菜乃花 2018年10月04日号

【話題の1冊】 著者インタビュー 渡辺元美 『甲子園、連れていきます! 横浜高校野球部食堂物語』 徳間書店 1,300円(本体価格)

掲載日時 2018年08月18日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年8月23・30日合併号

食トレを希望する選手に_可能な限り対応する

――本書のタイトルは、野球部員からのメッセージだそうですね。
渡辺 寮母とはいえ、寮生とコミュニケーションを取る時間は、通常、お昼ごはんに彼らが寮へ戻ってくる時くらい。選手1人1人に声を掛ける時間は当然少ないです。ですので、食堂にあるホワイトボードに伝えたいことを書くようにしたら、選手からも返事やコメントが書かれるようになりました。
 夏の大会が迫っていたある日、当時のキャプテンをはじめとする寮生が、「いつもおいしいご飯、ありがとうございます」、「絶対甲子園行きます」、「元美さんたちを甲子園へ連れていきます」とコメントをしてくれたんです。厳しい練習に日々奮闘している彼らの一員に加われた気がして、とてもうれしかったですね。

――最近はアレルギーを持つ子どもも多いですが、メニューを考える時、苦労した点はありますか?
渡辺 アレルギー食には対応しましたが、好き嫌いの情報は入れませんでした。寮で食事をしていると、好き嫌いはすぐに分ります。無理強いせず、少量から少しずつ増やしました。
 最初は調味料を大量にかけて味を消したり、水で流し込んでいた選手も、3年後には気が付くと食べられるようになっていることがほとんどです。今は「食トレ」が浸透していて、体重を増やす、体脂肪を減らす等、彼らの要望を聞き、捕食を増やしたり調理方法を変えたりして、可能な限り対応するようにしました。

――横浜高校といえば、プロ野球選手を多数輩出していることでも有名です。何か選手のエピソードはありますか?
渡辺 当時、小学生だった私の息子が、筒香嘉智君(横浜DeNAベイスターズ)と寮の部屋で遊んでもらっていた時、窓からガムを飛ばしました。そのガムが野球部部長の車の上に落ち、「誰だー!」と下から大きな声…。その時、筒香君が「僕でーす」と謝ってくれたそうです。実はこの話は4〜5年経ってから聞きました。今思えば、私に伝えたら、息子が怒られると思った優しさだったのでしょうね。

 近藤健介君(北海道日本ハムファイターズ)は、ちょくちょく厨房に手伝いに入ってくれましたね。餃子を包んでいると、自ら「手伝います!」と、やってくれましたが、とても上手でした。自宅でもお母さんが作っている時に包んだことがあるそうです。料理が上手で、チャーハンなど、よく後輩にも作っていたみたいです。プロになって活躍している姿を見ると、当時のことが懐かしく思い出されますね。
_(聞き手/程原ケン)
**********************************
渡辺元美(わたなべ・もとみ)
1970年、神奈川県生まれ。父・渡辺元智が横浜高校野球部の監督を務めていたため、幼少期から野球部員とともに育つ。30歳を迎えた時、母から野球部合宿所の寮母を引き継ぐ。

関連タグ:著者インタビュー

エンタメ新着記事

» もっと見る

【話題の1冊】 著者インタビュー 渡辺元美 『甲子園、連れていきます! 横浜高校野球部食堂物語』 徳間書店 1,300円(本体価格)

Close

マダムとおしゃべり館

▲ PAGE TOP