巨人 菅野智之メジャー移籍容認に東京五輪金&日本一

スポーツ・2020/01/16 18:00 / 掲載号 2020年1月23日号

 2020年に去就が最も注目されるのが、オフにポスティングシステムを行使してメジャー移籍を目指す巨人のエース菅野智之投手(30)の動向だ。全権を握る原辰徳監督は「日本一と五輪金メダル」を条件に容認する方針を固めたという。そこには周到な仕掛けが…。

 2021年まで任期を残す原監督からすれば、甥でもあるエース菅野を巨人にあと1年引き留め、海外FA権を獲得する来季オフにメジャー移籍させたいというのが本音だろう。しかし、巨人の裏事情に詳しい放送関係者によれば、原監督は「ポスティング移籍が可能な今年こそベストな移籍のチャンスだ」と、菅野のMLB挑戦容認に舵を切ったという。スポーツ紙のデスクが事情を明かす。

「背景にあるのが、菅野のポスティング移籍でメジャー球団から巨人に支払われる最大2000万ドル(約21・6億円)の移籍譲渡金。これを球団が『日本一とオリンピックの金メダル獲得』を条件に、菅野に渡すことを示唆し、獅子奮迅の活躍を期待している。そこには日本ハムからの1位指名を拒み、浪人してまで巨人に入団させた、つまり、棒に振った1年の損失補填の意味も込められている」

 金満球団の巨人といえども、約20億円超ともなれば、選手総年俸の約半分。大きな投資となるが、菅野の活躍で優勝が手に入れば、算盤は合うという判断だ。

 実際、2019年はFAやトレード、新外国人獲得など総額50億円の大型補強を行ったが、リーグ優勝止まりで、日本シリーズではソフトバンクに4連敗した。それを考えれば、費用対効果は大きい。

「“選手を金で売るようなことはしない”を是としてきた巨人は、これまでポスティング移籍を一切認めてこなかった。あの松井秀喜や上原浩治もしかり。生え抜きの功労選手といえども海外FA権を行使してのメジャー転身しか夢を叶える方法はなかった。しかし昨秋、これを180度回転させ、’16年オフに横浜DeNAからFAとなった山口俊投手を獲得する際、巨人はポスティングを行使したメジャー挑戦を許し、門戸解放の流れができた」(同)

 原監督も昨年11月、「時代の流れの中で、頑なにダメ、ウチはしないというのはおかしな話」と理解を示し、菅野についても「すごく頑張って、その上で自分の夢はメジャーでプレーすることとなれば、ないとは言えない」と、容認に含みを持たせていた。

 このように前提として賛成としながらも、ポスティング移籍の譲渡金については「球団が手にするのはおかしい。選手にあげればいいのに」と疑問を投げかけた原監督。さらに、「チームに貢献し、それが評価されてポスティング移籍するわけだから、受け取るのは球団ではなく選手。そうなれば励みになり、巨人に入団しようという選手も増える」と主張した。

 これに対し、球団は「ファンの声を聞き、世の趨勢を見ながら」と言葉を濁し、今シーズンの結果に結論を託している。

 とはいえ、今季の巨人は、リーグ連覇に向けて課題を残した。打線は坂本勇人と丸佳浩が順調で、岡本和真が主砲に成長、若手も育ちつつある。

 一方の投手陣は、昨シーズン15勝を挙げた山口俊がポスティングでメジャーリーグのブルージェイズへ移籍することが決定。FA戦線では美馬学投手(楽天→ロッテ)の獲得に失敗。ドラフトでも1位指名の奥川恭伸投手(星稜→ヤクルト)を外すなど、補強に失敗した。
「そこで、首脳陣が期待するのは、昨季は故障の影響で今ひとつだった菅野がかつての輝きを取り戻し、桜井俊貴、髙橋優貴ら若手投手陣を牽引すること。これが日本一奪回の最優先課題と弾き出し、ピンポイントで菅野の強化支援に注力する。つまり、日本一でのポスティング移籍容認を示唆し、20億円超のボーナスを用意した。大盤振る舞いには違いないが、ここには周到な仕掛けが施されていて、それは日本一に加えて五輪の金メダル獲得を条件にしていることだ」(同)

 五輪の野球は、公開競技だった1984年ロサンゼルス大会から始まったが、これまで日本は金メダルを獲ったことがなく、銀メダルが最高順位だ。東京大会はわずか6カ国しか出場せず、可能性は十分だが、次回の’24年パリ五輪では野球は実施種目から外れている。つまり、東京五輪が金メダルのラストチャンスなのだ。

 地元で行われる五輪で、金メダルに導いた選手を栄光の巨人軍が輩出する――。そのためには、移籍譲渡金の20億円超は惜しくないという計算なのだ。
「菅野の今季の年俸は、前年と同額の6億5000万円。これは12球団トップの金額とはいえ、ヤンキース・田中将大(31)の約24億3500万円(7年総額約170億5000万円)や、カブス・ダルビッシュ有(33)の23億1000万円(6年総額約138億6000万円)に比べれば4分の1程度にすぎません。菅野が日本一と五輪の金メダルを手土産にメジャー移籍すれば、年俸25億円程度の評価もあります。つまり、もはや巨人が契約延長できる限界を超えているのです」(スポーツ紙記者)

 昨季は腰痛に苦しみ、11勝6敗に終わった菅野だが、オフにオーバーホールし、完全復活に賭けている。真剣交際が報じられる人気モデルの支えとともに、20億円超のニンジンは何よりの刺激剤だ。
「これだけ頑張ったのだから、夢を叶えたい」――そう訴える巨人のエースは、夢の扉をこじ開けられるか。

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