岸明日香 2018年12月20日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 人間が見せる態度には、それぞれ理由があるのかも… 『スリー・ビルボード』

掲載日時 2018年02月12日 12時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年2月15日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 人間が見せる態度には、それぞれ理由があるのかも… 『スリー・ビルボード』

 いや〜、傑作に出会いました。2006年に公開され、アカデミー賞を受賞した『クラッシュ』を見ましたか? あの作品に魅了された方は絶対に、この『スリー・ビルボード』にも衝撃を受けるでしょう。

 まず、タイトルが若干、分かりにくいのがいい。スリー・ビルボードと聞いて、すぐに3つの看板の話だとは思い浮かばないでしょう。でも、この3つの看板に広告をお願いした主人公のせいで、さまざまな人の人生が狂い始め、思ってもいなかった方向へと進み始める物語なのです。
 主人公は、娘がレイプされ、残酷に殺されてしまった母親のミルドレッド。この事件が解決へまったく進まず、警察のまるで無視しているかのような態度にイライラが止まらない。そこで主人公は、さびれた3つの看板にとんでもない言葉を載せる契約をします。
 共感する人と、言葉によって傷つけられた人の思いに、心が乱れるかと思います。“そうだそうだ、悪いのはオマエだ!”と思う反面、その相手の思いを聞かされると、誰が良くて誰が悪いのか分からなくなり始める…。

 ミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドは、なんて素晴らしい女優なのでしょう! もうドキュメンタリーを見ているかのように、主人公の過去をも背負って演じています。また、警察署長を演じるウディ・ハレルソンにも注目! 悪役が似合う彼ですが、今回はかなり驚く展開の役なのです。
 私たちの生活の中でも、ちょっとしたことでイラッとし、ずっと思っていたことをつい口にしたりして人を傷つけてしまう。でも、その人を知ることによって、怒りの態度には理由があることが分かったりする。また、“愛”をもって人と接することの大切さに気付かされることもありますよね。とにかく、十人十色の登場人物から、人生のあり方をもう1回考えてみては?

 ベネチア国際映画祭で脚本賞、トロント国際映画祭で観客賞、ゴールデン・グローブ賞ではドラマ部門の作品賞と主演女優賞を受賞。これからもっともっとさまざまな映画賞を受賞すること間違いなし!
 私は見終わって、しばらく何もしたくなかった。エンターテインメント作品を見たあととは、ちょっと違う気分でしたね。あなたも、きっと清々しい気持ちで映画館を出られますよ!

画像提供元
(C)2017 Twentieth Century Fox

■『スリー・ビルボード』
監督/マーティン・マクドナー
主演/フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス
配給/20世紀フォックス映画

 2月1日公開全国ロードショー。
 ミズーリ州の田舎町。7カ月ほど前、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、一向に犯人を逮捕できず、進展すらしない捜査状況に腹を立て、警察を批判した巨大な広告看板を設置する。ミルドレッドは、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、一歩も引かず、いさかいが絶えなくなる。やがて事態は予想外の方向へと動き始める。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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