鈴木ふみ奈 2018年11月1日号

巨人が総力を挙げてFA強奪するV3広島カープ・丸佳浩

掲載日時 2018年10月12日 17時30分 [スポーツ] / 掲載号 2018年10月18日号

 巨人はリーグ3連覇を果たした広島カープ相手に「借金10」。辞任を決断した高橋由伸監督(43)だが、囁かれるように“経験、実績”のある原辰徳前監督(60)が再々登板となったとしても、今のままの戦力では覇権奪回は厳しいと言わざるを得ない。そこで舵を切るのが「カープ焦土作戦」だ。国内FA権を獲得した広島の主砲・丸佳浩(29)の強奪で「タナキクマル」解体を目指す――。

 下馬評通り、セ・リーグは広島が球団史上初のセ・リーグ3連覇で優勝した。一方、4年ぶりの覇権奪回を目指した巨人は12年ぶりのシーズン負け越し。

 今季が3年契約最終年の高橋由伸監督は山口壽一オーナーから「続投」要請を示されていたが、就任から3年間、一度もリーグ優勝できずの責任を取り、公式戦終了を待たずに異例の発表となった。
「今季の成績を見れば、契約満了という形での解任が避けられませんでした。それでも続投の流れがあったのは、本命の松井秀喜氏が受諾をためらっていたからです。今のカープが相手では、誰が指揮しても優勝は難しい…。それを最も実感しているのが高橋監督で、自ら身を引くという形を取らざるを得ませんでした」(ベテラン巨人担当記者)

 巨人の対広島戦の成績は昨年が7勝18敗。今年はさらにひどく7勝17敗1分(10月4日現在、以下同)。この分ではクライマックスシリーズに進出できたとしても広島の壁はぶ厚く、日本シリーズ進出は絶望的だ。

 そこで巨人が画策しているのが、広島の「焦土作戦」。カープの主軸で同学年トリオの「タナキクマル(1番ショート・田中広輔、2番セカンド・菊池涼介、3番センター・丸佳浩)」の戦力を削ぎ取ることで混乱させ、来季こそ優勝を勝ち取ろうという戦略だ。

 ターゲットは、今季国内FA権を取得した不動の3番打者・丸佳浩。安打製造機の異名通り、打率3割0分7厘、39本塁打、97打点。2年連続のMVPが最有力視されている。

 巨人打線は坂本勇人、岡本和真、長野久義、ゲレーロ、マギー、陽岱鋼と「右打者」ばかりで「左打者」の人材に乏しい。左の長距離砲・丸は是が非でも欲しいところ。獲得に成功すれば広島の戦力が大きくダウンし、巨人は一気にアップ。行って来い効果が期待できる。

 主砲流出の危機に、広島の松田元オーナーは「当然、慰留する」と明言。「3年12億円」の空手形を示唆しているが、額面通りに受け取る球界関係者は少ない。理由は、昨年の契約更改交渉で一悶着あったからだ。

 MVPを獲得し、カープの連覇を牽引したにもかかわらず、丸のアップ額は7000万円増の2億1000万円。本来ならゴネて当然の場面だが、丸は約20分で一発サインした。番記者の多くはこの契約更改交渉を取材して、丸の来季FA移籍を感じ取ったという。

「球団から複数年契約のオファーが出なかったからです。丸クラスの選手になれば、翌シーズンに国内FA資格を取得する場合、複数年契約を結び、囲い込むのが一般的。しかし、資金力で劣る広島はそうしなかった。2連覇したことで選手の年俸が一斉に上がり、総年俸は12球団全体の6位に跳ね上がったからです。3連覇の今年は、もっと上がる。丸にはチームに残って欲しいが、『もう限界』というのが実情。丸は複数年のオファーがなかったことで、FA移籍を念頭に入れたのです」(スポーツ紙デスク)

 それも想定内なのだろう。V3達成後のインタビューで松田オーナーは「これからは鈴木誠也を中心とした世代で野手の塊を作らないといけない」と話し、カープには田中、菊池、鈴木のほか、安部友裕、野間峻祥といった俊足で守備にも定評のある選手がいることを強調。これまで通り、ドラフトで無名の好素材野手を獲り、磨き上げて育成する方針を改めて示した。

 その一方で、広島では新たな潮流ができつつある。

 以前はFAで巨人に移籍した江藤智を「裏切り者」扱いするなど、他球団に移籍した選手をバッシングしてきたのだが、近年は違う。かつて広島からメジャー転身した黒田博樹を快く迎え入れ、阪神にFA移籍した新井貴浩もカムバックさせた。もっとも新井の歓迎会は『どの面下げて帰ってきたんですか会』の名称だった。そんな新井も9月26日の優勝決定試合で胴上げされ、現役引退を祝福された。

 一方、巨人はこれまで三顧の礼を尽くして迎えた江藤(←西武・豊田清)、工藤公康(←横浜・門倉健)、藤井秀悟(←DeNA・村田修一)を、新たなFA選手の人的補償で他球団に放出している。今度もまた丸をFAで獲得した場合、広島からFAで獲得した大竹寛投手を人的補償で古巣へ戻すことも想定している。

 広島では今年、丸とともに松山竜平もFA資格を獲得。来年は菊池涼介、野村祐輔、今村猛、會澤翼。再来年は田中広輔が国内FA権を得る。「焦土化」の不安材料はゴマンとある。

 先陣を切る丸は本人、夫人とも千葉県の出身だ。ZOZOの前澤友作社長が球団買収を目指す千葉ロッテも狙っていると噂されるが、丸は子供の頃からの巨人ファンで知られ、よほどのマネーゲームにならない限り勝機はある。

 丸がFA宣言した場合、巨人は「5年20億円」の大型契約を用意し“新監督”を支えようと躍起だ。しかし、この焦土作戦が不発に終われば、いよいよもって来季監督の受け手が不在となる。

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