〈企業・経済深層レポート〉 コカ・コーラが本格参入 国内でエナジードリンク市場が急成長

社会・2019/10/02 06:00 / 掲載号 2019年10月10日号
〈企業・経済深層レポート〉 コカ・コーラが本格参入 国内でエナジードリンク市場が急成長

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 アメリカでは市場規模が1兆円規模に達した「エナジードリンク」が、若い世代を中心に日本でも人気を集めている。

 民間市場調査会社によれば、2009年に50億円前後だった日本市場が、’19年の累計では約460億円と、約10倍に拡大しているほどだ。

 そもそも、エナジードリンクとは、どういう飲み物なのか。
「栄養ドリンクのように思われがちですが、エナジードリンクの分類は清涼飲料水。そのため、医薬部外品である栄養ドリンクのように効能表示はできません。ただ、一般的な清涼飲料水よりも果糖、カフェイン、微炭酸、ビタミンB群類などを多く含む商品が多い。商品によっては、血流改善に効果のあるアルギニンや果汁やハーブエキスを含むものもある。要は清涼飲料水といっても、集中力アップ、気分をガツンとリフレッシュさせてくれる飲み物。それがエナジードリンクと総称されているのです」(飲料メーカー関係者)

 エナジードリンクは、オーストラリアの会社が販売する「Red Bull(レッドブル)」、アメリカのモンスタービバレッジ社が販売する「Monster Energy(モンスターエナジー)」の、海外製品が2大ブランドとして君臨している。
「日本国内からは大正製薬が『RAIZIN(ライジン)』、エーザイが『Joma(ジョマ)』など、製薬会社からエナジードリンクが販売されている。また、イオン、西友、マツモトキヨシがPB(プライベートブランド)製品を作り、海外勢と激しい競争を繰り広げ、日本市場拡大の一翼を担っているのです」(同)

 この需要拡大の流れに、ついに日本コカ・コーラも本格的に参入を決めたようだ。
「日本コカ・コーラ(システム)が、カフェインや強壮効果があるとされるアマゾン原産の植物ガラナから採取されたガラナエキスが多く含まれている『コカ・コーラエナジー』を7月に発売し、急激に伸びているエナジードリンク市場に殴り込みをかけました。日本発売前にスペインなど欧州を中心に発売され、コカ・コーラの知名度もあり売り上げが急増。日本でも発売から5週間で約2000万本という驚異的な売り上げを記録しています」(飲料メーカー関係者)

 さらにコカ・コーラは、10月7日には「リアルゴールド ドラゴンブースト」というエナジードリンクを日本で発売予定だ。同商品は、カフェイン、精力増強効果のアルギニン、ビタミンB類などエナジードリンク定番成分に加え、高麗人参や霊芝など、6種の漢方成分を入れ込んだ、新しいエナジードリンクだ。

 立て続けに2つのエナジードリンクを発売した日本コカ・コーラ。同社がエナジードリンクに力を入れる背景を、経営コンサルタントはこう明かす。
「日本コカ・コーラの製造販売を9割手掛けるコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは、’19年12月期の最終損益が567億円の赤字に転落する見通しとなることを今夏に発表しました。日本コカ・コーラは、この赤字はかつての経営統合の際の会計処理に伴う理由が大きいと説明しています。しかし、関係者の多くは根本的原因を、主力であるコカ・コーラを中心に清涼飲料水の売り上げ低迷が元凶と見ています。そんな売り上げを何とか取り戻したいのでしょう」

 日本コカ・コーラは、2012年に「burn(バーン)」という商品名で、エナジードリンク市場に参戦したが撤退を余儀なくされた経緯がある。
「エナジードリンクは、継続して伸長を続けている好調な市場なので、日本コカ・コーラも無視できなくなりました。それだけに今回のエナジードリンク販売には力が入っています」(同)

 しかし、医療関係者はエナジードリンクそのものに対して警鐘を鳴らす。
「一時、エナジードリンクの飲みすぎによる“カフェイン中毒”問題がクローズアップされました。カフェイン中毒や糖分過多になり、健康上いかがかという議論もある。今も欧米ではその論議が活発だし、規制の動きもあります」

 一方で、エナジードリンクに詳しい大学教授はこう語る。
「エナジードリンクはごく普通の清涼飲料で、飲みすぎなければ安全です。栄養ドリンクも一度に大量に飲めば健康被害が起きる可能性があるように、何でも過度の飲みすぎはあまりよくありません」

 今回、コカ・コーラが“漢方”と結び付けた新商品「リアルゴールド ドラゴンブースト」は、新ジャンル商品として注目されている。賛否両論あるが、コカ・コーラのチャレンジで、エナジードリンクの市場争奪戦は激しくなりそうだ。

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