中川祐子 2019年1月31日号

「男女格差ランク」世界110位よりヒドイ“金持ち優遇”税制の日本

掲載日時 2019年01月11日 07時00分 [社会]

 昨年12月17日に発表された世界149カ国の「男女の格差ランキング」で、日本は110位という不名誉に甘んじた。
「この調査は、各国の政治・経済界のリーダーが集まるダボス会議を主催する『世界経済フォーラム』が行っているもので、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータをもとに、世界149カ国の男女の格差を調べています。今回の調査によると、日本は教育や医療・健康の分野で格差が少ない一方で、議員や企業の管理職における女性の割合が平均より低いことかが低順位の要因です。ただ、この調査の背景には、欧米式の特に欧州の日本社会への偏見が根強くあり、必ずしも実態を反映していません」(国際経済アナリスト)

 その一例を挙げよう。
「米・ワシントンに拠点を置くシンクタンク、女性政策研究所が昨年末に発表した最新調査で、2001年〜15年における米国の女性の収入が、家族の世話のための休職などを考慮すると男性の半分程度だったことが分かったのです。調査ではこの期間の女性のインフレ調整後賃金が平均2万9000ドル(約330万円)とはじいており、過去より男女格差は縮小していますが、女性が1年以上休職する確率は男性の約2倍で、1年間休職した女性の在職期間中の給料は平均で男性よりも39%低いと指摘しています」(国際ジャーナリスト)

 女性政策研究所は、有給で家族・医療関連の休暇が取得でき、保育費が手頃な水準になれば、女性は勤務を続け、より高い賃金を受け取る可能性が高くなると指摘している。米国も女性が子育てなどによって収入減に陥っているというわけだ。だから男性がもっと子育てや家族の世話を引き受け、全米規模でより厳格な同一賃金を導入すれば、男女の賃金格差縮小につながると指摘している。米国の事情も日本と大差ない。

 日本の男女間格差は指摘されているほど劣悪なものではない。むしろ「税負担の格差」を問題にすべきだ。主要各国の個人所得税の実質負担率(対国民所得比:世界統計白書2012年版より)を見てみよう。
〇日 本: 7.2%
〇アメリカ:12.2%
〇イギリス:13.5%
〇ド イ ツ:12.6%
〇フランス:10.2%

 この個人所得税というのは、先進国ではその大半を「高額所得者が負担しているもの」だから、国民全体の所得税負担率が低いということは、すなわち「高額所得者が負担していない」ということを表している。つまりは、日本の金持ちの税負担は、先進国の中で一番低いわけだ。しかも、かなりの差が開いてのワースト1位というのは決して看過できるものではない。
「ざっくり言えば、日本の金持ちは、米国の金持ちの半分以下しか税負担をしていないということになるのです。日本の金持ちは『世界でもっとも税負担が大きい』と政府や財界は喧伝してきました。確かに日本の金持ちは“名目上の税率”は高い。先進国の最高税率は次のようになっています。
〇日 本:45.95%(復興税0.95%を含む)
〇アメリカ:37.0%
〇フランス:45.0%
〇イギリス:45.0%
〇ド イ ツ:45.0%

 これを見れば、先進国の中で一番高いのは確かですが、実際の税収を見ると米国GDP比の半分以下だし、先進国のGDP比と比べても軒並み低い。つまり税率は先進国では高い方なのに、実際の税収は米国の半分以下となるわけです。その理由は『歳入庁』(税金、年金、健康保険、雇用保険、NHK受信料など公の制度として集めることが必要な金を一括して強制的に集めて、それぞれの財源として配分する役所。また脱税や裏収入を見逃さない制度)のない日本の所得税には、金持ちに対してさまざまな抜け穴が用意されていることを如実に表しています。代表的なものを指摘すれば、アベノミクスでウハウハな、個人投資家の株の配当所得で、日本の配当所得に対する税金は、投資家優遇として名高い米国と比べても日本の方がはるかに安いのです」(会計評論家)

 金持ちから取らずに、不公平感満載の消費税を上げ、庶民の懐からなけなしの金をむしり取る。カッコいい奴はこういうことはしない。黒澤明監督の名作『用心棒』で、博徒の親分が「好きなだけ持って行け」と大枚を差し出すが、用心棒は「今はこれだけでいい」と小銭を袖の下に入れて去っていく。

 政府にも見習ってほしいものだ。


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