片山萌美 2019年7月4日号

〈企業・経済深層レポート〉 業界首位から陥落間近 スターバックスが抱える不安要素

掲載日時 2019年03月20日 06時30分 [社会] / 掲載号 2019年3月28日号

〈企業・経済深層レポート〉 業界首位から陥落間近 スターバックスが抱える不安要素
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 2月28日にシアトル発のカフェチェーン店であるスターバックス(以下、スタバ)が、東京・中目黒にオープンしたカフェ「リザーブ ロースタリー東京」に注目が集まっている。

 このカフェは、世界でも5店舗(シアトル、ニューヨーク、上海、ミラノ、東京)しかない従来のスタバの“高級店”という位置づけ。建物は地下2階の地上3階建て、高さは約20メートルとなり、一般的なスタバの約15倍の広さを誇る。店内には焙煎工場が併設されていて、高級コーヒーを味わえるのはもちろん、著名なイタリアン・シェフ監修の料理を堪能することもできる。

 「リザーブ ロースタリー東京」は開店早々から入店希望者が殺到し、オープンから数日間は入場規制までかけられるほど盛況だった。しかし、業界関係者からは、今後のスタバに対して厳しい見方をする人も多い。

 「スタバは日本に上陸以来、一定の人気が続いています。しかし、不安要素が多いので、今後も業界トップを維持できるのか、はなはだ疑問を感じますね」(飲食業界アナリスト)

 日本に1996年に初上陸したスタバは、女性を中心に圧倒的な支持を得て、またたく間に日本屈指のカフェとなった。運営元である「スターバックスコーヒージャパン」の2017年度売上高は、カフェ業界トップの1709億円。2位のドトールコーヒーが725億円となり、約1000億円の差をつけて独走している。

 堅調に見えるスタバだが、どこに不安要素があるのだろうか。
「売上高では他を圧倒するスタバですが、増収率(前年と比べての売上高の増減率)は他社に譲ります。2017年度のコメダコーヒーの増収率は10・7%増(売上高243億円)、タリーズコーヒーが同9.1%増(売上高302億円)、それに対してスタバは、前年比6.4%増と、ライバル企業よりも低いのです」(同)

 不安要素はこれだけではない。顧客満足度でもスタバは、他のカフェチェーン店の後塵を拝している。
「公益財団法人日本生産性本部が発表した『2018年度日本版顧客満足度指数』のカフェ部門にて、顧客満足度1位に選ばれたのはベローチェ。スタバはランキング圏外でした。2014年度の同ランキングで1位を獲得したスタバでしたが、翌年度には3位、2016年度は4位に下がり、2017年度にはついに圏外です」(同)

 最近は、ベローチェやドトールのように“コスパ”の高いカフェチェーンに人気が集まっているという。
「最近のカフェチェーンは、高級店も人気。その代表格が『喫茶室ルノアール』、『星乃珈琲店』、『椿屋珈琲店』の3店です」(同)

 ルノアールのカフェ事業は、2018年3月期で売上高59億円、5年前と比べて23%も増加している。星乃珈琲店も2018年2月期の純利益で、66億7300万円と前年比10・3%増と好調だ。
「現状、カフェ業界は価格の二極化が進んでいて、『リザーブ ロースタリー東京』を展開しているように、スタバも高級路線に進みたいはず。しかし、同店を多店舗展開するのは、コスト的に難しいでしょう。なので、高級路線でスタバが成長するのは難しいでしょうね」(同)

 今のスタバは、日本上陸当時の新鮮な雰囲気も失われ、飽きられつつある。さらに二極化しているカフェチェーン店のなかで、スタバはコスパも悪いし、高級店と比べて味も落ちる。すべてが中途半端で足踏み状態なのだ。

 加えて、スタバが力を入れている中国市場も陰りが見えているという。
「スタバの店舗数は、世界全体で約2万2000店。’19年度は3万店を目標にしていて、いま、最も力を入れている市場は中国です。現在、中国での店舗数は、約3500店舗。それを’22年までに6000店まで増やすことを目標としています。ところが、中国で独占的な行動を取っているスタバを中国企業が本気で潰しにかかっています。例えば、中国のカフェチェーン『ラックイン・コーヒー』がスタバに価格戦争を仕掛けています」(経営アナリスト)

 さらに中国は、米中貿易戦争によってチャイナリスクが高まっている。
「スタバの業績が悪化することが懸念され、米金融界ではスタバの評価が下がっています。チャイナリスクは日本のスタバには関係ないように思えますが、ボディーブローのようになんらかの影響が出てくると思いますよ」(同)

 かくして、「リザーブ ロースタリー東京」の盛り上がりとは裏腹に、増収率の悪さ、顧客満足度の低さ、チャイナリスクという“3つの不安要素”がつきまとうスタバ。業界1位から陥落する日も、そう遠くないのかもしれない。

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