菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー チャド・マレーン 『世にも奇妙なニッポンのお笑い』 NHK出版 780円(本体価格)

掲載日時 2018年03月11日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年3月15日号

話題の1冊 著者インタビュー チャド・マレーン 『世にも奇妙なニッポンのお笑い』 NHK出版 780円(本体価格)

 ――外国と日本のお笑いの違いってありますか?

 チャド 西洋のコメディアンは「僕らが社会を変えな、誰が変えるねん!」という使命感を抱いている人が多くて、繊細な問題だからこそお笑いを武器にします。一方、日本の芸人は基本的に人を笑わせることしか考えていません。そういう意味では“お笑い純度”が高いですね。海外でお馴染みのテーマ(政治、宗教、人種差別、下ネタ)は避けるので、その分だけオリジナリティーに溢れていると思います。先日、グラミー賞を見て絶句しましたが、司会者は終始ゆるいジョークでスベっている上、人種や女性差別、さらには政治批判と、まぁ、暗くて「アメリカ、病んでるな〜」と思いました(笑)。

 ――日本でお笑いを勉強していた時に、一番大変だったことは何ですか?

 チャド 言葉の壁、文化の違いもありますが、何よりお金のなさや!(笑)。フランスのコメディアンはアーティストとして国から援助金が出るため、面白くなくても生活はできると聞きましたが、日本はもっとシビア。だからこそ必死になって、変なモノを絞り出す人が次々現れるんだと思います。
 僕は風呂なしアパートの貧乏生活で、風邪を引いても病院に行けず、扁桃腺が腫れて喉の穴が塞がっちゃった時は「こんな姿で死にたくない!」と思いながら救急車で運ばれました。結局、そんな生活も他人から見たら面白いらしく、あるテレビ番組の“貧乏バトル”を制して、優勝賞金で引っ越しすることができました(笑)。お笑いは厳しいけど、裏切りません!

 ――最近では映画翻訳でも活躍中ですね。始めたきっかけや、苦労した点は?

 チャド 13年ほど前のある日、真夜中すぎに知らない番号から電話がかかってきて、突然「いけるか?」と言われました。とっさに「いけます!」と返してしまったんですが、相手は板尾創路さんだったんです。「映画の英語字幕を面白くしてほしい」と頼まれました。直訳では成立しないダジャレや日本人にしか伝わらない事柄を意訳して、フリとボケをタイミングよく合わせ、3日3晩で翻訳した結果、海外上映で絶賛されたんです。
 以来、翻訳のオファーが絶えず、戸田奈津子ならぬ“チャド奈津子”状態です(笑)。実際の作業は複雑な制限もあって、右脳も左脳も常にフル稼働で時間がかかりますが、字幕をきっかけに、日本のお笑いが海外で評価されてほしいと思いながら頑張っています。でも、板尾監督の作品にも出たいです!(笑)
(聞き手/程原ケン)

チャド・マレーン
1979年、オーストラリア・パース生まれ。日本にホームステイ中にお笑いにハマり、ぼんちおさむに師事。芸人の他、松本人志が監督した映画作品などの字幕翻訳家としても活躍中。

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