竹内渉 2018年8月2日号

元妻の離婚後の私生活にブチ切れ… 息子に会えない父親 怒りの臨界点(3)

掲載日時 2018年04月16日 23時00分 [事件] / 掲載号 2018年4月19日号

 事件前日、佐野は美香さん宅の郵便受けに「遺書」と書いた手紙を投函した。
 《最後のお願いですから、捨てずに読んで下さい。もしかしたらこの手紙を読んでいるころには、自分はこの世にはいないかもしれません。だから、振り向いてもらおうとも思っていません。初めてのキス、二人で挙げた結婚式、息子が生まれた日、本当に感激しました。いっぱいの楽しい思い出をありがとう。「絶対に別れない」という美香の言葉に甘えて、酷いことをしてしまって、愚行後悔先立たずです。新しいパートナーと幸せになって下さい。美香のウソつき》
 美香さんはこの手紙の意図が分からず、離婚時から相談していた行政書士に連絡し、翌日には警察に届けるつもりでいた。

 一方、佐野は睡眠薬を大量に飲んで首をつり、自殺を図ったが死にきれなかった。佐野は自分がこれほど苦しんでいることを美香さんに知らしめようと、美香さんの前で自殺しようと考えた。
 そこで、美香さんが出勤する時間に合わせて美香さんの自宅アパートへ行ったところ、新しい恋人である石川さんと手をつないで出てきたので、その想定外の光景に頭が真っ白になり、いきなり切りかかったのである。
 2人は何が起きたのかも分からず、ほうほうの体で向かいのコンビニの駐車場に逃げた。それを機に石川さんの妻にも2人の不倫がバレることになり、必然的にこの恋は終わりを告げた。

 しかし、佐野が求めていたのは美香さんとの復縁ではなく、息子との面会だった。それが事件でますます不可能になった。佐野は己の愚行を泣きながら詫びた。
 「今後は美香との関わりを一切断ち、目の届かないところへ行こうと思います。息子にとって大事な母親を、父親である私が傷つけてしまって申し訳ない。もう息子にも近づきません」

 美香さんは佐野が送っていたメールやLINEを一切読んでおらず、佐野がここまで思い詰めていたことを全く知らなかった。
 「息子も会いたいと言わないので、このままでいいだろうと放置していました」

 民法では、離婚時に父母が協議し、別居する親が子と会う面会交流について決めると規定している。だが、同居する親が拒否した場合、家裁の調停などの手続きはあるものの、面会を義務付ける仕組みはない。
 これは国会レベルで議論が継続されているが、今のところ、裁判所側が消極的であることが多く、「子供にとって最善の利益」がどこにあるのかも難しい。
 これに苦しんだ男は自暴自棄になり、五十路にして獄中に落ちた。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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