菜乃花 2018年10月04日号

ストーカー元夫の「質問状」にうんざり コンビニで刺殺された元妻の“災難”③

掲載日時 2018年09月01日 23時30分 [事件] / 掲載号 2018年9月6日号

後頭部から首を突き刺す

 ところが、咲希さんは1カ月あまりで、元のアパートに戻ってきた。住み心地のよさが忘れられなかったからだ。そのことは武井にも知られ、武井は話し合いを口実に再び接近するようになり、付き合っていた頃に撮ったセックスの動画を切り札にされ、またもアパートに出入りする関係になった。この頃、武井はうつ病が悪化し、「半年後には死ねるよ」という幻聴を聞くようになった。

 事件当日、武井はコーヒーショップ店主との関係を清算したり、咲希さんがやりたがっていた副業の店を開業する資金として、「500万円を渡したい」という口実でアパートを訪れた。
 だが、当然ながらそれだけではなく、これまでのトラブルに関する「質問状」を用意し、咲希さんの前で長々とした文章を読み上げ始めた。
〈生活費9万円のなか、4000円しか支払わなかったのはなぜか?〉
〈これ以上請求するなら、アパートを出て行くと言ったのはなぜか?〉
〈土下座してまで幸せになるのは無理と言ったのはなぜか?〉
〈私に「掃除と犬の世話、ありがとう。待っているからおいでよ」と言っておいて、騙したのはなぜか?〉
〈会社に退職願を出して、「夫を恨んでいる」「夫に脅迫されている」と言っていたのはなぜか?〉
〈屋外の駐車場に私の荷物が放置されていたのはなぜか? 盗難被害は考えなかったのか?〉
〈荷物は雨のため、破損していた。咲希は賠償する義務がある。雨量を測定し、賠償額を計算する…〉
 武井はこんな質問一覧をA4計17枚にわたってびっしりと書き連ね、咲希さんはうんざりして質問に答えるのも拒否した。

 すると武井は「記憶を明確化するため、以前のアパートを見に行こう」と言い出し、2人は車に乗ってアパートを出た。
 その道中で、咲希さんは「ノドが渇いたから、コンビニに寄ってほしい」と頼んだ。武井が車を止めると、咲希さんは1人で降りて車から出て行った。ところが、咲希さんは店員と話し込んで出て来ない。駐車場を指さし、店のカウンターの中に入ったので、「警察に通報された」と直感した。

「あのアマァ!!」
 武井は持参していた包丁3本を持って、店内に入った。行く手を遮ろうとする店員を押しのけ、いきなり咲希さんの後頭部から首を突き刺した。

 咲希さんはこれが致命傷となり、脊髄損傷で死亡した。武井は自分がやったことを自覚し、その場で割腹自殺を図った。犯行の一部始終は店の防犯カメラに写っていた。
 裁判所は「頭や首を刺すなど、明確な殺意があり、身勝手で悪質」と断罪し、懲役13年を言い渡した。

 事件が起こるまで、何度も同居と別居を繰り返し、同棲していたアパートに住み続けるリスクは、最悪の結果を招く危険性がある。ストーカー化した交際相手がいる人は、絶対にやってはならないことだ。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

 わずか3週間で離婚した元夫婦は、その後も別居と同居を繰り返し、トラブルにまみれていった。一度は2人で警察署を訪れ、同居解消の“契約書”にサインしたが、だらだらの腐れ縁になってしまうと…。最悪の結果を迎えてしまった、教訓ともなる事件だった。

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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