園都 2018年6月28日号

「民業圧迫」の声が続出するジリ貧日本郵便のコインパーキング展開の波紋

掲載日時 2018年02月17日 14時00分 [社会] / 掲載号 2018年2月22日号

 民営化から10年を経た日本郵政。そのグループ子会社で全国各地に遊休一等地を持つ日本郵便が、それらの土地を活用して『ポスパーク』と称するコインパーキング、有料駐車場を全国展開することを決め、全国の大手駐車場業界に波紋が広がっている。

 日本郵便の計画では、『ポスパーク』は今年3月までに、東京都など首都圏を中心に20カ所の時間貸し駐車場を設置する。4月以降は全国に拡大させ、5年間で約150カ所の駐車場を設置する予定だという。
 「日本郵便は、毎年減り続ける手紙やハガキ、今年も1億通減った年賀状など、ネット全盛時代の煽りを食い、郵便事業はジリ貧の一途をたどっている。その穴埋めとして何とか展開したかったのが、不動産事業。しかし、こちらも野村不動産の買収話が合意に至らないなど、いま一つ展開がにぶい。3年前には、よかれと思って約6200億円を投じたオーストラリアの物流会社買収が実質失敗し、昨年、ようやく減損処理したばかり。宅配便はネット通販の伸びで成長が期待できるが、それ以外はなかなか厳しい。そうした状況を少しでも回復させたいという思いからなのでしょう」(業界関係者)

 有料駐車場事業が、実際に穴埋めとして役立つのか。全国の貸し駐車場の市場規模は現在、5兆円以上あると見られている。しかし、業界大手と言われるのは数えるほどで、業者数は1500とも2000とも言われ細分化している。
 「大手トップは、なんといっても黄色い“Times”の看板でお馴染みの、パイオニア的存在でもあるパーク24。次いで、2位が三井不動産販売系列のリパーク、第3位に愛知県のトヨタグループの地域で強い名鉄協商パーキングが続く。しかし、この3社を合わせても売上高はトータルで約2300億円程度。数兆円は多くの中小企業によって占められているのです」(企業誌記者)

 そのため、競争は激化しているものの、まだ日本郵便が割って入る余地が十分にあるということだ。
 「東京都における路上駐車が毎秒6万3000台という統計もある一方、例えば、月極駐車場はあっても時間貸し駐車場は絶対的に不足している状況。荷物の積み下ろしに高い料金を払わざるを得ないなど、駐車場は需要と供給がうまくマッチングしていないケースがまだ非常に多いのです。そこで、全国の都市部を中心に優良地を持つ日本郵便が、起爆剤として駐車場事業を打ち出したということです」(同)

 しかも日本郵便は、今回の駐車場運営に限って言えば、かなり周到な準備を重ねている。
 「'12年の時点で、郵便局の不正駐車を防ぐ目的も合わせ、最大手のパーク24と組み駐車場業務の在り方を模索してきた。それから5年間、ノウハウを大いに蓄積したことで、ポスパークの展開に至ったのだと思われます」(前出・業界関係者)

 また、今回の動きを本格化させた背景には、昨秋に日本郵政の投資子会社、日本郵政キャピタルが、東証マザーズ上場のフィル・カンパニーに5億円を投資、業務提携していることがある。
 フィル社は、ここ数年、“空中店舗”という新コンセプトで東京・原宿などの繁華街に次々に若者向けの店舗展開をしているデベロッパーで、大都会に多くみられるコインパーキングの上に店舗を設けている。
 「駐車場の土地所有者が、駐車場だけではなく、テナントからも収益を受けられるというのがコンセプト。しかも、駐車場の台数スペースに影響がないように、建物の柱にも一工夫を凝らしている。さらに、店舗は流行に敏感な若者などが訪れてみたいと思えるよう、全面ガラス張りなどのお洒落な設計になっている。そのため、フィル社が手掛ける店舗には、テナントが殺到するといいます。そうしたことから、新たな事業に投資する土地所有者も増えているのです」(デベロッパー関係者)

 このフィル社と提携したということは、今後、日本郵便は駐車場事業に“空中店舗”を加えて全国展開するという可能性もあるという。
 「フィル社の過去の店舗展開が成功してきただけに、各方面の期待も高まっています。しかし一方で、駐車場事業者間からは、反発の声も高まっている。そもそも日本郵便が持つ一等地は民営化前の国の財産であり、それを使って駐車場事業や店舗展開をすることは、民業圧迫になるのではないかという意見です。そうした意味で、今回の日本郵便の有料駐車場展開への動きは、業界に波紋を呼んでいるのです」(業界関係者)

 いずれにせよ、ポスパークは日本郵便の思惑通り、業績回復の材料となるのか。肝いりの事業だけに、他の有料駐車場企業との争いとともに行く末に注目だ。

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