葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(150)

掲載日時 2017年04月15日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年4月20日号

◎快楽の1冊
『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』 菅野久美子 双葉社 1400円(本体価格)

 「大島てる」というサイトをご存知だろうか? 2005年に開設され、殺人事件や自殺、火災などで死亡者の出た不動産物件をネット上で公開している情報提供サイトだ。閲覧者は自分が引っ越そうとしている先の部屋が「事故物件」かどうか、事前に確かめることができると有名になったが、一方で不動産所有者には誠に迷惑な話で、一時期、物議を醸したこともある。
 筆者の菅野久美子はかつて、自著『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』で、数々の事故物件巡りをしてきた経験から、その大半が孤独死という事実を目にして「これは他人事じゃない」と考えるようになったという。
 実際、孤独死する人は年々増加傾向にあって、現在は年間3万人にも上る。さらに'30年には3世帯に1世帯が単身世帯になるというから、孤独死がさらに増加することは火を見るより明らかだ。ならば普段から近所付き合いや親戚付き合いを欠かさず、地域社会と密着した生活を心掛けていれば、孤独死を防げるかというと問題はそう単純ではない。特に夫婦の場合は、お互い相手がいるため孤独死になることはないが、その後、残された方(特に男性)が、そのまま周囲との関係を絶ち、引きこもったまま孤独死するケースが非常に多いという。
 結局、どんなに地域社会や親戚などと交わろうとも、いざ、自分が死んだ時に「発見」されなければ、孤独死を迎えてしまうことになってしまうのだ。そして、発見までの期間が長くなればなるほど、現場は悲惨な状態になっていく。
 どこぞのCMコピーではないが「生涯現役」こそが孤独死を避けるために重要なキーワードだ。人との関わり合いを持ち続け、助け、助けられの関係性を構築すること。苦手だと思っていたそのことが、将来の自分の手助けとなるのだ。
(小倉圭壱/書評家)

【昇天の1冊】
 お笑い芸人の玉袋筋太郎さんといえばスナック通として知られ、これまでにも数冊の本を上梓している。その玉袋さんの最新本『スナックの歩き方』(イースト・プレス/800円+税)がこの3月に発売されたばかりなので、紹介したい。
 本の帯には「大人の社交場入門」とのキャッチフレーズがあるが、ここではスナックの「場末感」を取り上げ、そのために敷居の高さを感じている若い人が多いのでは…という問題を提起する。
 しかし、その答えは決して単純ではない。常連ならともかく、一見客として入るには確かに抵抗はあるものの、いったん入口をくぐれば、とてもフレンドリーである…と。
 未体験者には、ママが「怖そう」という意見もあるそうだ。おそらく本誌読者は若い頃に馴染みの店に通った経験があるだろうから、いかにも“手練”“男のあしらい上手”といったベテランママの存在は知っているはず。
 だが、たまに水商売初心者の若い女のコが入店してきて、そのコを目当てに通ったりする「スナックあるある」的なエピソードも紹介されている。
 また、家庭料理のようなお通し、カラオケは昭和歌謡、狭い店内でカウンターを挟んだママやホステスとの密接感、手頃な料金といったスナックの魅力がつづられているほか、まさに実話読者のオヤジ世代うってつけの目からウロコの(秘)ネタもある。
 スナック好きだという女性シンガー・JUJUとの特別対談も掲載。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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