仲村美海 2018年10月11日号

「あなただけの女になるわ」デリヘル嬢に手玉に取られた煩悩僧侶の凶行(3)

掲載日時 2016年01月18日 23時00分 [事件] / 掲載号 2016年1月21日号

 「そもそもこんな女とかかわったのが間違いだったんだ。もう全部忘れよう」
 辰巳は彼女の連絡先やLINEの履歴などをすべて消したが、そうなるとこれまでのことが次々と頭に浮かんできて、いっそう悶々とするようになった。
 「今は他の客に同じことをしているんだろうか。オレは大金を渡したのに、なぜ会えないんだろう。こんなバカな話があるか!」
 彼女のブログに他の客から〈また来週も会おう〉などと書かれているのを見て耐えられなくなり、辰巳は探偵を使って彼女の自宅を割り出してもらった。

 事件当日、辰巳は宅配業者を装って、彼女の自宅アパートを訪問した。彼女は疑うことなくドアを開けたが、宅配サインを求めたとき、正体に気付かれた。
 彼女が部屋の中に逃げ込もうとしたので、後ろから馬乗りになって首を絞め続けた。やがて彼女が動かなくなったので、トドメを刺すためにサバイバルナイフで首の頸動脈を刺した。
 辰巳は血痕を拭き取り、携帯電話とカギを奪って逃走。彼女の遺体は翌日に訪ねてきた交際相手が発見することになった。

 「ボクじゃない!」
 「彼女と最後までLINEでやり取りしていたのはアンタだろう。彼女の部屋の合鍵も持ってるよな?」
 「そ、それは…」
 「まァいい。それはこれからおいおい調べるから」
 だが、この本命彼氏には完璧なアリバイがあった。さらに彼女の交遊関係を洗ったところ、事件の直前まで店外デートしていた別の客がいたことも判明した。

 最近は連絡すら取っていなかった辰巳は、ノーマークだった。しかし、辰巳はいずれ自分が逮捕されることを覚悟し、これまで行けなかった妻との新婚旅行に出掛けたり、しばらく会っていなかった友人たちと旧交を温めた。地元の行事にも積極的に参加し、逮捕直前は仏教青年会の副会長を務めるなど、僧侶の間でもリーダー的な存在になっていた。
 それが突然、殺人容疑で逮捕され、妻や関係者は顔色を失った。辰巳はすべての容疑を認め、犯行の経緯を供述した。
 「被害者への恨み、怒り、悲しみ、私の一方的な恋愛感情がごちゃ混ぜになり、耐えられなかった。彼女のことが忘れられなかった。私は僧侶に成り切れていなかった。妻には地獄のような苦しみを与えてしまい、申し訳なく思っています」

 裁判所は「被害者との関係を整理できず、一方的な思いを抱え込んだ動機や経緯はあまりに未熟だ」としながらも、「被害者の不誠実な態度が影響したことも否定できない」として、懲役16年を言い渡した。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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