彩川ひなの 2018年7月5日号

高血圧、高血糖も要注意! インフルエンザと心疾患の危ない関係

掲載日時 2018年02月24日 08時00分 [健康] / 掲載号 2018年3月1日号

 インフルエンザが猛威を振るっている。厚生労働省などによれば、1月22日からの1週間で全国の医療機関で診断した人は約274万人、今シーズンの累積受診者数はこの時点で1100万人を超えた。さらに、この同じ週に報告された一医療機関当たりの患者数は52.35人で、これは、統計を取り始めた1999年以降、最多となった前週をさらに上回ったという。

 また、今年最も拡大しているウイルスはB型で、4割を占め、A型、A香港型の順に流行っている。
 「例年のパターンでは、まずA型が流行して、それがやや落ち着く2〜3月くらいにB型が流行り出す。しかし、今年は年明け直後当たりからB型が一気に増え始めたのです」(健康ライター)

 都内内科病院の医師は、こう説明する。
 「インフルエンザは、体力や免疫力がある健康な人が感染した場合、安静にしていれば時間とともに回復していきますが、最も注意しなければならないのは、心臓に疾患を抱えている人です。感染すると肺炎を併発し、重症化するリスクが高く、時に命に関わる事態となる場合があるからです」

 さらに、心臓発作の誘発率を倍増させるというデータもあるという。
 「インフルエンザのようなウイルス性疾患は、血圧や心拍数を上げさせるため、心臓に大きな負担がかかる。また、感染によって起こる炎症が、心臓疾患の発症に関わっているとも考えられています。加えて、ウイルスが心臓の筋肉に感染して炎症を起こす、突発性の心筋症を起こすケースもあるのです」(同)

 インフルエンザと心臓疾患の関連の危険はまだある。
 例えば、インフルエンザに感染して38℃以上の高熱が出た場合に起こる脱水状態は、心臓に大きなダメージを与える。粘度が上がって流れにくくなった血液を送り出す必要があるからだ。もともと心臓疾患を抱える人は、そこから心房細動が発症しやすくなり、大動脈弁狭窄症の症状が強く出て、意識を失ってしまうことさえあるという。

 また、インフルエンザに感染すると、心臓疾患を抱えている患者が服用している薬にも様々な影響が出る。
 「処方されている薬を普段通りに飲んでも効かなくなってしまったり、逆に効きすぎてしまうことがあるのです。高熱や脱水は降圧剤が効きすぎてしまいますし、抗凝固剤も、ある種の解熱剤や抗生物質と一緒に飲むと効果が出すぎてしまうケースがある。インフルエンザは、心臓疾患そのものに対してだけでなく、治療に対しても悪影響を与えるのです」(心臓内科医)

 心臓疾患など循環器系の研究をする医学博士の内浦尚之氏は、こう言う。
 「心臓の手術を受けたことがある人や、治療を続けている患者さんがインフルエンザに感染した場合、まずはインフルエンザの治療を最優先させるのが一般的です。しかし、その前にやはり感染しないように徹底的に予防することが大切です。手洗い、うがい、マスクの着用はもちろん、加湿器などを使って空気が乾燥しすぎないようにするなど、できる限りの対策を心掛けましょう」

 インフルエンザは、一度感染すると免疫反応による抗体ができて、一般的にはその後1年程度は、同じ型には感染しなくなる。予防接種もこの免疫の働きを利用しており、ウイルスから取り出して作られた不活化ワクチンを体内に入れ込むことで、同じウイルスが侵入しても感染しにくい状態にする。
 「ただし、異なる型のインフルエンザには感染してしまうため、同じシーズンに何度もインフルエンザを発症するケースもあります。今回での流行では、特に最初にA型に感染した人が、今度はB型にうつってしまったといった例を聞きます。A型では高熱が出やすく、B型は腹痛が出やすいといった傾向などに違いがあるため、自己判断でインフルエンザかどうかを判断することはできません」(前出・健康ライター)

 前出の内浦氏は、さらにこう付け加える。
 「今年のA型は、特に激しい症状が出るケースが多く、38℃を超える高熱が続いて関節痛や筋肉痛、頭痛、ひどい寒気など、全身にわたって強い症状が表れます。インフルエンザというと、これらの症状をイメージする人がほとんどでしょう。それに比べB型は、症状が穏やかな場合が多い。個人差はありますが、高熱が出続けるのではなく、上がるのは夜だけで昼間は下がったり、37℃程度の発熱で終わる人もいます。また咳、嘔吐、下痢、腹痛と言った症状を訴える人も多く、 風邪の症状に似ています。そのため単なる風邪だと思っていたら、実はB型だったという人も少なくありません」

 今回のインフルエンザについては、発生直後からワクチンの生産量が少なく、混乱も予想されたが、今年に入ってからは何とか追いついたという。
 「いずれにせよ、インフルエンザの予防接種は受けた方がいい。体内でウイルスの増殖を抑えるため、感染しても症状を軽減したり、期間を短縮する効果もあります」(内科医)

 米国医師会雑誌『JAMA』には、心臓疾患の発症リスクが高い人を対象にしたインフルエンザの予防接種と心血管系との関連を再解析した報告がある。それによると、インフルエンザの予防接種を受けたグループは、受けなかったグループに比べ、心臓疾患の発症が36%も低いという結果が出たという。
 「米国心臓協会と米国心臓病学会も、心臓疾患を抱えている患者には再発予防のためにインフルエンザの予防接種を推奨している。やはり、インフルエンザへの感染は、それだけ心臓にダメージを与えるということです。ただ、無自覚のまま心臓疾患のリスク因子を抱えている人も多いという実態もあります」(心臓外科医)

 心疾患には、心筋梗塞や狭心症をはじめ、虚血性心疾患、脈が乱れる不整脈、先天性の心臓病、心筋や心膜の病気など様々なものがある。これらを抱えている人と同様、高血圧や高血糖、高コレステロールなどを指摘されている人も、実は心臓の病を持っていることがある。該当する場合は、特にインフルエンザに注意しよう。

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