中島史恵 2019年6月6日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 水中×地上のハイブリッド潜水艦アクション「ハンターキラー 潜航せよ」

掲載日時 2019年04月19日 15時30分 [エンタメ] / 掲載号 2019年4月25日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 水中×地上のハイブリッド潜水艦アクション「ハンターキラー 潜航せよ」
画像提供元:(c)2018 Hunter Killer Productions, Inc.

 「潜水艦モノに外れなし」というジンクスが1980〜90年代の映画界にあったそうです。今回も、元潜水艦長が書いた原作がベストセラーになっているだけのことはある潜水艦アクション大作。設定もストーリーも、非常に面白かったです。

 潜水艦モノの面白さっていうのは、万が一、徴兵されるようなことがあったとしても、潜水艦だけは絶対に嫌だと思うくらいの密室感が、ハラハラドキドキ感を倍増させるんでしょうね。パンフレットに書いてありましたが、プロである乗員でも、最大のストレスは閉所恐怖症だそうです。

 そして、この映画で初めて分かったことは、潜水艦テクノロジーの進化ぶりです。魚雷は発射されたら、ただ直線的に飛ぶのではなく、目標とする潜水艦の動きに合わせて追撃してくるんだとか。その攻撃を逸らせるために、おとりを発射する仕組みなど、知らないことばかりでした。

 米国防総省と米海軍全面協力のもと、実際の原子力潜水艦に乗り込んで撮った、8000㌧もの巨大な塊が海を潜っていく映像は本物。CGとは迫力が違います。

 また、深海に50度以上で降下する時は、すべてが傾き、乗員も斜めに立つ潜水艦あるあるのシーン…。この時は、カメラを傾けるのではなく、セットを乗せて回転できる台をわざわざ作り、役者は傾きを感じながら演じたそうです。

 そして本作をますます面白くしているのが、水中戦だけでなく、たった4人の精鋭部隊ネイビーシールズの極秘ミッションを絡ませているところ。ずっと深海ばかりでは息が詰まりますから、水陸のダイナミックな共闘は惹き付けられます。

 しかもこの極秘ミッション、ロシア国内で起こった壮大な陰謀を、敵対する米国軍が解決しようとする荒唐無稽なストーリー。壮大な「戦争ごっこ」映画なので、実話モノにはない爽快感もあります。

 実は10年前、ウラジオストクの「潜水艦C−56博物館」に行き、潜水艦内部に入ったことがあります。ここは横浜港に繋留された氷川丸みたいに誰でも観光できるのですが、ソ連時代に実際に活躍していた本物の潜水艦。その圧倒的な閉塞感に、“これは絶対に無理だな”と生理的な恐怖を感じました。

 それから、ドバイで行った海中レストランでは、エレベーターに、まるで潜水艦に乗り込んで潜るような趣向が施されています。乗員風の格好をした女性が我々観光客をナビゲートしてくれた際、とっさに「息は止めないでいいんですか?」みたいなギャグをかましたことを思い出しました。

画像提供元:(c)2018 Hunter Killer Productions, Inc.

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■ハンターキラー 潜航せよ
監督/ドノバン・マーシュ 出演/ジェラルド・バトラー、ゲイリー・オールドマン、コモン、リンダ・カーデリニ、トビー・スティーブンス 配給/ギャガ 4月12日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。
■ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が消息不明になり、捜索に向かったジョー・グラス艦長率いる攻撃型原潜「ハンターキラー」は、目的地で、沈んだロシア原潜を発見、現場付近にいた生存者を捕虜にする。同じ頃、ネイビーシールズ精鋭部隊の極秘偵察により、ロシア国内で世界を揺るがす陰謀が企てられていることが判明。ハンターキラーに陰謀阻止のための過酷なミッションが下る。その任務とは、絶対不可侵の水中兵器ひしめくロシア海域への潜航命令であった。

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やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中a

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