葉加瀬マイ 2018年11月29日号

小沢一郎が仕掛ける沖縄県知事選後の安倍首相レームダック

掲載日時 2018年09月14日 06時00分 [政治] / 掲載号 2018年9月20日号

小沢一郎が仕掛ける沖縄県知事選後の安倍首相レームダック
小沢一郎

 自民党総裁選(9月7日告示・20日投開票)に向け3選確実とされる安倍首相だが、ここへ来て表情が冴えないという。その最大の要因が、翁長雄志沖縄県知事の急逝に伴う30日投開票の知事選の暗雲と小沢一郎自由党代表の不気味な動きだ。

 「実は自民党関係者が8月末、沖縄県知事選に向け独自に世論調査を行ったそうなのですが、その結果に党幹部らは驚愕したという。自民・公明・日本維新の会が推薦する佐喜眞淳前宜野湾市長が、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設反対で翁長氏の遺志を継ぐ玉城デニー自由党幹事長に大きくリードされていたからです。自民は今年2月の名護市長選で事前の予測を引っ繰り返し快勝し、その勢いに乗り県知事選挙で接戦を想定していただけに、ショック状態に陥っているといいます」(政治部記者)

 翁長氏の後継を巡っては一時混迷したかに見えたが、8月17日になり、翁長氏が生前、玉城氏と地元建設大手『金秀グループ』の呉屋守将会長を指名していたことが判明。呉屋氏が固辞したことで29日に玉城氏が立候補を表明したが、この急転ぶりと直後の調査報告に青ざめたのが安倍首相だ。

 自民党関係者の話。
「首相は8月末から“何が何でも佐喜眞氏を勝たせろ!”と大号令を下しており、総裁選告示直前にもかかわらず党幹部が続々沖縄入りしている。そこまで神経を尖らせているのは、その総裁選への影響も危惧しているためだ。総裁選前に、もし各マスコミなどの沖縄県知選の世論調査で自民の大惨敗予測が報じられれば、全国の自民党党員間で“来年の参院選は安倍で勝てるのか?”という疑念が噴出しかねない。しかも、小沢氏が動いているから厄介だ」

 その小沢氏は24日、玉城氏とともに呉屋氏を訪問して玉城氏の立候補を取りまとめるなど、態勢づくりに奔走した。
「実質の選対本部長です。小沢さんの狙いは、沖縄で勝つことによって、一気に来年の参院選挙で自民党を大敗に追い込む作戦を描いている」(自由党関係者)

 玉城氏の立候補が決まるや、小沢氏は玉城氏を連れ野党5党をまわり挨拶、支援を要請する丁寧さも見せた。
「沖縄経済界の重鎮で翁長氏を支えてきた呉屋氏のバックアップを得れば、名護市長選で稲嶺進氏が敗れた流れを断ち切れ、翁長氏が現職の仲井眞弘多氏に10万票の大差で勝った'14年の県知事選の再来も期待できる。さらに小沢さんにとっては、県知事選が野党連携の材料にできたことも大きい」(同)

 一方の安倍首相は、国会議員の7割の支持を得たとされる中、党員票を固めるために地方議員との面会も重ねてきたが、県知事選へ向け旗色が急速に悪化する事態を恐れている。

 安倍首相の出身派閥である細田派関係者は言う。
「二階俊博幹事長などは、今回の総裁選で首相が地方票でも圧倒するなどと強気に語っているが、実際のところ、半数はまだどう動くか分からず、党内では発言が懸念の裏返しと見られている。沖縄県知事選の前評判で野党有利が広がれば一気に石破茂氏に流れ、安倍首相は地方でまったく人気のなかった6年前の総裁選時と同じことになるだろう」

 そうなった場合、影響は少なからず国会議員にも出る可能性もあるというのだが、前出の政治部記者はこう指摘する。
「小沢氏にすれば、玉城氏が勝ち、首相の3選が決まることが最高のシナリオでしょう。その時の首相は地方票がかなり流れ出ることが予想され、総裁選前の圧勝ムードも吹き飛んでいる。来年の参院選で勝てない要素がてんこ盛りとなり、安倍首相のレームダック化がますます進むからです」

 安倍首相の3選後は問題山積みだ。総裁選直後にある国連総会への出席の場ではトランプ米大統領との会談が予定されているが、そこでは貿易分野でやり込まれる可能性が指摘されている。
「日本車を輸入する際の追加関税を迫られ、農産物の市場開放を差し出すとの見方が強い。これにより、自民党の大票田である農協票は地崩れを起こす可能性が出てきます。加えて、安倍首相が2020年施行の日程を描いているとされる憲法改正も、先日の共同通信社の調査で国民の約半数が反対と厳しい。さらに来年秋までには、消費税10%へ引き上げの決断が待っている。アップすれば国民反発、またも延期すれば財政大混乱と、どう転がっても政権を揺るがす材料が揃っているのです」(同)

 小沢氏は沖縄県知事選対策以外にも、参院選を念頭に仕掛けを繰り出していた。7月には自身が主宰する「小沢塾」の講師に小泉純一郎元首相を呼び脱原発で共闘。急接近し、固辞されたものの参院選での野党統一候補として出馬するよう打診していたことが、山崎拓元自民党副総裁の講演で明らかになっている。

 「最近では、松井孝治元参院議員が石破氏について《小沢一郎氏などの現野党の体質と親和性があるのでは》《総裁選後野党結集の中核になられてはどうか》とツイッターで発言し注目を集めていましたが、そうした話はすでに小沢氏周辺でも出ている。安倍自民を揺さぶるためなら、小沢氏さんは何でもやりますよ」(前出・自由党関係者)

 3選も束の間、安倍首相は崖っぷちに追いやられるかもしれない。

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