中島史恵 2018年8月23・30日合併号

乳児4人をバケツにコンクリ詰め 20年以上も押し入れに隠していた“鬼母”(3)

掲載日時 2018年08月09日 23時00分 [事件] / 掲載号 2018年8月16日号

 事件発覚の1週間前、由美子は自分が生きている意味さえ分からなくなり、自殺を考えた。だが…。
 (もし、このまま自分が死んだら、いずれは遺体が見つかって、そのときにコウは何も説明できないだろう。やっぱり、このまま放置しておくことはできない…)

 由美子は警察に自首する決意を固め、すでに18歳になっていたコウを呼んだ。
 「ずっと黙っていたけれど…、私は警察に行かなければならない理由がある」
 「えっ、どういうこと?」
 「この家には私が産み落とした4人の子供たちの遺体がある。ずっと言えなくてごめんね…」

 コウの衝撃たるや、想像に難くない。
 「お母さん、ボク、これからどうなるの?」
 「分からない…」
 「いつ帰ってくるの?」
 「それは…、本当に分からない。17年か、18年は帰れないかもしれない。だけど、アンタは頑張って生きていくんだよ!」
 こうして由美子は近所の交番を訪れたのだ。

 警察は当時の交際相手だったA氏を捜し当て、事情を聴いた。A氏は事件概要を聞いて仰天した。
 「出産も遺棄も全く知らなかった。私の子だったら、相談してくれれば何とかしたのに…」

 当局は4人の子供たちの死因も調べたが、結局、「殺人罪までは立証できない」として、由美子は死体遺棄罪のみで起訴された。
 「4人のことは1日たりとも忘れたことがない。手放すことなんて、考えたこともなかった。いつも一緒に生活しているつもりで、4人には名前も付けていた。生年月日も覚えている。いくら謝っても謝り切れないが、本当に申し訳ないことをした…」
 由美子は号泣して謝罪。事件後、市は4人の遺体を火葬し、由美子は「必ず引き取りに行く」という書類にサインした。

 だが、警察の捜査で由美子も知らなかった新事実が明らかになった。
 A氏の子供だとばかり思っていた最初に遺棄した男児の父親は、A氏と付き合う前に交際し、しばらく二股をかけていた同じ職場のB氏の子供だったことが明らかになったのだ。
 「最初に殺したのは、その心当たりがあったからではないか?」
 「それは違います! 私はずっとAさんの子供だと思っていました」

 1人残されたコウはこれらの経緯をすべて知った上で、「お母さんを待っている」と支援を表明。裁判所は「乳児の遺体をそのままの状態で残したいという身勝手な理由で、20年以上も押し入れに放置した行為は独りよがりだ」と断罪したが、コウの存在を考慮して懲役3年執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

 恐ろしいのは第2の由美子が、全国で息を潜めているかもしれないことだ。その行為は「葬送義務違反」という遺棄行為が続いていたとみなされる…。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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