森咲智美 2018年11月22日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 日本レスリング協会がよりによって「後援」 『ダンガル きっと、つよくなる』

掲載日時 2018年04月13日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年4月19日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 日本レスリング協会がよりによって「後援」 『ダンガル きっと、つよくなる』

 いやいやいや…今、この映画を封切っちゃいますか。
 日本で大騒ぎになっている伊調馨選手VS栄和人監督&日本レスリング協会のゴタゴタは、もしかしたらこの映画のために、わざとやったプロモーションだったんじゃないかと思えるほどの、あまりのタイミング。もちろん偶然なのでしょうが、驚きを隠せないでおります。

 インドの女子レスリング界の黎明期における実話をもとにしたというこの映画。自身が頼みとする監督VS国立スポーツアカデミーの強化部長との確執。そして主人公は2人姉妹。設定があまりに酷似しているじゃないですか。
 「ラスト30分は涙が止まらない」とパンフレットにはありますが、今、現実に目が離せないでいる案件とあまりに重なっていますので、我々日本人は、泣いている場合ではありません。
 この映画を見始めた当初は、姉妹を格闘家に育てる父親役、インドの名優、アーミル・カーンを栄監督と重ねていたのですが、途中で実はアーミルは協会側と相容れない役回りと分かり、アーミルは田名部力さんで、ナショナルチームの監督の方が栄さんだったかと、頭の中で配役チェンジ…って、完全に、勝手にかぶせて見ている自分を止められません。

 この映画、実話と謳いながらも、父親が国際試合の観戦中に勝手に口頭指導できないよう、部屋に閉じ込めるという無茶なエピソードまで描いて、ナショナルチームからクレームが入ったらしいです。話を盛り上げるためならそこまでやってしまう破天荒なところも、インド映画らしいところ。
 先日、この連載でご紹介した『バーフバリ 王の凱旋』が公開されるまで、インド映画の国内・全世界ともに興収トップに君臨していたほどの人気作になったそうです。

 そして、ついに日本で公開するにあたり、パンフレットにもチラシにも、「後援:日本レスリング協会」と、小さい字ながら印刷されているのを私は見逃しておりません。この「後援」は、協会に逆風が吹きまくっている今、シャレにならない。
 映画のモデルになった姉妹は、実際に伊調馨、吉田沙保里とも闘っているとかで、記録写真もパンフに載っていました。
 こうなったら、大プロモーションを打ってはどうでしょう。試写イベントにアーミル・カーンと姉妹を演じた女優たちを呼び、スペシャルゲストとして伊調姉妹を呼べば、話題性は抜群。本誌でも、その模様とこのページを、今回ばかりはグラビア扱いで掲載していただきたいですね。

画像提供元
(C)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

■『ダンガル きっと、つよくなる』監督/ニテーシュ・ティワーリー
出演/アーミル・カーン、サークシー・タンワル、ファーティマー・サナー、サニヤー・マルホートラ、ザイラー・ワシーム
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン、ギャガ

 4月6日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国公開。
 レスリングを愛する男は、生活のために選手として生きることはあきらめたが、いつか息子を金メダリストにすることだけを夢見ていた。ところが、生まれたのは4人連続の女の子。意気消沈し道場からも遠ざかっていたが、ある日、ケンカで男の子を打ちのめした長女・次女の格闘センスに希望を見出し、コーチとして2人を鍛えはじめる。一家は、町中の笑いものとなるが、意に介さず特訓に熱を込める父と、ささやかな抵抗を企て続ける娘たち。やがて、目覚しい才能を開花させた娘たちは…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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