は、26歳とは思えぬ才覚で自分のゲームルームを構えて成功を収めるが、10年後にFBIに逮捕されてしまう

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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