名医・博士の健康術 ★今週のテーマ ファイトケミカルスープ

健康・2020/05/21 12:00 / 掲載号 2020年5月28日号
名医・博士の健康術 ★今週のテーマ ファイトケミカルスープ

画像はイメージです

閉じる

 4つの野菜を切って煮るだけ、今すぐ作ろう!免疫力が上がる!“いのちの野菜スープ”

「ファイトケミカル」は植物に含まれる天然の機能性成分で、生きていくうえで必要なエネルギーや体を構成する栄養素ではないが、健康維持に高い効果を発揮する。

 その種類は1万種以上もあるが、中には健康効果を持つものも少なくない。

 ファイトケミカル研究の第一人者である麻布医院院長・ハーバード大学医学部元准教授の髙橋弘先生は、その健康効果についてこう述べている。

「老化や病気の発症に関わる活性酸素の除去、有害な物質の排出、免疫力アップ、がんの予防など、ファイトケミカルには様々な健康効果があります。例えば、にんじんやかぼちゃに含まれるβカロテンには、免疫活性を維持して免疫力を保つ効果があります。また、キャベツに含まれるイソチオシアネートは、デトックス作用で発がんを防いでくれます。さらに玉ねぎに含まれるケルセチンは抗酸化力で遺伝子を守り、がんを抑制してくれます」

★様々な健康効果を有する

 また、ファイトケミカルは、性質ごとに6つに分類することができる。「ポリフェノール」は高い抗酸化作用を有し、有害な活性酸素を退治する。

 野菜の辛味やにおいの成分である「イオウ化合物」、緑黄色野菜の鮮やかな色素成分である「カロテノイド」も抗酸化作用が高く、免疫を強くしたり、がん細胞を抑制したりする。食物繊維の一種である「糖関連物質」にも、抗がん作用や免疫力を高める働きがある。

 さらに、「アミノ酸関連物質」は、イカやタコ(タウリン)、アスパラガスやレバー(グルタチオン)、キャベツ(キャベジン)に多く含まれる。そして、柑橘類やハーブなどに含まれる「香気成分」は、ストレスの緩和や不眠を解消する。

★効果的に摂る野菜スープ

 ファイトケミカルを最大限に効率よく摂るため、髙橋先生が考案したのが「いのちの野菜スープ(ファイトケミカルスープ)」である。ファイトケミカルは植物の硬い細胞壁に閉じ込められているので、生のままでは消化・吸収がしにくい。しかし、スープとして加熱すると細胞壁が壊れ、有効なファイトケミカルが汁に多く溶け出し、吸収しやすくなる。また、ファイトケミカルは皮やその周辺部に含まれていることが多いが、スープにすれば、その辺りも含めて丸々摂取できる。

「スープならば、野菜や果物を皮ごと、あくの処理などをせずにいただけます。基本の材料は、季節を問わず安価で購入できるキャベツ、にんじん、玉ねぎ、かぼちゃの4つの野菜です。これらを切って、蓋つきの鍋で20分ほど煮込めば完成です。基本の4つの野菜がない時は、他の旬の野菜でもOKです」(髙橋先生)

 基本の4つの野菜には、「粘膜の免疫バリアを強める力」、免疫細胞である「NK細胞やT細胞、マクロファージを活性化する力」、免疫細胞の過剰反応である「アレルギーを抑える力」などを備えたファイトケミカルが豊富に含まれる。これらを余すことなく摂取できるのが、「いのちの野菜スープ」の最大のメリットだ。

「このスープは、基本的に毎日飲むようにします。1日にカップ(200ml)1〜2杯が目安です。抗がん治療中の患者さんに1日3回飲んでいただいたところ、2週間後に白血球(免疫細胞)の数値が改善したという結果も出ています。病気療養中や抗がん治療中の方は、1日3〜4杯飲むとよいでしょう」(髙橋先生)

 また、スープに含まれる食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、糖尿病や肥満の原因となる血糖値の急上昇を防いでくれる。しかも、空腹感が満たされて主食(糖質)の摂りすぎ防止にもつながるので、食事の最初に飲むといい。食塩や調味料などで味付けせず、野菜本来の美味しさを楽しむことで、健康効果がさらに高まる。

■ファイトケミカルスープとは?
ファイトケミカルを豊富に含む野菜などを、皮ごと、あくの処理などをせずにいただく。本項では4つの野菜を使ったスープを紹介しているが、食材などをアレンジすればレシピは無限大にある。冷蔵庫での保存目安は2〜3日。

◉期待できる主な健康効果
*毎日飲むことで、免疫細胞が元気になる
*免疫力がアップして病気になりにくい体になり、風邪をひかない
*デトックス作用で、発がん物質を無毒化
*抗酸化力で遺伝子を守り、発がんを抑制する
*血圧を下げる、脂質異常症を改善、血液サラサラ作用
*糖尿病、肥満の原因となる血糖値の急上昇を防ぐ
*胃腸の調子を改善し、便通をよくする
_など

◉効果的な摂り方
*1日にカップ1〜2杯を飲む
*食事の最初に飲む
*具の野菜も食べる
*調味料は基本加えない

【材料】
●水(1L)
●出汁袋
※皮、種やわた、ヘタなどは捨てず、出汁袋に入れて一緒に煮込む。
●玉ねぎ(100g)
100gの目安は約1/2個。外側の茶色い皮をむき、ひと口大に切る。皮は捨てずに出汁袋の中へ。
●キャベツ(100g)
外葉をはがしてから、芯の部分も含めてひと口大に切る。100gの目安は約1/8個。
●かぼちゃ(100g)
100gの目安は約1/16個。種とわたを取り、皮ごと食べやすい大きさに切る。種とわたは出汁袋の中へ。
●にんじん(100g)
皮はむかず、乱切りやいちょう切りなどで食べやすい大きさにカットする。100gの目安は約1/2本。ヘタは出汁袋の中へ。

【作り方】
(1)かぼちゃ以外の野菜を鍋に入れる
鍋にキャベツ、玉ねぎ、にんじんを入れる。煮崩れを防ぐため、かぼちゃは後から入れる。
(2)水1Lと出汁袋を入れて火にかける
鍋に水1L(野菜が浸るぐらい)と、玉ねぎの皮やにんじんのヘタ、かぼちゃの種やわたを入れた出汁袋を入れて、強火で沸騰させる。
(3)沸騰したら弱火にし、蓋をして10分煮る
(2)が沸騰したら弱火にして、鍋に蓋をして10分ほど煮る。蓋をしないと蒸気と一緒にファイトケミカルが逃げてしまうので要注意。
(4)かぼちゃを加え、さらに10分煮る
10分経過したらカットしたかぼちゃを加え、もう一度蓋をしてさらに10分煮る。かぼちゃを入れたら、すぐに蓋をする。
(5)出汁袋を取り、スープを冷まして完成
10分経ったら火を止め、皮などが入った出汁袋を取り出す。その後、もう一度蓋をして、スープが冷めるのを待って完成となる。

***************************************
監修/髙橋弘先生
麻布医院院長。医学博士。ハーバード大学医学部内科元准教授。ファイトケミカルの研究に情熱を注ぎ、ファイトケミカルスープを考案。『ハーバード大学式「野菜スープ」でやせる!若返る!病気が治る!』(マキノ出版)など著書多数。

関連記事
関連タグ
健康新着記事