葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 杉本昌隆 『弟子・藤井聡太の学び方』 PHP研究所 1,400円(本体価格)

掲載日時 2018年03月31日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年4月5日号

話題の1冊 著者インタビュー 杉本昌隆 『弟子・藤井聡太の学び方』 PHP研究所 1,400円(本体価格)

 ――小学生時代の藤井聡太六段と出会ったきっかけや、師匠になった経緯を教えて下さい。

 杉本 藤井が小学1年の3月に、将棋を本格的に勉強したい少年少女が集まる『東海研修会』に入会してきたのがきっかけでした。「小さくて天然パーマのかわいらしい子がいるな」と思ったのが第一印象ですが、その将棋を見て「センスのある子だなぁ」とも感じました。当時の藤井はハイリスク・ハイリターンな手を好み、見ていて非常に華がある将棋でした。
 小学3年の時、伝説の一手『羽生の5二銀』(NHK杯対加藤一二三九段)にそっくりな絶妙手を当たり前のように指したのを見て「恐ろしい才能だ!」と感じました。その後、小学4年生の時にお母さんと本人にお願いされ、正式に私の弟子になりました。奨励会に入会しても棋士になる確率は2割程度ですが、この少年は間違いなく“トップを狙える才能がある”と確信していました。

 ――昨年は“藤井フィーバー”に沸いた将棋界ですが、その強さの秘訣はどんな部分だと思いますか?

 杉本 藤井の強さは、抜群に速く相手の玉を詰ます能力です。ある難問を出した後、ストップウオッチを取りに行って戻ってきたら「解けました」と言われて驚いたことがありました。非常に負けず嫌いで、小学2年くらいまでは悔しい負け方をすると、将棋盤を抱えるようにして号泣していましたね。それは、棋士になった今でも変わりません。ある公式戦の終盤でミスをして、太ももを思い切り叩いて自分を鼓舞しているシーンを見たことがあります。

 ――藤井六段とはどのような師弟関係を築いているのですか。

 杉本 師弟とは会社でいえば上司と部下の関係です。上司が高圧的だったり、自分の意見を押し付けたりしては、部下の個性やいいところを引き出すことはできません。藤井は受験勉強のようにガチガチな学び方をするタイプではありません。誰よりも将棋が好きだから将棋盤の前に長くいる。伸び伸びと楽しみながら強くなったタイプです。
 先日の朝日オープンでは羽生竜王・棋聖にも勝って優勝しました。藤井にとって羽生竜王は、いつか必ず乗り越えなければならない巨大な壁です。こんなに早くその羽生さんに勝って棋戦優勝をするとは思ってもみなかったですね。藤井はまだ15歳。これからも間違いなく強くなります。どれだけ勝ちを積み重ねても、藤井の棋士人生はまだ序章です。ファンの皆さんには、長い目で藤井の活躍を見守っていただきたいですね。
(聞き手/程原ケン)

杉本昌隆(すぎもと・まさたか)
1968年11月生まれ、愛知県名古屋市出身。'08年『NHK将棋講座』の講師を務める。杉本昌隆将棋研究室を主催し、将棋の戦術書の著作は15冊以上になる。藤井聡太の師匠として知られる。

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