昭和は良い時代だったって？ それ単なるノスタルジーじゃないの？

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筆者は昭和後半生まれである。そして先日、FMラジオ番組から出演依頼が来た。なんでも昭和について、語り合う番組であるらしい。

それからつらつらと昭和という時代を思い出している。筆者と同年齢か年上の人で「昭和は良かった」という人は多い。本当だろうか？

昭和は、初期に世界恐慌の影響から昭和恐慌が起こり、日中戦争、太平洋戦争といきなり、不幸からはじまる。多くの人が「いい時代だった」というのは、戦後の高度成長期からバブル経済までをいうのであろう。

確かに戦後の経済成長は凄かった。この時代は【人命より経済】の時代で、工場は廃液を川や海に垂れ流し、イタイイタイ病や水俣病が生まれた。

昭和38年（1963）まで消防法で救急車が義務付けされていなかったので、交通事故に遭おうが、脳卒中で倒れようが、救急車がほとんどなかったわけで、医者に来てもらうか人力で運ぶしかなかった。

昭和30年代だと現在に比べて、赤痢で死ぬ人1千倍、食中毒死は80倍、破傷風は90倍、結核で死ぬ人40倍と、いまでは死なないはずの人が死んでいった。

赤痢や食中毒が多いということは、それだけ不潔な環境であったということだ。日本人の約4割が「回虫」という寄生虫に感染していた。

殺人や強姦、放火といった凶悪犯罪がもっとも多かったのは昭和30年代だが、景気が良くなった昭和60～62年（1985～1987）の東京都における他殺による死亡率は、人口10万人に当たり0.7。
平成21～令和元年（2017～2019）は、0.1と、激減している。

殺人には、いくつかの種類があって、子殺しなどの親族型や男女関係型、それにケンカ型等がある。ケンカ殺人にはお酒が付き物であったが、昭和と違い最近では、酔っぱらってのケンカはあまり見なくなった。当然ケンカでの殺人も激減した。

昭和は良い時代だったというが、ノスタルジーを除くと、はたしてどうなんだろうと思うことしきりである。