森咲智美 2018年11月22日号

鹿児島・口永良部島と連鎖する鬼界カルデラ&富士山破局大噴火

掲載日時 2018年08月29日 06時00分 [社会] / 掲載号 2018年9月6日号

鹿児島・口永良部島と連鎖する鬼界カルデラ&富士山破局大噴火

今回の異変が、最悪の事態を招く引き金になるかもしれない。

 8月15日、気象庁は口永良部島(鹿児島県屋久島町)で噴火の可能性が高まったとして、噴火警戒レベルを“火口周辺規制”の「2」から“避難準備”の「4」に引き上げた。
 口永良部島では15日午前0時頃から火山性地震が相次ぎ、同日は37回を観測。その後は大幅に減ったが、「今後は広範囲にわたる異変に十分に注意すべき」とする専門家の声は多い。
「口永良部島は2015年5月にも噴火しているが、今回の火山活動による地震の震源はその時よりも深く、新岳火口南西の地下約5キロで起きている。加えて、前回は噴火の4カ月ほど前から火山ガスの放出量や火山性地震が徐々に増えていったが、今回は活発化のスピードが早まっている可能性があります」(サイエンスライター)
 3年前の噴火の際には新岳火口から最大約140キロの速さで火砕流が全方位へ広がり、屋久島などへの全島避難を余儀なくされた。
「屋久島から北西に約12キロ離れた口永良部島の北東の海底下には、世界最大のマグマ溜まりである鬼界カルデラがあることが知られている。このカルデラでは溶岩ドームが今も成長中と見られ、一説には噴火した際、最悪の場合で日本国内に1億人の死者が出るという絶望的な見方もある。その片隅に、今回再び活動を起こした口永良部島があるわけです」(同)
 カルデラは火山活動によって形成された窪地で、鬼界カルデラの大きさは直径約20キロ。今年2月には神戸大海洋底探査センターが、そのカルデラ内に直径10キロ、高さ600㍍の世界最大級の溶岩ドームを確認したと発表している。
 今回の口永良部島の活動について、これまで数多くの巨大地震、噴火を予知し的中させてきた、琉球大学理学部名誉教授の木村正昭氏は、こう説明する。

「太平洋プレートが押してくるプレッシャーによるものであることは、間違いありません。このプレッシャーは7年前、東日本大震災という超巨大地震を引き起こしましたが、決してあれで終わりというわけではなく、第二、第三の巨大地震が準備されているはずです。そうでなければ、大平洋プレートは大陸側のユーラシアプレートの下にもぐって行けませんからね。この太平洋プレートからのプレッシャーは日本列島全体にかかっているわけですから、口永良部島が噴火しそうになっているのは、何らかの危険を知らせるシグナルと言えるのです」
 折しも昨今は、世界中で火山活動が活発化している。日本で一昨年4月に熊本地震が発生した直後には、チリのビジャリカ山、メキシコのコリマ山、アラスカのクリーブランド山が同時に噴火し、チリ、エクアドルでそれぞれM5.6とM7.8、南太平洋のバヌアツでM5.9の大きな地震が起きている。今年に入ってからも、日本では草津白根山や霧島連山の新燃岳、海外ではフィリピンのマヨン山やハワイのキラウエア火山などが相次いで噴火した。
「これらはすべて、太平洋をぐるりと囲んだ環太平洋造山帯と呼ばれる地域で起きている。つまり、太平洋プレートやその周辺のプレートによる大陸側へのプレッシャーが影響しているということです。そのため、口永良部島の活動の活発化は、その後の大きな動きの序章にすぎず、後に鬼界カルデラの破局的な噴火が待ち受けているとの見方もできるのです」(前出・サイエンスライター)

 そうした中、環太平洋造山帯に含まれる日本は「関東圏でもそうですが、巨大地震が今起きても不思議ではない、待ったなしの状況」(前出・木村氏)だという。
 防災ジャーナリストの渡辺実氏も、こう警鐘を鳴らす。
「東日本大震災がその再来と言われている貞観地震(869年)が起きた時代は、まさに天地動乱でした。この時と同じく、今は地殻が大きく変動しており、今後も当時を彷彿とさせる地震や噴火がこれでもかというほど起きるでしょう。貞観時代と比較すると、現在起きていないのは相模・武蔵地震のような関東での地震、仁和地震にあたる南海トラフ巨大地震、そして、富士山噴火になります」
 864年に起きた富士山の貞観大噴火は、記録に残る中でも最大規模とされ、富士五湖の西湖と精進湖、さらには青木ヶ原樹海もこの時に形成された。木村氏は、数々の巨大地震の最終章として用意されているのが、富士山噴火だと見る。
「私は太平洋プレートによるストレスが何らかの地殻変動によりいったん解消された後に、今度は富士山がプレッシャーを受けると見ています。富士山自身、今も噴火に向かって準備が進んでいるが、それが最後の一押しになるかもしれません」(木村氏)

 いずれにせよ、日本が環太平洋造山帯に位置する以上は、鬼界カルデラや富士山の噴火の連鎖が起きても何らおかしくはないということだ。
「約7300年前に起きたとされる鬼界カルデラ噴火に至っては、東北地方まで覆った火山灰により西日本の縄文人が一度死滅したと言われている。遠い過去であっても実際に起きている限り、同様の事態は必ず襲うのです」(前出・サイエンスライター)
 それが今ではないことを祈るしかない。

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