岸明日香 2018年12月20日号

早期発見、治療で命が助かる! 「膵臓がん」のサインを見逃すな!!

掲載日時 2018年09月15日 23時30分 [健康] / 掲載号 2018年9月20日号

 「膵臓がんは、発見時には43.4%が他の臓器に転移しており、ステージ4の末期がん」

 国立がんセンターが2年前にこう発表したが、これに少なからず衝撃を受けた人も多いだろう。

 もともとこの膵臓がんは、自覚症状が乏しく、決め手となる腫瘍マーカーがないことで知られているが、どうすれば早期発見できるのか。専門家らの見解を聞いてみた。

 膵臓は胃の後ろにある長さ20センチほどの臓器だ。食べ物の消化を助ける膵液と血糖値の調整に必要なホルモンを産出する。

 「膵臓がんというのは、10ミリ以下で発見されると5年生存率が約80%だが、20ミリになると50%に下がります。ほとんどが20ミリ以上、症状が出てから発見されるため、約80%が手術不能状態です。年単位の余命が見込めない患者さんも少なくありません。また膵臓は、従来の超音波では小さな異変や膵臓全体を確認することが困難で、しかも腫瘍の有無を調べる腫瘍マーカーも早期では上昇せず、進行しても30〜40%が陰性となるから発見が遅れてしまうのです。健診で『あなたは健康です』と判定されても、膵臓がんがないとは言えません」

 こう語るのは、東京都内で総合医療クリニックを運営する医学博士・遠藤茂樹院長だ。

 しかし、それでもなんとか早期に発見するためには、どうすればいいのか?
「まずはMRI検査を受けてもらいます。膵臓がんは膵管から発生しますが、MRIなら膵管の異変や嚢胞(のうほう=液体の貯留)がはっきりと分かる。一般的にはCT検査を受けがちですが、10ミリ程度の早期の場合、分からないことが多い。MRIで嚢胞が確認されたら、次は超音波内視鏡の検査を行います。通常の超音波とは違い、胃に挿入し、膵臓に高周波の超音波を当てて解像度の高い画像を撮影します。これで膵臓全部を調べられ、3ミリ前後までの腫瘍をチェックできます。もし、腫瘍が見つかったら、内視鏡を通して針を膵臓に刺し、細胞を取り出す(吸引)。この一連の流れが、『EUS‐FNA(超音波内視鏡下穿刺法)』となるわけです」(遠藤院長)

 膵臓がんの90%は腺がんと呼ばれるタイプだが、別のタイプもある。抗がん剤の種類や治療方針が同一ではないので、穿刺と吸引で組織診断をしないと患者の予後にかかわる。これは乳がん、胃がん、大腸がんも同様だ。

 これらの検査で膵臓がんと確定診断されれば、手術など最も適した治療が行われる。それが早期であれば、前出の通り、5年生存率も高くなる。

 EUS‐FNAは2010年に保険適用となり、行っている医療施設が増えているが、押さえておくべきことがあるという。
「我々が小さな異変を見落とさないようにするには、超音波内視鏡検査のトレーニングをしっかりと積む必要があります。もちろんFUS‐FNAでも同じですが、トレーニングが不十分であると正しい検査結果を得られるとは限らないのです」(医療関係者)

 最近になって、膵臓がんの高リスク因子が明らかになってきた。例えば、患者の家族や縁戚で「膵臓がんの家族歴」「糖尿病の発症またはコントロール不良」「慢性膵炎」や「膵嚢胞」などの有無について精査するようになった。その中で、特に意識したいのが糖尿病だ。

 東京社会医学研究センター理事の村上剛医師はこう語る。
「糖尿病と言うと血管の病気という認識のほうが強いようですが、糖尿病は膵臓に関連した病気で、新たに発症したり、血糖コントロールが悪ければ膵臓がんの発症を疑うことが重要です。糖尿病の人は膵臓がんのリスクが2〜3倍高いというデータがありますが、実際はもっと高いのでは、との指摘もあります。慢性膵炎のほとんどはアルコールが原因になります。先に急性膵炎を起こし、何年か後に慢性膵炎に至っている例が大半。食後にみぞおちや背中が痛んだ経験のある人は要注意です」

 村上医師によると、前述した糖尿病などの病気があれば、定期検査などの検診が必要だという。
「いずれかの病歴をお持ちの方は、せめてMRIによる検査、できれば超音波内視鏡の検査を1〜2年に1度は受けたほうがいいでしょう。膵嚢胞は専門機関でフォーロアップするでしょうが、家系に膵臓がんの人がいる方もリスクが高いので注意が必要です」(村上医師)

★発見に最適な検査方法は?
 膵臓を調べる検査は、この他に検診や人間ドックなどで行われる腹部超音波(エコー)検査が一般的と言われる。
 ところが、膵臓は胃の後ろにあるため腸のガスや内臓脂肪が邪魔して1センチ以下の膵臓の病変を見つけるのは難しいとされる。そこで胃カメラを使って細い管を胆管、膵管に直接挿入したあと、造影剤を注入し、画像を得る、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)と言う方法もある。

 「これは大変精密な画像が得られるのですが、ただ一つ難解な問題があります。患者さんにとって骨の折れる検査方法だからです。ですから、まずはMRCP(MR胆管膵管撮影)が患者さんにとって受けやすい検査と考え、提案しています。以前、毎年CT検査を受けていた60代の会社経営者が膵臓がんを発見できずに亡くなった。その経験からMRCPを勧めるようになったのです。50代の男性はCTスキャンで『膵管拡張の疑いがあり』と診断されたが、MRCP検査を受けたところ、2ミリほどの膵臓がんが発見され、無事手術で切除されました。今でも元気です」(前出・遠藤院長)

 2年前の'16年7月31日に大横綱・千代富士貢さん(享年62歳)、今年1月4日・星野仙一元監督(同72歳)、同年8月10日・翁長雄志沖縄県知事(同69歳)、米歌手、アレサ・フランクリンさん(同77歳)など、著名人が相次いで膵臓がんで亡くなった。

 膵臓がんは5年生存率が7.7%('06〜'08年)と悪性度が高いうえ、場所柄、転移が早い。それだけに早期発見、早期治療が重要なのだ。

 MRCPやERCPの費用は決して安くはないが、お腹に不調などがある人は一度検査を受けてみてはいかがだろうか。

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